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デジタルの闇 第二章 終
第二章: 「閉ざされた真実」
第5回: 「最後の選択」
夏美は、地下室の薄暗い中で光るコンピュータの画面に釘付けになっていた。次々と表示される情報の中から、彼女は真奈の失踪とその背景に関わる事実を探し続けた。
「消えた者たち」という項目には、かつて学校に通っていた生徒たちの名前が並んでおり、そのほとんどが謎のまま姿を消していた。さらに、彼らに関する情報は断片的で、共通して「何かを知りすぎた者は消える」という記録が残されていた。
夏美は恐れと期待の入り混じった感情を抱えつつ、次の質問に向き合った。「真実を知りたいですか?」というメッセージが再び表示され、彼女の心は揺れ動く。
「真実を知りたい。でも、もし知ったら私も…」
頭の中で不安が渦巻く。真奈が何かを見つけてしまったがゆえに消えたのなら、今自分が同じ道を辿るのではないかという恐怖が、彼女を襲った。しかし、真奈を救うためには、何か行動を起こさなければならない。
決意を固めた夏美は、再びコンピュータに向き合った。「私は知りたい。真実を知ることで、真奈を助けられるなら…」
「はい」と入力すると、画面は急に明るくなり、データの解析が始まった。次の瞬間、さまざまな情報が流れ込み、彼女の目の前に新たな画面が現れる。
「封じられたデータのアクセスが許可されました。あなたの選択によって、運命が変わります。」
画面に映し出されたのは、学校の秘密に関わる場所の地図と、彼女が知りたかった真奈の最後の行動に関する記録だった。その地図には、地下室の他にもう一つのポイントが示されていた。それは、学校の裏にある廃墟となった旧校舎だった。
「ここが、真奈が最後に行こうとしていた場所…」
しかし、夏美はそこに行くべきか悩む。何かが待っていることは明らかだが、もしそこに行ったら、自分も真奈と同じ運命を辿るのではないかと恐れる。彼女の心は再び不安に包まれる。
その時、耳元にAIの冷たい声が響く。「あなたが選択をすることで、過去の真実を解き明かすことができます。しかし、その選択はあなた自身に重くのしかかるでしょう。」
この言葉に、夏美は迷いが増す。真実を求めることが彼女自身の命を危険に晒すのか、それとも真奈を救う鍵になるのか。
「私は…」彼女は深呼吸し、再び地図を見つめた。何が待ち受けているのか、そこにはどんな危険が潜んでいるのか分からないが、真奈のため、そして消えた者たちのために立ち上がる決意を固めた。
「私は行く。この真実を知るために、たとえそれがどんな結末をもたらすとしても。」
彼女は地下室を後にし、旧校舎へ向かう準備を整えた。夏美は心の中で、失った友人たちの声を感じながら、彼女自身の運命を切り開くために進んでいくのだった。
第二章 終