ストーリータイプ05「復讐譚」
物語のストーリーは、「主人公の行動」によって7つのカテゴリー分類ごとに、計24の「ストーリータイプ(物語類型)」があります。
今回は「主人公が段階的に熟達、発展する」カテゴリーに属するストーリータイプ05「復讐譚」をご紹介したいと思います。
「復讐譚」はどんな物語か?
これは「ステップアップ・ストーリー」カテゴリーの中でも異色のストーリータイプであり、悪人たちに傷つけられたり大切なものを奪われたりした主人公が「そんな悪人たちに報復、復讐する」過程を描く物語です。
異色のストーリーといいましたが、じつはこの復讐の物語は昔から多くつくられているメジャーなモチーフでもあります。
この物語の特徴は、何といっても主人公が強力な行動の動機を持っている点です。主人公の行動の動機、理由が明確で、強ければ強いほど、物語はつくりやすくなります。その意味では、もっともつくりやすいストーリータイプの1つです。
このストーリータイプでつくられている代表的な作品
このストーリータイプでつくられている既存の作品には、次のようなものがあります。
・『さるかに合戦』
・『かちかち山』
・『忠臣蔵』
・小説『モンテ・クリスト伯(巌窟王)』
・TVドラマ『政宗くんのリベンジ』
……などなど。
「復讐譚」のつくり方
この物語をつくるには、次の3つの要素を決めるようにしましょう。
1.悪人たちから「ひどい目」に遭わされた「主人公」。
2.主人公を害した「悪人たち」に「どんな方法、計画」で報復、復讐するのか。
3.主人公は復讐の果てに「何を見るのか」。復讐が終わった主人公は、どうするのか。
このストーリータイプの主人公は「ごくふつうの日常を送る善良な一般市民」ですが、ある時、悪人たちの謀略や裏切りにより、傷つけられ、大切なものを奪われ、人生のどん底を味わった後に悪人たちへの復讐を遂げていく人物です。
個人的な復讐は社会的にも容認できないことであり、悪いことです。
ですから、この主人公をつくる際は必ず「悪事の犠牲者」として「読者の共感を集める」人物になるように工夫しましょう。そのためには、そこまでされたら復讐を考えるのもしょうがない、と読者が思えるくらい悪人たちからひどい目に遭わせられる必要があります。
主人公をひどい目に遭わせ、主人公の復讐の対象になる悪人たちの人物設定もしっかりとつくっておきましょう。
悪人たちの必要条件は、ズバリ「悪人」であることです。自己中心的で、悪ければ悪いほど、主人公の復讐に対して読者の共感が集まります。
主人公はそんな悪人たちに対して、どのような手段で復讐するのか、その復讐方法と計画を設定しましょう。その復讐計画が物語のストーリーになるのです。
また、復讐譚の大事なポイントは「復讐を遂げた主人公がどうなるか」です。主人公は、復讐という自分の行いが決して正しいことではないことを自覚しています。そんな主人公が最後にどうなるのか、何を見るのか、復讐を遂げた先には何が残るのか、単純なハッピーエンドでいいのか、それとも主人公もまた自分の行いの責任を取らなければならないのか、どのような物語のゴールを用意しておくかが、とくにこのストーリータイプでは重要なのです。
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