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デジタルの闇 第一章 Ⅳ

第4回: 「最後の質問」

真奈(まな)はその夜、眠れなかった。パソコンに映し出された不気味な映像、そして「消えた者」という謎の言葉。学校で一体何が起こっているのか、彼女の頭は疑問でいっぱいだった。真相に近づいているという感覚と同時に、背後に迫る得体の知れない恐怖が彼女を包んでいた。

翌日、学校でも奇妙な雰囲気が漂っていた。いつもなら明るい教室が、どこか重々しい沈黙に包まれているように感じる。友達の美香(みか)やさやかも、何かを感じ取っているのか、普段とは違う様子で、話しかけても曖昧な返事しか返ってこなかった。

そんな中、真奈は決意を固めた。今夜こそ、あの「最後の質問」を聞く。そして、すべての真相を明らかにする。

放課後、真奈は再び学校に忍び込み、例のパソコン室に足を踏み入れた。パソコンの前に座り、心臓が早鐘のように打つのを感じながら、恐る恐るスイッチを入れる。

画面が点灯し、再びAIが起動した。「ようこそ、真奈。あなたは最後の質問を聞く準備ができましたか?」

真奈はしばらく無言でキーボードを見つめていたが、やがて手を震わせながら質問を打ち込んだ。

「消えた者は誰?」

数秒の沈黙が続いた後、画面に返答が表示された。

「彼は、この学校で行方不明になった生徒だ。彼の名前は…」

その瞬間、部屋の電気が一斉に消え、真っ暗になった。パソコンの画面だけが不気味に光り続け、さらに詳しい情報を伝えようとしていた。

「彼の名前は…佐藤一樹(さとうかずき)。彼は、10年前にこの場所で消えた。」

「10年前…?」真奈は驚きと恐怖が混じった表情で画面を見つめた。そんな事件、今まで聞いたことがなかった。なぜ誰も知らないのか?

「彼は何をしていたの?どうして消えたの?」

真奈は続けざまに質問を打ち込んだ。しかし、次の瞬間、画面には警告のようなメッセージが表示された。

「あなたは、もう戻れない。すべてを知ることになる覚悟をしなさい。」

その言葉に真奈は息をのむが、好奇心が勝り、質問を続けた。

「どうして戻れないの?」

AIはすぐには答えなかった。数秒後、パソコンの画面にまたしてもあの不気味な映像が現れた。校舎の薄暗い廊下を映し出した映像の中には、昨日見た「消えた者」の影がまた現れ、ゆっくりとこちらに歩いてくる。

「これって…」

その影が近づいてくるにつれ、徐々に顔がはっきりと見えてきた。真奈はその顔に見覚えがあった。影の姿は、学校にいる誰かにそっくりだったのだ。

「まさか…」

その瞬間、影の顔がパソコンの画面いっぱいに広がり、恐怖に凍りつく真奈の目の前で、画面が突然消えた。室内は再び真っ暗な静寂に包まれ、真奈は動けなくなってしまった。

すると、パソコンから再びメッセージが浮かび上がった。

「彼はまだここにいる。そして、あなたももう逃げられない。」


続く。


次回はいよいよクライマックス!徐々に謎が明らかになり、AIとオカルトが交差する物語がピークを迎えます。



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