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Leica M11 / Thambar 90mm f2.2
復刻版タンバールとは
ライカレンズの中でも異彩を放つタンバール。オリジナルはマックス・ベレクによって設計され1935年から2984本製作された伝説のレンズ。敢えて収差を残してソフトフォーカスを実現し、特別なセンタースポットフィルターを用意しさらに収差を調整できる。
有名な使用者として木村伊兵衛が那覇の芸者等、ポートレート作品で多用している。
このタンバールMは、2017年年末オリジナルの復刻版としてライカが再生産したものである。
噂によると約1000本生産され現在(2022年現在)既に生産完了している。
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レンズ構成はオリジナルを踏襲している。オリジナルとの主な違いはレンズコーティング。オリジナル版は80年以上前というのもあるがコーティングなし。復刻版はレンズの腐食防止のためシングルコーティング。その他、マウントはLから6ビット対応Mマウント、フィルターは特殊なE48から標準的なE49に変更。
絞り羽は20枚のほぼ完璧な円形絞り。金属製の鏡胴、レンズフード、前後キャップ。最近のライカレンズとは違い工作精度は非常に高い。金属フードの内側にはフェルトを裏打ちし、そのまま留め具なしに逆に取り付けることできる。もちろん工作精度が高いので落下もない。
レンズフィルターは、センタースポット付きフィルターが標準付属。このフィルター無くしたり破損させるとライカ純正部品で約5万円する。
ノーマルフィルターは付属しないが、センタースポットなしのフィルター使用には注意が必要で、移動時金属レンズフードを逆さにして取り付けつけるが合わないものを使うと直ぐに落下したり、逆に硬くてはまらなかったりする。
家に転がっていたE49のフィルターで色々試したが、薄枠のKenko Pro1D= 少し緩い、Marumi 普通のE49=固く使用しづらい、Leica純正E49Uva=かなり緩い(多分直ぐに落下する)と中々合うものがない。
そこで超薄枠のUN製のeins super protect filter UNX-9626 。フロントサイドにネジ枠もない被せ型のオールドレンズ用で厚さ1.5mm程度のフィルター。ガラスはSCHOTT社製でAmazonなどで販売されている激安フィルターのような精度の不安もない。ちなみにこのUNのE43版は、貴婦人こと初期のSummilux 50mm f1.4にフード付きで使える程薄型設計のフィルター。
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センタースポットフィルターとナシ、どちらが良いかは個人の好みに分かれるが私はより収差が出るセンタースポットフィルター付きの方が好み。
タンバールのボケの秘密
タンバールと一般的なソフトフォーカスレンズとの違いは前ボケにある。一般的なソフトフォーカスレンズは後ろボケがより軟調で美しくなるように設計するが、このレンズは前ボケの美しさに設計の重きを置いている。
つまり、逆に後ろボケは暴れる傾向となる。さらにセンタースポットフィルターを使用して収差を強めると、センタースポット効果もありボケはリングボケに変化する。
一般的にこの効果から使いこなすのが難儀なレンズとしても有名である。
ソフトフォーカスレンズは、ピントも曖昧なソフトな画像となり、EVFだとピントが確認し難い。レンジファインダーの二重像ならその心配はなく、ピントに関しては問題ないが、いささか90mmのレンズではブライフレームの枠が小さくフレーミングが難しい。
今ままでデジタルM型では使用した事がなかったEVFもこのレンズの使用頻度が上がったタイミングで使い始めた。Visoflex2については別の記事でそのうちレビューしたいと思う。
少し面倒だがピントはレンジファインダーで調整し、その後EVFでフレーミングを整える手法が、Leica M11とタンバールには合っている。
EVFは100%のフレーミングができることと、先のボケを含めた結果があらかじめ見える利点がある。
ただ、私自身この100%視野と結果が見えるEVFは写真を単調化させてしまう様な気がしている。言葉にすると難しいが、その場で結果の微調整できるため撮る前の想像力が下がり、些細な事に敏感になり過ぎるということかもしれない。
ソフトフォーカスレンズといっても少し絞り込めば、収差はほとんど消え一般的な90mmレンズに変化する。
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