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詩とか歌

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2019年12月の記事一覧

金色の卵

金色の卵を家で飼っているニワトリがうみました。
金色の卵は普通の卵より一回り小さいです。

子供はそれを持ってはしゃぎました。

卵は縮んで小さな種くらいの大きさになった。
それでも気が付かず種を頭の上に掲げて、父親と妹とはしゃいでいました。

その姿をニワトリの隣で眺めている私は、その卵が腐ったから小さくなったんだと思いました。
腐ったから小さくなっていて、そこに金色が塗られているだけなんだって

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電車から見る空が綺麗すぎて

電車に座って見ていた空があまりに綺麗すぎて、降りたくない。

山の上に雲間からもれた眩しい光が何本もの筋になって注いでいる。
近くには上に枝を伸ばす大きな木が見えた。

こんな高いところを走っていたのか、この電車は。
今まで全然気が付かなかった。

今日の空はすごく綺麗だ。

雲の流れがゆっくりだ。
まだ夜ではないけど夜になろうとしているちょっと切ない顔をしている。

何気ない電波塔が、街路樹

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食べ物を摂取する権利

食料を口から摂取する権利が今の私にはないように思います。
今日ちらっと食欲がでました。
でも感じたのは罪悪感でした。

ものを食べることに抵抗が生まれてきました。
水だけ摂取できればな、なにか水みたいなものだけを食べていればいいようにならないかな。

食べ物を食べてまで今を生きるのは疲れたな。
すっとどこかに溶けれたらいいのにな。
だれの記憶にものこらないで。

空っぽ

空っぽになった。
たった一つのものでぎっしりしていた箱の中身が、空っぽになった。
箱の中にほかにも入っていたと思うものは、意外とあっさり消せてしまって
あっという間に箱を空っぽにできた。

箱を閉まらなくしていたものがなくなれば、
中身が整理され大切なものだけの入るものになると思っていた。
けれどもその大切だと思っていたもの、私が勝手にそう思い込んでいた私にとってだけ大切なものは、取り出そうと思え

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泳いでいく先がわからなくて

くらげになっている。
ふわふわと漂い水流に流れて行ったり来たり。
心も体も透き通ってしまいました。

透明で柔らかい体は、打ち上げられたらすぐに干からびてしまいます。
自由に形を変えて好きなところに行けるけれども、
どこに行くのかが自分でもわかりません。

自分のこれからを決めたいようで決めたくない、
自分の運命を決めたいようで決めたくない。

選ぶということが怖い、
ただ直感に従っていただけでい

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一枚のガラスを

ありのままでいた。
自分に正直だった。
でもどれもこれも正直ではいけないのだと知る。

むき出しにしていると傷がつきやすくなる。
少しのかすり傷で飾れないようなものになってしまう。
一枚のガラスを作ろう、自分を守るために。

話しすぎたね、
ありのまますぎたね、
ちょっとケースに戻るお時間。

それもまた、いいと思うの。
ケースの中で温度や湿度を調節しよう、
傷つかないところにいよう、
もう怖くな

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ラブラブって、素敵ね。

ラブラブってとっても素敵ね。
ラブラブでちょっとデレデレしている人を見るのが、惚気話を聞くのが、大好きなの。

口では「おまいら〜〜!」とか「このやろ〜〜」とか言うんだけど、心の中では「その気持ちを噛み締めてどうか幸せでいてね」と願っている。

ラブラブって素敵だなぁ。
ラブラブ、本当に大好きな人と心が通じて一方通行じゃなくて、お互いの好きな気持ちが伝わり合う。
奇跡みたいなことだな。

好きにな

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釘が心臓にささってるみたいでキリキリ痛む
これはどんな痛み?
罪悪感?不快感?焦燥感?

胸の真ん中を少し左に外れたあたりに、直径2cmほどで深さ4cmくらいの釘が刺さっているような気がしている。

痛くて左手で触ってみる、
押してみる、痛い。
押した瞬間は痛みが変わるけれども、手を離せば同じ痛みになる。

道路からの振動は激しく体を上下に揺らし、頭を振り回す。
眠くないはずなのに眠気が襲ってきて

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車窓から見える走る木は

電車の窓から見る外をながれる木は、置いていく人に見える。
空と電車に追いつこうと必死に走るが、窓から見る人からは置いていかれてしまう。

眺める私は、あぁこのまま進んでしまうなぁとそれを見ているだけ。
途中下車をしようとも思わないし、過ぎ去るその時から既に思い出になってしまっている。

この景色、見覚えがある。
きっと忘れなくていつか思い出したりするんだろう、でもその時にははっきりとは思い出せなく

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夜がなければ

夜という時間がなければ恋は成熟しないだろう。
夜のあのだれかと話したくなる時間がなければ、人は誰かを求めたりはしないし、いつも朝のような爽やかな心持ちであれば恋はなくても生きていける。

檻の中

檻の中にいるみたいだと思った。

餌を与えられ生かされ、
観客を楽しませるためのサーカスをするような。

賃金はなく、閉じ込められることが当然。
なんの努力もなくただ檻で囲ってれば逃げ出さないとたかを括っている。

陽気な猿でいればいいんだろうか。
檻を壊して外に出ればいいんだろうか。
それともそもそも檻の中に閉じ込められていなかったのか。
それとも、それとも、
私は檻の中に居ないのか。

車の排気口

こんなに近くにいるのに表情が見えないのはなんでなんだろう。

かろうじて見た顔は夢の中で見たみたいに力がなくて現実味がない。
そんな笑い方をしてましたか、覚えていません。
笑い声もわからなくなってしまった、何を話して良いのかも。

長年会っていなかった親友みたいに、急に話すようになるのかな、
それとも遠くに行って帰ってこない親友になってしまうのかな。

あぁ、このまま煙になって車の排気口から出

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波風立つを愉しむひとへ

穏やかすぎる海にいた
さざ波の音を聞いていて幸せだった

しかし聞いているうちに
波は少しずつ強くなり
いまではすこし五月蠅いくらいに
耳にせまる音に変わった

波風立つのを楽しめる人になりたい
そんな自分に酔える人に
なりたいと思っては叶わぬと思う

舞台

ステージに出る時間が近づく、
セリフが頭に入らない、どうしよう。全然覚えられていない。
スポットライトが当たる、下手な演技をする。

左右に揺れながらわざとらしい感情表現で
覚えてきたセリフを声に出す。
ああ、自信がない、今すぐ舞台の袖へひっこみたい。
今のこの瞬間はきっと思い出したくない思い出になる、そう思った。

次の瞬間セリフを忘れた。
このつぎのセリフが見つからない。
顔から火が出るほど恥

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