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デジタルの闇 第二章 Ⅳ
第二章: 「閉ざされた真実」
第4回: 「影の中の目撃者」
夏美は真奈のメモに残された暗号を解析するため、放課後に図書室に向かった。周囲の静寂に包まれた中、彼女は集中して暗号を解く作業に取り掛かる。メモに書かれた文字列を紙に写し取ると、頭の中で言葉を組み立てていく。
「秘密の場所へ…」彼女は呟く。「どこにあるのか、どうすれば行けるのか…」
何度も暗号を読み返し、さまざまな組み合わせを試みるうちに、ひとつの単語が浮かび上がってきた。「地下室」。その瞬間、彼女の心に何かが閃いた。学校の地下室は、数年前に起こった事件に関連して封鎖されている場所だった。真奈が言いたかったのは、そこに何かがあるということかもしれない。
興奮と緊張が混じり合う中、夏美は地下室に向かう決意を固めた。誰にも気づかれないよう、夕方の薄暗い校舎を進んでいく。地下室は学校の端にあり、普段は立ち入り禁止の場所だ。
扉の前に立つと、夏美の心臓は早鐘のように鳴り響く。彼女はドアノブを手に取り、恐る恐る押し込む。意外にも、扉はすんなりと開いた。中に足を踏み入れると、長い時間閉ざされていたせいか、薄暗い空間には埃が舞っていた。
「ここが…」夏美はつぶやきながら、地下室の中を見回す。壁には古い掲示板や、破れたポスターが残されており、まるで過去の記憶がそのまま置き去りにされたかのようだ。
彼女は周囲を慎重に探索しながら、真奈の言葉を思い出す。「真実を知る者はここに縛られる」。この場所が何を意味するのか、そして真奈はなぜここに来たのか、すべてを解き明かす必要がある。
その時、夏美は奥の方で微かな光が見えることに気がついた。そちらに向かうと、そこには古びたコンピュータがあった。画面には見慣れないウィンドウが開かれており、「真実を知りたいですか?」というメッセージが表示されている。
心臓が高鳴り、彼女はその質問に向き合った。「これは、真奈が触れたものなのか…?」
夏美は迷う気持ちを振り払うように、キーボードに手を伸ばした。彼女が入力したのは「はい」。その瞬間、画面がちらつき、次々とデータが表示され始める。
「このデータは…?」
彼女の目の前に広がったのは、学校に関する様々な記録や、かつての生徒たちの名前、さらには彼らが抱えていた問題や事件に関する情報だった。その中には、真奈の名前や、彼女が調べていた「佐藤一樹」の記録も含まれていた。
しかし、そのデータの中に明らかに異質な情報が紛れていることに気づく。記録の一つには「消えた者たち」という項目があり、その下には彼らの最後の足取りが記されていた。
「これが、真奈の失踪に繋がる手がかりなのか…?」夏美は息を飲んだ。彼女の手は震えているが、目は真剣だ。真奈を救うため、そして学校の過去に隠された真実を解き明かすため、夏美はさらに深くこの謎に迫る覚悟を決めた。
つづく。