ストーリータイプ16「ホラー」
物語のストーリーは、「主人公の行動」によって7つのカテゴリー分類ごとに、計24の「ストーリータイプ(物語類型)」があります。
今回は「主人公が不思議な経験をする」エブリデイ・マジック/ホラー/ミステリーのカテゴリーに属するストーリータイプ16「ホラー」をご紹介したいと思います。
「ホラー」はどんな物語か?
「ホラー」は、日常生活に魔法がかかり、不思議や奇跡が現れるエブリデイ・マジック/ホラー/ミステリーのカテゴリーのストーリータイプの中でも、とくに特徴的、かつ誰もが知る「読者を怖がらせる物語」です。
このストーリータイプで経験する主人公の不思議な出来事とは「恐ろしい怪物に襲われる」というものです。
「恐怖」を描いた物語は読者に一定以上の需要と人気があり、「怖いもの見たさ」の言葉通り、「恐怖」はエンターテイメント足り得るのです。
怪物に襲われる恐怖体験は読者の「生存欲求」に直接働きかけるモチーフであり、「どれだけ読者を怖がらせられるか」がこの物語の面白さの大きなポイントになっています。
このストーリータイプでつくられている代表的な作品
このストーリータイプでつくられている既存の作品には、次のようなものがあります。
昔話『三枚のお札』
怪談『四谷怪談』
怪談『番町皿屋敷」
・映画『13日の金曜日』
・映画『ジョーズ』
・映画『アリゲーター』
・映画『ジュラシック・パーク』
・映画『エイリアン』
・映画『ワンピース THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島』
小説『注文の多い料理店』
……などなど。
「ホラー」のつくり方
この物語をつくるには、次の3つの要素を決めるようにしましょう。
1.怪物に襲われる「主人公」と、怪物の犠牲となる「主人公のグループ」。
2.主人公が生み出し/招き寄せた恐ろしい「怪物」。
3.怪物に襲われる「場所」。
このストーリータイプの主人公は、怪物に襲われる人物であり、読者が怪物に襲われる恐怖を体験する際の読者が感情移入する対象、依代となる存在です。この物語の主人公の特徴として「物語最後まで生き残る」ことが挙げられます。
また、この物語の主人公は「1つのグループ」に所属していることが多く、主人公の周りには何名かの「グループの仲間」が存在します。そして、このグループの仲間たちは、怪物の犠牲になり、1人また1人と怪物に襲われその餌食になっていくことでストーリーを盛り上げる働きを担っていきます。
そんな主人公と主人公のグループの仲間を設定しましょう。
この物語の本当の主役は、主人公たちを襲う「怪物」となります。
怪物は「恐ろしい存在」でなければならず、容易に退治できるないような「強さ」を備えていなければなりません。かんたんにやっつけられてしまっては、怖さ、恐怖を描くことができなくなってしまうからです。
また怪物のキャラクター設定はさまざまなものが考えられます。悪霊やゾンビ、悪魔といった文字通りの怪物の場合もあれば、巨大な動物、生物も怪物になります。また、地球人を捕食する異星人や殺人鬼、ストーカーなどの異常犯罪者も怪物として設定することができます。
「ホラー」の物語では、この怪物は主人公によって生み出されてしまった、あるいは招き寄せられたという特徴を持っています。怪物は、主人公の愚かな過ち、モラルに反する行動などによって、主人公やその仲間たちに生み出された、招き寄せられた存在なのです。『番町皿屋敷』のお菊の亡霊も『四谷怪談』のお岩さんも、主人公のパワハラや浮気といった人の道を外れた行動によって生み出されます。だからこそ、怪物は主人公たちを襲うのです。
そんな怪物は、できるだけ「怖く」「強い」存在を設定しましょう。
また「ホラー」では、主人公が怪物に襲われる「場所」も恐怖を演出するうえで重要な要素になります。
この「場所」は、次のようないずれかの特徴を持っているところを設定するといいでしょう。
①「容易に脱出できない、逃げ道がふさがれ外部から隔離、隔絶」された場所、施設、建物内、密室。
②「助けが呼べない」場所、空間。
③できるだけ「狭い」場所、空間。
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