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PAINT-DEEP LIES

!この記事には「Layers of Fear(2016)」のネタバレ感想が含まれます!







「最高傑作を完成させる」という一文に惹かれて買った。
ホラゲーなので当然だが、タイトル画面の曲が既に恐怖を掻き立ててくるし明るさ調整でなんかおぞましいのがいる。
操作できるようになって真っ先に気付いたのは、視点主の足音の不自然さ……おそらく足を引きずっていることと、まるで心音のようなそれが気味悪さを醸し出していることだ。
歩き回る中で鏡の存在に気付いて覗き込む。果たして俺は俺で居続けられるか? 今のところは人の形をしている。
誰もいないがさっきまでいたような明かりの付き方に怯えながら、屋敷の構造がじわじわと変わっている不気味さを味わった。

ざわざわとうるさい箱の中から指輪を見つけて、プロポーズの言葉を思い返す。
「この世で最も美しい芸術作品に自分の名前がついていないなんて、考えただけで死にたくなる」だなんて、なかなかに創作者臭くて高慢な文句だなと失笑した。
こんな執着が見えるなら、最愛の人の絵を最高傑作にするんだろうな、という予想を抱きながら進む。
廊下の絵はだんだんおかしくなっていくが、これはこれで好きだなと思った。キュビズムだっけ? そんな感じがする。違うか。
屋敷内の黒い塊は燃やした紙の残骸や冷えかけの溶岩に似ていた。単に火災現場に残るものであったのかもしれない。

絵画がすぐ背後に迫ってきたり何度も鳴り響く黒電話の音、急に鳴る大きな音と揺らぐ視界。
それらに対し恐怖よりは焦燥を感じる。それも、「うるッッッせえ…………」と噛みしめるような。あらゆる方角から何度も同じ言葉を浴びせられる苛立ちに近いものがある。
それはそれとして、妻の影らしきものに触れすぎたり好奇心に負けてDON'T LOOK BACKに逆らったりなどして抱きしめられて死んだ。

家族にまつわる回想と儀式めいた素材集めを終えて絵は完成し、あら美人~と思いながら見つめるのもつかの間、剥き出しの異形と成り果ててしまう。
振り返りすぎたのがいけなかったんだろうな、多分。直感的に思った。
異形の絵を投げ込んだ部屋にはいくつも同じようなものがあって、堂々巡りとはこれか、と。

その後、おそらく別人の視点に切り替わって、異形の絵を投げ込んだ部屋は普通の女性の肖像画が転がっていたし、屋敷は放置されて久しい朽ち方をしていた。
あの画家の目にだけ異形と美しい屋敷が映っていたんだろう。全ては嘘だった。

ただ、アトリエの奥には布をかぶったイーゼルが鎮座していて。

布をどけてしまえば狂気の始点、血肉を少し垂らしたようなキャンバスが現れた。
これだけは、これだけが主観も客観も超えた"本当"だったんだろうか?


妹「LOFの絵って実際記憶を辿って一番自分の思い通りにする手段にみえるんですg」
私「そうでなかったら何だと思ったんですか?」
妹「ミ゙」

まだトゥルーエンドという感じはしないのでそのうち2周目を……と思う。
その上でまた違うことを感じたら書き足すかもしれない、頼んだ後の自分。


追記(2025/1/15)
実績「我が求めるもの」を解除した。
そうだよな、最後まで愛してたのって結局そっちなんだよな。
なんなら冒頭に出てきたドリアン・グレイの肖像の引用部分が答えなんだよな……。英語で書かれてて読めてなかったけど。