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【エッセイ】夕方の店当番#5
枯れ葉が風に引きづられて、地面這いつくばう。放課後の四時過ぎあたりは小学生から高校生までの子供その親で、隣のアイス屋さんが賑わう。
「こんな寒いのにアイスか」
目元を覗けばフリーザーに入っているお寿司。どちらもあまり変わらない。お茶漬けでも提案してみようかな、、、
僕のお寿司屋さんはメルボルンで高級住宅街の部類に入る街で営まれている。ほとんどの子供がクレジットカードを持っている。僕は大学生になってからなので羨ましい。
なんてことを考えながら隣のアイスクリームを頬張る子供達を見ていたら
“excuse me? can you speak Japanese?”
と話しかけられた。
言葉の主は白人のマダムで隣には息子らしい男の子とその友達らしいアジア系の少年がいた。
マダムが続けて
“he is Haru. I just wanna ask him if he has allergic.”
マダム曰く、アジア系の少年はハル君と言ってここ数日前にメルボルンに来た男の子らしい。なのでまだ英語が話せない。そして友達とそのお母さんにアイス屋さんに連れてきてもらったらしい。なのでハル君がアレルギーを持ってるか聞きたいけどハル君は英語が話せないので困っているそうだ。隣がお寿司屋さんでよかった。
「アレルギーある?」
僕が少し身を屈める
「ない」
ハル君が首を振る
マダムがその様子を見て thank youといい消えていった。よかった。
僕は自分が一番英語が下手だと思っていたから自分より英語ができない存在を目の当たりにして少し困惑した。しかし彼はいずれ僕より英語が上手くなる。そして日本語は忘れるだろう。まあいい。今は日本に帰りたいと思うけど頑張ってくれ少年。心の底からハル君を応援してる今。彼からしたら外国にたまたまいた日本人なのかもしれないけど、僕も英語がままならない状態で外国に行ったから少し共感はできるんだ。困ったらいつでもおいで。そう思っている。でもそれからまだハル君を見ていないのだ。