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#9 マッチングアプリ体験記「マッチングの全ては顔なのか!?」前半戦
前回の記事は、こちら…。
2021年プロ野球のペナントレースは、ほんとうに面白かった。
2020年は、セリーグ最下位の東京ヤクルトスワローズと、パリーグ最下位のオリックスバファローズが、見事にそれぞれリーグ優勝を果たしたのです。
まさに「下剋上」といいますか、非常にドラマチックなシーズンだったと思います。
そして、その2022年の日本シリーズを制した東京ヤクルトスワローズについて、日本一になったチームでありながら、多くの人が口を揃えて言うことがあります。
「なぜ優勝できたんだ?」
【 2022年の東京ヤクルトスワローズについて 】
・2019年、2020年と2年連続で最下位
・規定到達3割バッターが1人もいない
・10勝以上したピッチャーも1人もいない
・ショートが西浦選手
・打撃コーチが松元ユウイチコーチ
お世辞にも優勝するチームとは思えない要素が多くありながら、今シーズンにスワローズが優勝できたのは、やはりヤクルトスワローズの高津監督による力、高津監督の存在感が非常に大きかったと、私は確信をしております。
2年連続で最下位、いわゆる「負け癖」が付いてしまったヤクルトナインに彼は、ことあるごとに言うのです。
そう、「絶対大丈夫」と。
絶対大丈夫。絶対いけるから。絶対大丈夫。もし今日グラウンドに立つ時に、ふと思い出したら、絶対大丈夫と言ってみてください。絶対大丈夫だから。
私が幼いころは、野村克也監督率いるヤクルトスワローズがいわゆる「黄金時代」であり、投手では高津、石井一、川崎、ホッジス、野手では池山、広澤、飯田、笘篠、オマリー、本当に個性豊かな名選手が名を連ねていた。
何となく都会的で明るい雰囲気に惹かれ、幼いころから(今でも)ヤクルトスワローズの大ファンです。
そんな昔から大好きなヤクルトスワローズが、見事優勝した2021年の日本シリーズ、本当に毎試合とも目が離せない素晴らしい戦いを見ながら、
片手間にマッチングアプリ、そしてタップルで二つ年下の女性とマッチングをした。
プロフィール写真は、以下のラインナップ。
【トップ画像】
吉祥寺のストリートスナップのような、オシャレなサイドアングルからのショット。
カーキ色のアウターに、程よくクタッたデニムは、クリーム色のオールスターとよく合っていた。
この雰囲気から感じる、「私は時代に流されない、私は好きなモノだけ着る」という、よくいそうなお洒落さんの自己紹介ショット。
毎回思うけど、こういう写真ってどういうタイミングで撮るんだろう?
【二枚目】
サウナの駐車場でパシャリ、うつむいた顔には、髪の毛がおおいかぶさり、顔を確認することが出来ない。
この髪の毛で顔が隠れている感じを「エモい」と思ってそうな、高校生の時に意味もなくノートにバンプオブチキンの歌詞を写してそうな、そんなセンスを感じる。
緩いデニムに、シンプルな白Tシャツをイン、ロールアップによりスタイルの良さが際立つ。
【三枚目】
・・・・・餃子。 ・・・・そして、見切れる瓶ビール。
もうええから、町中華アピール。
三枚目に渾身の餃子画像をねじ込んでくる女性、今年度だけでも200人以上は見ました。
しかも、全員が「焼き餃子」や、一人くらい「水餃子」おれ。
オシャレな雰囲気には、すごく惹かれた。
そして、お酒好きという点も共通し、メッセージを取り合うなかで、あちらから「行きたい居酒屋があって、飲みに行きませんか?」とお誘いを受けた。
―― 顔はまだ見てない ――
つまり、この誘いに乗るということは、顔の知らない相手とお会いするということ、
言ってみれば、完全なる「賭け(ギャンブル)」マッチングだ。
しかし、そのときの私の頭には、クライマックスシリーズでの東京ヤクルトスワローズの塩見泰隆選手の好走塁が浮かびあがっていた。
村上選手の打ち上げたショートフライから、タッチアップを成功させたあのシーンだ。
ただ、結果としてこれは「好走塁」であり、もしアウトになっていたら「暴走」と言われていたのかもしれない。
しかし、スワローズナインは塩見選手を信じ、そして彼自身も、高津監督の「絶対大丈夫」を信じて、ある種の「賭け(ギャンブル)」に勝ったことは、後の日本シリーズ優勝に繋がる重要なポイントの一つであることは間違いない。
勇気をありがとう・・塩見選手!!!
よっしゃ!!この賭けにいっちょ乗ったる!!!絶対大丈夫!!!
スワローズ優勝で締めくくられた日本シリーズの終了とほぼ同時期に受けたリアルデートへのお誘いを、僕は相手の顔も見ずに受けた。
つまり彼女にフルベット、賭けたのだ、ほんとにギャンブラー。
【第一戦 ~待ち合わせはドキドキ勝どき駅~ 】
彼女が行きたかった居酒屋は、東京都は中央区勝どきにある「かねます」という立ち飲み屋さん。
「タモリさんも来るんだよ!」と言われ、私も俄然興味がわいた。
”タモリさんが来る”は、もはや最強のエビデンス、次点で吉田類さんか、玉袋筋太郎さんでしょうか。
「うにく」という、生の牛肉に、うにを贅沢に乗っけたメニューが名物なんだそう、うまそう。
純粋な楽しみもあり、お昼の11時に勝どき駅に集合をした。
勝どき駅は地下鉄の駅で、改札を出て、外に出ると、円形の地下広場のような場所が広がっており、そこが待ち合わせ場所だ。
そして、出会いの瞬間でありながら、今日一日の最大の山場でもある。
それはもちろん、そこで初めて相手の顔を知ることになるからだ。
しかし、会う前は基本的に「良い方向」に期待をするのが私である。
「顔が可愛すぎる人は、可愛すぎるがゆえに顔を隠す」という謎のあるあるを生み出し、そこに気持ちをフルベットしてしまうのだ。
「何となく、宮崎あおいみたいな感じなんじゃねえかなぁ・・」
勝手に未だ見ぬ彼女のルックスを作り上げ、かなり上機嫌に、口笛なんて吹きながら待ち合わせ場所に向かう。
そして、壁面の地図を眺めている女性を見つけた。
―― 間違いない、彼女だ。 ――
トレンチコートをカジュアルに着崩して、オシャレな雰囲気はむんむんに溢れている。
後ろで手を組んで、地図を眺めるなんて、可愛い仕草じゃないか・・。
この時点でおめでたい僕は、何故だか今回の賭けに勝った気になっていた。
彼女に向けて歩みを進めるボク・・・。
そしてそれに気づき振り返るカノジョ・・・。
お昼前の太陽の光に照らされた、彼女の顔が徐々に見えてくる・・・。
高津だった・・・。
そこにいた彼女の顔、高津と瓜二つだった・・・。
キリっとした目、眉、そして笑うと特徴的な「爆笑顔」・・・、
紛れもなく、そこにいたのは、女性の格好をした高津臣吾だった。
振り返った彼女を見て、二塁のランナーを執拗に警戒する高津投手を思い出していた。
けん制してくるかと思った。
顔を見ずにここまで来たので、相手のルックスをとやかく言う筋合いはないのは重々承知なのですが、なんせスワローズ日本一に酔いしれた直後であったので、何だか混乱もしていた。
とりあえず僕は、ひとつ大きく息を吸い込んで、自分にこう言った。
「絶対大丈夫」
―― GAME SET ――
―― NEXT GAME ――
顔を見ずに出会った彼女は、まさかの高津系女子。
もう今にでもシンカー投げだしそうな彼女を前に、僕は気持ちを切り替えた。
「こんなに高津なんだから、良い奴に違いない、良い高津だ」
たった今始まった、「彼女と僕の日本シリーズ」。
この彼女(高津)を攻略して、とにかく楽しんでやろう!
それが、僕にとっての勝利だ!
そうして彼女と、居酒屋「かねます」へ歩き出した。
しかし、この時ボクは、ある記録をすっかりと忘れていた。
高津臣吾の、日本シリーズ通算成績【11試合 10セーブ 防御率0.00】
だれよりも最強の日本シリーズ男だったということを・・・。
―― つづく ――
次回:彼女(高津)と過ごした一日。~「見た目」は本当に大切なことなの!?~