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『僕は君たちに武器を配りたい』瀧本さんが次代の若者へと願った本、いまでも十分伝わります。

 2022年4冊目も、瀧本哲史さんの本としました。 3冊目が瀧本さんの本だったから連続で読みたくなったからなんだけれども。僕の本の読み方として、評判が良かったり気になったりする人の本を一冊読むと、立て続けにその著者の本を買いたくなって複数本買ったり、複数冊読み込んだりする傾向にあります。 先日も記載しましたが、一昨年(2020年)のゴールデンウィークに「7days Book Cover Challenge 」にて紹介を受けた瀧本さん、先日本屋に行った際に複数冊調達しておりました。(全部ではないけど)以前から気になっていた『僕は君たちに武器を配りたい』がエッセンシャル版として文庫本サイズで読みやすそうだったので購入しました。

僕は君たちに武器を配りたい エッセンシャル版

瀧本 哲史 著
2013年 11月の本 

 「はじめに」にてこのエッセンシャル版ができた経緯が書かれているのだけれど、もともとの『僕は君たちに武器を配りたい』(講談社刊)(2011年)は、瀧本さんが次代の若者たちに、現在進行中のグローバリズムの本質と日本の没落、その背景にある企業、サービス、そして人の「コモディティ化」とそれに対抗するための方法を説くものとして、刊行されたそうです。しかしながら、実際の市場の反応は、20歳前後の若者だけではなく、むしろ30代の中堅ビジネスマンに圧倒的な支持を取り付け、最終的には2012年のビジネス書大賞に選ばれたとのこと、だからなんとなく僕も聞き覚えがあったんだということですね。(乗り遅れていてすみません) その後、原本の趣旨をなるべく損なわないような形で、エッセンスを抽出した「エッセンシャル版」として、誰にでも買いやすい金額+文庫本サイズという形で刊行されることになったとのことです。(単価500円(税別)です)(これまで読んだ二冊もリンクつけておきます)

 本の内容に関するレビューとしては、僕ももう40台半ばまで来てしまっているのですが、やはりこの不確実な時代での人生の生き方に対して応援させられる本だったと言えます。読んでもらいたい想定読者を20台若者と設定し、リベラル・アーツを学ぶことを推奨し、幾つかの事例を交えながら、今後の時代に生き残るための生き方(タイプ)に分けて整理し、提案をしてくれている。それぞれのタイプの特徴を整理し、わかりやすい形で表現してくれている。若者にとってもわかりやすい書籍になっているということなのだろう、と感じました。 果たして自分はこれら整理されたタイプのどこが近そうか、と思いながら、BeUniqueでの生き方を目指し、スペシャリティを発揮して生きようとしています。 瀧本さん、これからも応援してください。改めましてご冥福をお祈り申し上げます。 

以下、引用です。自分へのまとめも含めて記載しています。(単文のみで抜粋すると伝わりにくいので前後を加えて記載しているのでだいぶ長い引用に全体的になっています。もうすでに4000文字を超えちゃったから引用に対する考察・コメントは今回は記載しないこととしよう)

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スペシャリティ

P17 あらゆる業界、あらゆる商品、あらゆる働き方においてスペシャリティは存在する。しかしその地位はけっして永続的なものではない。ある時期にスペシャリティであったとしても、時間の経過に伴い必ずその価値は減じていき、コモディティへと転落していく。
 スペシャリティになるために必要なのは、これまでの枠組みの中で努力するのではなく、まず最初に資本主義の仕組みをよく理解して、どんな要素がコモディティとスペシャリティを分けるのか、それを熟知することだ。
 その理解がなければ、どれだけハイスペックなモノやサービスを生産していても、コモディティの枠に入れられ、一生低い賃金に留まることになるだろう。

僕は君たちに武器を配りたい エッセンシャル版 P17


行動を継続し、柔軟な発想転換

P136 私の知人に、上智大学を出て、高校の英語教師になった人物がいる。彼は非常に高いレベルの英語力を持ち、しかも本格的に英文学を学び、もちろん英会話もネイティブ並み。しかし最初に赴任した高校は非常に偏差値の低い学校で、生徒にはABCの書き取りから教えなければならなかった。
 やがて彼は「このままで自分の人生は良いのだろうか」と悩むようになり、一念発起。学校を辞めて英会話学校を開き、日本人を相手に英語を教えようともくろんだ。
 しかし、残念ながら彼には実社会のビジネスの経験がないため、英語に堪能でもビジネスパーソンが必要とするビジネス英会話を教えることができないことに気づく。生徒が集まらず経営難に苦しむことになったが、あるときまったく別のエグジットを見出し、活路を切り拓く。
 なんと彼は、外国人向けの日本語教師になったのである。アメリカやイギリス、インドなどから日本企業にやってくる「エクスパット」と呼ばれる短期駐在員の妻や家族を相手に、英語で日本語を教えるビジネスを始めたところ、これが大当たりしたのだ。

僕は君たちに武器を配りたい エッセンシャル版 P136


潰れそうな会社に入る選択肢も

P159 そのようにイノベーター的な考え方をすると、潰れそうな会社に入ることも大きな意味がある。たとえば、今はなんとかもっていても、将来の先行きはないだろうと思われる会社に入り、会社と業界を徹底的に研究する。そして、会社が潰れる前に退職し、その会社を叩き潰す会社を作るのである。
 「世話になった会社を叩き潰すなんて…」と、こころが優しい人には極悪非道な振る舞いのように聞こえるかもしれないが、起業を成功させるためには非常に有効な手法である。

僕は君たちに武器を配りたい エッセンシャル版 P159


イノベーター起業家

P166 ほかの業界、ほかの国、ほかの時代に行われていることで「これは良い」というアイディアは「TTP(徹底的にパクる)」すれば良いのである。

 イノベーションをある業界で起こすための発想術は、実はそれほど難しいことではない。その業界で「常識」とされていることを書きだし、ことごとくその反対のことを検討してみればよい。たとえば自動車を売る販売店のビジネスでは、常識的に考えれば、お客さんは車を買うことができる「大人」が対象となる。しかしその逆に、「子ども」をお客にできないかと考えてみる。(中略)
 このように発想手段として、「何かを聞いたら反射的にその逆を考えてみる」というのはイノベーションを生み出すうえで、非常に有効な手法である。今までのやり方でうまくいっていないとするならば、そのまったく逆をやってみたほうが成功する確率が高まることは、往々にしてあるのだ。

僕は君たちに武器を配りたい エッセンシャル版 P166


究極的には二つの道しかない

P196 私は長期的には中国は普通の資本主義国になると予想しているが、その道は平坦ではないとも思っている。そのため彼らは、いざというときのための「資産」「貯金」として、世界中に資産を分散し始めており、その一環として、日本の土地を買いあさっているといわれている
 つまり我々が長年住み続けてきた、この日本の国土すらも、資本主義の市場の中で、商品として売られるようになってしまったのである。(中略)
 だからこそ、私は本書で、これからは投資家的な発想を学ぶことがもっとも重要だということを繰り返し述べたい。なぜならば、資本主義社会では、究極的にはすべての人間は、投資家になるか、投資家に雇われるか、どちらかの道を選ばざるを得ないからだ。

僕は君たちに武器を配りたい エッセンシャル版 P196


イノベーションの多様性

P231 イノベーションは科学や技術を専門とする理系の人間だけの仕事ではない。現在、そして未来の人々がどんなことに困ると予想されるか。どんなことが可能になったらより幸せになれるか。今まだ顕在化していないニーズを見つけて実現するのは、まさしく私がこれまで述べてきたマーケターやイノベーターやリーダー、そして投資家の仕事にほかならない。

僕は君たちに武器を配りたい エッセンシャル版 P231


自由になるための学問

P245 リベラルとは本来、「自由」という意味である。つまりリベラル・アーツとは、人間が自由になるための学問なのだ。有名大学を卒業したというただの肩書を手に入れるためではなく、いかに大学でこのリベラル・アーツをきちんと学んだかが、これからの社会では大きな意味を持つと私は考えている。
 リベラル・アーツでは、人類が歩んできた歴史や、過去の叡智の結晶である哲学、芸術や文学、自然科学全般について勉強する。
 幅広い分野の学問領域を横断的に学ぶことにより、「物事をさまざまな角度から批判的に考える能力」「問題を発見し解決する能力」「多様な人々とコミュニケーションする能力」「深い人格と優れた身体能力」などの力を身につけることを目指す。

僕は君たちに武器を配りたい エッセンシャル版 P245

先日読んだ、「自由になるための技術リベラルアーツ」にも類似なことが書かれていた。本当に今の時代にはこれを学ぶことがすごく重要だと今更になって思います。

P247 社会に出てから本当に意味を持つのは、インターネットにも紙の本にも書いていない、自らが動いて夢中になりながら手に入れた知識だけだ。自分の力でやったことだけが、本物の自分の武器になるのである。資本主義社会を生きて行くための武器とは、勉強して手に入れられるものではなく、現実の世界での難しい課題を解決したり、ライバルといった「敵」を倒していくことで、初めて手に入るものなのだ。

僕は君たちに武器を配りたい エッセンシャル版 P247

ここのところも大変共感しました。社会に出てから20年、いろいろ考えたり勉強したり、経験したりして積み上がってきたこと、自らが動いて夢中になりながら手に入れた知識、これがようやく形になってきている実感はある。まだひと様に体系だって伝えられるほど整理はできていないのだが、自分で汗かいたからこそ、力になっている、というのは実感としてわかる。


人生は短い。戦う時は「いま」だ

P250  彼の生き方から我々が学べることは、時には周囲から「ばかじゃないのか」と思われたとしても、自分が信じたリスクをとりにいくべきだ、ということである。自分自身の人生は、自分以外の誰にも生きることはできない。たとえ自分でリスクをとって失敗したとしても、他人の言いなりになって知らぬ間にリスクを背負わされて生きるよりは、100倍マシな人生だと私は考える。

P252 若い人が何か新しいことにチャレンジをしようとするときに、「それは社会では通用しないよ」としたり顔で説教する「大人」は少なくない。
 しかしその言葉は、既得権益を壊されたくない「大人」が自分の立場を守るために発しているかもしれないのだ。自分の信じる道が「正しい」と確信できるのであれば、「出る杭」になることを厭うべきではない。本書で述べてきたように、人生ではリスクをとらないことこそが、大きなリスクとなるのである。

僕は君たちに武器を配りたい エッセンシャル版 P247

<余談です>
「したり顔で」と来るとどうしても「あんたは私の何を知る!」と言いたくなってしまうぐらい欅坂が好きです。(この歌詞解釈もすごい!)


コメントに戻ります。
最後のメッセージ、本当に強く刺さりました。自分の人生、いろいろあって「出る杭」としてがんばって、打たれることも多かったですけど、自分としては正しいと確信した道を歩んでるし、「決めて断つ」のように自分が決めた道を正解な道にしてきてもいると思う。瀧本さんのように若者を導く書籍なんてものは書けないけれど、後輩の育成や、ラグビースクールでの活動等で少しでも他者の成長に寄与出来たらな、また明日からも頑張ろう、と思えました。 人生は短い、書籍に残されたこの言葉が非常に心に響きます。改めまして瀧本哲史さん、ご冥福をお祈り申し上げます。

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以上

最後まで読んでいただきありがとうございました。素敵なラストのメッセージに入る前に欅坂を入れてしまいましたが、僕が欅坂を好きな背景がなんとなくわかっていただけるかな、とも思いました。 最後にはいつものブクログを入れておきます。ほかの方のレビューもまた、すごかった!


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