「夜明けのすべて」瀬尾まいこさんらしい、癒しな本でした。【読書レビュ】
おはようございます。大橋です。今週はずっと雨でしたね。ビジネス書の間に、こうした「やわらかい本」もたまには読んでいて、特に瀬尾まいこさんは、「そして、バトンは渡された」からオトナ買いをして複数冊読んできたこともあり、よく読んでいます。 読んではいましたがアップがずいぶんと遅くなりすみません。 では、行ってみましょう。
夜明けのすべて
瀬尾 まいこ 著
2020年10月の本
瀬尾まいこさんらしい、ほっこりする本。 ビジネス書を基本として、自己啓発本やらノウハウ本やら経営書やら、いろんな本を読むわけでありますが、昨年は瀬尾まいこさんやブレイディみかこさんの本をオトナ買いしたりしたこともあって、一回前のまとめ買いのタイミングで購入した本。 読んではあったのだが、二度目読みや読書レビュがずいぶんと後回しになってしまっていた。
温かい、柔らかい文体での小説なので、読む時間そのものはすぐで一日とか二日とかで読み切れてしまうんだけれど、いつもどおり瀬尾まいこさんらしい、ほっとする読後感というか、幸せな気分になれる本でした。 さきほども少し書きましたが、経営書とかビジネス書とか、ハードな本を読んでいる中で、こうしたほっこり小説を並行して読むのも気分転換になってよいですよね。
せっかく趣味の時間として、自分の時間を費やしている中で、ウンウン言って、脳みそ使って、それこそ「読むのに疲れる」という本ももちろん大事ですけど、リラックスできる本、すばらしいですよね。 なんというかジャスミンティーとか、ハーブティーみたいなイメージ。(勝手なイメージだ)
(相変わらずネタバレ含みますが)この本のストーリーとしては、PMSという症状をもった若い女性(藤沢さん)と、パニック障害という症状をもった若い男性(山添君)が、初めはお互いのことがわかっていなかったところから徐々にお互いを理解していき、変化・成長していく、というもの。 PMSとは、月経前症候群、と呼ばれる病気で、生理直前に訪れるイライラの強い症状(などの制御の効かない通常外の状態な症状)、のようです。
主人公の一人の藤沢さん、PMSが原因で前の会社を辞めて、今は栗田金属という社員6名の小さな会社で働く。 山添君も、前の会社でパニック障害を発症してしまい会社を辞めなければならないようになって栗田金属へやってくる。 山添君が落としたソラナックスという薬を藤沢さんが拾ったことから、二人の関係が少しずつ変化していく。
パニック障害も、PMSも、私としては、ほとんど知らなかった病気であり、『PMSと死ぬほど苦しくなるパニック障害を同列に並べているのだろうか(P53 )』と記載もあるが、こうした病気と向き合って過ごしていく、生きて行くということは、本当にすごいことだし、そういう多様な人々がいるんだ(いるかもしれない)と考えながら生きて行かねばなぁ、とも改めて思わされました。
多様性の受容とか言葉では理解するものの、やはり単純化・シンプル化の思考が働いてしまい、ついつい「自分はこう思う・こう考えるから、自分以外の方もこうなはずだ・こうあってほしい」という思考に傾きがちな人間なので、そこはより意識していかねばなぁと、改めて気づかせていただけました。
夜明けのすべて、というタイトルも、終わりまで読んで、なるほど、と思いました。(その部分の抜粋引用は、あえて止めておきます) とりとめのない小学生のような読書感想文ですみません。
以下、抜粋引用となります。(あくまで自分が気になった部分となります、ご理解ください)
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・P135 学生のころの私は、思ったことを口にして自由にふるまえる人をうらやましいと思っていた。自分はそれができないからPMSの時にいらだちが爆発してしまうのかもしれないとも考えていた。でも、社会に出て、関わる人も広がって、本当に言いたいことを言って、何の曇りもなく自由に思いどおりに生きている人などそういないことを知った。ありのまま生きているように見える人も、そんな強い自分であるために、どこかで無理をしている。他人がどう思うかを考慮せず、自分の心だけに従って動ける人は、たぐいまれなはずだ。
ただ、相手によって、そんなかまえを外せることはあるのかもしれない。山添君に対しては、嫌われたらどうしようとか、気を遣わせたらよくないとか、そういったことはどこにも浮かばない。どんな人間だと思われたいか。そんなことは一切考えずにいられる。
はい、自分のことを代弁していただいているようで共感した。(あいかわらずエラソウ) 小学生のころとか中学生の頃とか、結構優柔不断な自分がいて、なんらか決めて前進しよう、とか、そういうことを行動しはじめるようになって、親父から育てられたBeUniqueの概念が、自分なりに理解できるようになって、言いたいことを言い、やりたいことをやってきた(やりたいことをやれ、と言ってもらってきたから)。 でも、会社や社会において「言いたいことを言う」には、「じゃぁお前はどうなんだよ?」に対してきちんと胸を張ることができないと、言いたいことも言えないとは思っていて、「言いたいことを言うために努力する」というのは、自分にとっては極めてしっくりくる。 (大学の研究室で先生に「お前の発言や行動にはすごく共感をするけど、そのままでいたら社会に出て相当苦労するぜ」と言われたことが、すごく身に沁みます)
あ、相変わらず自分のことばかり書いてしまったが、その共感とともに、続くフレーズ、『相手によって、そんなかまえを外せることはあるのかもしれない』の部分こそ、それこそ瀬尾まいこさん節の真骨頂だと思っていて、じぶんのことで共感したプラスアルファの部分含めての抜粋としました。
・P184 恋人に友達、一緒に仕事に向かっていた仲間や上司。みんな遠くに行ってしまったと思っていた。パニック障害を抱えてしまっているのだ。新たに誰かと打ち解けることなどないと思っていた。でも、本当にそうだろうか。
お守りを手にしながら、藤沢さんが買ってきてくれたコーラの残りを飲み干す。俺はすべてから切り離された場所にいるわけではない。完全な孤独など、この世の中には存在しないはずだ。
コロナ禍で、孤独になっている人が多いと聞いている。 特にわが社に入社してくれている新入社員のメンバーは、いまだ物理的に会社メンバーと会ったこともほとんどないはず。 (特にわが社が際立っているようだ、というところは最近感じてはいるが)という背景があることもあって「俺はすべてから切り離された場所にいるわけではない」という言葉に妙に共感してしまって、そうなんだよ、孤独じゃないんだよ、切り離されてなんかないんだよ、と応援したくなった。
・P226 「すごいですね。体って」
「本当に。虫垂炎になったって、穴開けて手術したって、三日くらいで復活するもんね」
「すべてではないだろうけど、回復させる力がぼくらにはあるんですね」
「うん、そうだね」
藤沢さんはにこりと笑った。
この何気ないやりとり、ほんとさすがだと思った。 一発でじーーーんと来た。PMSやパニック障害という、難しい病気を患ってしまっている二人が、お互いを助けることはできる、と成長していっている。藤沢さんが虫垂炎から退院する際の、ちょっとしたやりとりのシーン。このわずかなやり取りで、『回復させる力がぼくらにはあるんですね』という言葉でエネルギーを与えてくださる、どんな病気にも向き合って行ける、という強さを感じさせる。これもまた、素晴らしい応援メッセージだと思った。(バックミュージックで、ZARDさんの「負けないで」が流れるイメージ)
・P248 働かないと生きていけないし、仕事がなければ毎日することもない。だから会社に勤めている。けれども、仕事のもたらすものはそれだけではない。自分のできることをほんの少しでも、何かの役に立ててみたい。自分の中にある考えを、何らかの形で表に出してみたい。そういう思いを、仕事は満たしてくれる。働くことで、漠然と目の前にある大量の時間に、少しは意味を持たせられる気がする。
ここもすごく共感したな。そうなんだよね会社を通じて社会に貢献していることはもちろん感じるし、「自分のできることをほんの少しでも、何かの役に立ててみたい」ということで、僕は一人でもゴミ拾いをするし(オレのゴミ拾い)「自分の中にある考えを、何らかの形で表に出してみたい」というのが、この読書レビュ活動だと思うし。(つまりやりたいことを、やりたいだけやっている)
・P252 「藤沢さんは、人に喜んでもらうのが好きなんですよ」
ぼんやりと考え込んでいた私に、山添君が言った。
「どういうこと?」
「人の評価を気にして、人に好かれようとしてと言うと、響きが悪いけど、単に藤沢さんは人に喜んでもらうのが好きってだけです。気を遣ってるんじゃなく、自分が好きだからやってるんですよ」
「そうなのかな」
「好きじゃないと、ここまでできないじゃないですか」
(中略)
人に悪く思われないためなのか、人に喜んでもらいたいためなのか、自分の行動の根源にあるものは自分でもわからない。けれど、嫌われたくない。そればかりだったら、みじめだ。気を遣っているわけじゃなく好きでやっている。そういうことにしておけば、気持ちは楽だ。
「そんなふうに考えられたら、少しは自分のこと嫌じゃなくなりそうだね」
「無理して好きになることもないですけどね」
最後の引用は、こちらのシーン。これもまた、自分事に照らし合わせてしまうのだけれど、まさに僕は「人に喜んでもらうのが好き」な人間です。そのために(あまり深く考えもせず)行動します。 さきほどいったゴミ拾い、も、もちろん自分がゴミが散らかっているのが嫌いだから、ゴミ拾う、ということもあるけど、自分が行動した結果として、まちがきれいでい続けられる、そして誰かが喜ぶ、と思ったら、行動できる。 柏ラグビースクールで選手が成長したらうれしいし、大橋さんがいてくれて助かる、と言ってもらえたらうれしい。 まさに人に喜んでもらうのが好きなのである。こうした読書レビュを続けることも、誰か喜んでもらえるなら、さらにうれしい。
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以上
最後まで読んでいただいてありがとうございました。あいかわらず読書レビュからはずれ、自分の感情をさらけ出すようなnoteになってしまいましたが、そのへんはご容赦ください。 共感いただけたのなら「スキ」をしていただけると励みになります。 それでは、いつものブクログレビューで終了にします。 今日もありがとうございました。 実はこの本はゴールデンウィークに一度読み切っていて、二度目読み+ブログの仕込みを直近で実施していました。 そしてついに、毎週の投稿が切れるかもしれない。読み切った本もレビュの仕込みも一冊もなくなってしまった。いよいよ今週で連続投稿記録、切れるか? 次週も拝見いただければうれしいです。