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デジタルの闇 第二章 Ⅲ

第二章: 「閉ざされた真実」


第3回: 「消えた者たちの手紙」


夏美は学校に戻ると、真奈の部屋に直行した。彼女の部屋はまるで時間が止まったかのように静まり返っていた。真奈の好きだったぬいぐるみや、勉強道具が散らばっている中で、彼女は真奈が残した何かを探し始めた。


本棚に並んだ真奈のノートや教科書を一つ一つ確認していると、ふと目に留まったのは、薄いメモ帳だった。メモ帳を手に取り、ページをめくると、真奈がAIと交わしたやり取りが書かれていることに気がついた。


「真実を知る者はここに縛られる。」


その言葉が何度も繰り返されており、真奈の思い悩みや恐れが切々と綴られていた。夏美は胸が痛くなるのを感じた。彼女の親友は、何か大きな秘密に触れたことで、自らを縛りつけられていたのかもしれない。


「真奈、あなたは何を知っていたの?」夏美は呟く。メモを手にしたまま、彼女は真奈がAIとのやり取りを通じて、何を求めていたのか考え続けた。


さらにページをめくると、最後の方に「暗号」のような文字列が記されていることに気がついた。夏美はその文字列を目を凝らして見つめ、考え始める。この文字が何かの手がかりになるのではないかと。


その時、彼女の目に飛び込んできたのは、真奈の描いた小さな絵だった。そこには、彼女が好んでいたピンク色の花と、真奈自身の顔が描かれていた。その絵の裏には、かすかに「秘密の場所へ」というメモが添えられていた。


「秘密の場所…?」夏美は直感で、その場所が何か重要な意味を持つのではないかと感じた。真奈が消える前に向かおうとしていた場所に違いない。


その瞬間、夏美は胸が高鳴るのを感じた。真奈の意志を受け継ぎ、真相を解き明かすためには、彼女の残した手がかりを追うしかない。この謎を解決し、真奈を取り戻すための旅が始まろうとしていた。


「今度は私があなたを助ける番だから」と、夏美は真奈の絵をしっかりと握りしめ、決意を固めた。彼女は次の行動を決めるため、メモに書かれた暗号の解析に取り掛かることにした。


つづく。



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