休業しますが、気持ちとしては支離滅裂です
【お知らせ】
緊急事態宣言中、休業することにしました。
お気にかけてくださっている方々、大変申し訳ありません。申し訳ありません。
明日から8月末までです。
ご承知おきくださいますよう、何卒宜しくお願い致します。
......
この決断が正しいのかどうかわかりませんが、少なくとも私のちょっとした気概、誇りのようなものを自ら汚した気がします。
事実確認
まず事実から。
今回、神奈川県が緊急事態宣言ということで、当店は休業の要請があり、それに従うことで協力金が出るそうです。
一珈琲店にとっては、通常時の売上金を上回る金額です。
これは紛れもなく休業することを決めた大きな理由のひとつです。
ウイルスの現状認識。
過去最多を更新する日々が、全国で各所で続いています。
インド由来のデルタ株によるそうです。
関東では89%がデルタ株だそうな(国立感染症研究所による)。
デルタ株は感染力が強いと言われていますが、それはどういう意味か。
少し調べてみましたが、簡単にいえば「人の免疫能力から逃れて感染させる」「喉や鼻に滞留するウイルスが多いため飛沫に含まれるウイルス量も多く移しやすい」「ワクチン2回接種済みでも感染する(米マサチューセッツ州の集団感染事例では7割強は摂取済み者。ただワクチン接種していれば重症化はしづらいとの報告)」といったところ。
また、若者でも重症化する可能性が従来の型よりも高いそうです。
そして私もですが、まだワクチン接種の順番が回ってこない人が一定数以上はいると思います。
加えて8月の猛暑。
コロナでなくとも人々はあまり外出をしないでしょう。ましてこんな辺鄙な場所にある珈琲屋です。来客されるお客さんはきっと少ないと思います。
こういった現実があります。
ワタシノキモチ
対して私の気持ちとして。
私が珈琲 綴をオープンさせたのは、東京都の緊急事態宣言の初日でした。
その頃は、こういう時にこそ「ああ、行きたい。」と思うようなお店を作るために、開けました。
今がその「こういう時」なのだ。
このお店を始めてから、このようなところまで足を運んでくださり、言葉はあってもなくても、「良かったよ」というお顔で帰られるお客さんが少なからずいらっしゃったと思っています。
そういう方のために、ここでお店をやる意味はあると思っていました。
一方で私にも生活があり、珈琲屋を生業としています。
緊急事態宣言中、感染状況の悪化、酷暑。
来客数それ自体はきっとこのオープン数ヶ月で最も少ないことが予想されます。
ならばいっそ休業して協力金を頂くしか道はあるまい。
…と、いうだけで気持ちを済ませられればどれだけ楽か、という話です。
気持ちというのは私たった一人のそれでさえ一枚岩にはいかないわけです。
「気持ち」なんてひと言で片付くものではない
ここからは支離滅裂お許しを。
この商い、一人と一人なのです。
ある一人にとって、ここで過ごす時間がかけがえのないものだったとします。
それであれば、その一人のためにここを開けたい。
そのために作った、この空間です。
その一人がここで過ごす時間で、何かが少しでも救われるのであれば、もうそれだけで十分なのです。
一日の来客数が10人だろうと100人だろうと、いらっしゃるお客さんからしたら一度の来店で、その一杯、その時間が全てなのです。
飲食店は地道な商売です。そもそも自身の性分からして小手先で利益を求めていくのは、詰まるところうまくいかないし、お客さんのその一杯、豆一粒(正確には一杯分の豆、あるいは販売する100g分、あるいは焙煎ひと釜分、あるいは…)に魂を込めるしかないのです。
だからたとえ1ヶ月分、通常以上の収入を見込めたとして(きっと県民皆様の税金の一部)、それでウハウハする要素などあまりなく、いやこれも語弊がありますね。皆様の税金の一部を頂くわけですから、きっと心して頂かなければならない。ありがたいことはありがたいのです。
以前、「(少なくとも自分が)美味しい(と思う)珈琲を作れない私に社会的価値はない」とどこかのnoteに書きましたが、同じです。
この「珈琲 綴の価値」=「今の自分の社会的価値」であって、そこを蔑ろにすることは自分を殺すことになるのです。
お金を頂けるからラッキー!と楽観できるほど私は単純に出来ていません。
ただ、この「珈琲 綴」を続けなければなりません。
経営をしなければいけないわけで、売上=収入が必要であることも確かです。
この8月を開けていたところで、上にあげた状況によって売上としてはあまり立たないであろうことも予測がついてしまいます。
ただ、ただ…。
頭の中でこの堂々巡りです。
「いつものように、お店を開ける」というちょっとした誇りのようなものを、人流抑制という大義名分の名の下に「休業補償」を受け取りつつ汚します。
正しいかどうか、というよりも、自身を曲げるような決断がとても気持ち悪いです。
しかし。
今は、上記のようなさまざまな状況を鑑みて、休業することにします。
お気にかけてくださっている方、改めて、大変申し訳ありません。
酷暑にて、大変かと思いますが、どうぞお身体を大切に。
残暑残る頃に、お店を開けてまたいつものようにお待ちしております。
それでは。