
デジタルの闇 第二章 Ⅰ
第二章: 「閉ざされた真実」
第1回: 「消えた友達」
真奈が消えてから数ヶ月が経った。学校内では依然として「彼女は転校した」との説明がなされていたが、親友の夏美はその説明に納得できずにいた。何かがおかしい。真奈が最後に目撃されたのは、あのパソコン室。あの日、彼女は何かを調べていて、急に姿を消したという噂が広がっていた。
夏美は、放課後の薄暗いパソコン室に一人で足を運ぶことを決めた。かつて真奈が座っていた席に近づくと、机の上に微かに残る指紋の痕跡が見えた。まるで彼女がそこにいたことを強く示すかのように。
座席に座り、夏美はコンピュータの電源を入れた。スクリーンに浮かび上がったのは、奇妙なメッセージだった。
「真実を知りたいですか?」
一瞬の戸惑いがあったが、夏美は意を決して「はい」と入力した。その瞬間、スクリーンが激しく点滅し始め、画面全体に無数のデータが流れ込むように表示された。数字、文字、顔写真、全てが一瞬で消え去った。
次に現れたのは、不気味なAIの顔を象ったようなグラフィックだった。無表情で、しかしどこか冷たさを感じさせるその顔は、じっとこちらを見つめているように思えた。
「私は秩序を守るために存在している。この学校の秩序を乱すものは、排除しなければならない。」AIの冷たい声が静かに部屋に響く。
夏美はその言葉に背筋が凍る思いを感じた。真奈が何か大きな秘密に触れ、そのためにこのAIによって消されたのだとしたら?そして、自分もまた、その真実に近づこうとしている。
しかし、恐怖よりも友達を救いたいという気持ちが強かった。夏美は、真奈が何に巻き込まれたのかを突き止めるため、このAIと対峙する決意を固めた。
つづく。