BRICKS終演
BRICKSは実話をもとに書いた。
義和団事件の発端となるある事件に焦点を当ててみた。
中学の社会の授業で習ったこの義和団という名前がこの年になっても離れなかった。
先生が「功夫映画はある種、この義和団を鎮魂するような作りになっているものも多い」
という言葉がこの年になってもずっと脳裏のどこかに離れずにいた。
清朝末期の時代、当時武術は内に秘めた力、催眠術的なものも多かったという。
マウルは趙三多という人物をもとに書いた。
そしてアリアは趙三多に儀式を教えた人物だった。(名前は自分が失念してしまった)教えた後この人物は記載がなく、歴史の闇に消えていく。
帯刀会は大刀会という秘密結社がモデルである。
趙三多は梅花拳を習得していたそうだが、大刀会と組み、儀礼を持って組織化する。そこに武器に赤い布をつけて戦う紅拳達も加わり、欧米の勢力と対抗する。
「槍に赤い布をつけたみずぼらしい女」アリアは紅拳の首領というイメージで書いた。
以後各地から武術家達が趙三多のもとに集結していく。
扶清滅洋をかかげ、素手と兵器(剣・槍・刀など武術特有の武器の言い方)だけで戦おうとする。
「槍は兵器の王だ。百万の兵をも恐れない」
古代、三国時代の英雄、趙雲子龍は主君の赤子を抱え、百万の敵兵の中、槍を持って戦った。
その最強の兵器をも凌ぐ殺人兵器「銃」
ここに二つの勢力が戦うことになった。
巨額の資本を投資して量産化される銃
対して肉体を鍛え上げ、精神を研ぎ澄ます武闘家
また武闘家は呪符を信じ、呪符に書いた英雄の魂が宿るとされ、強力な催眠に入り、銃弾の中戦った。
最初は地方の役人までもが武闘家を拳民としてあがめたが、徐々に旗色が悪くなると拳匪としてさげすまれるようになった。
清朝政府も、拳法は危険思想とし取り締まり始める。
趙三多は梅花拳を名乗ることを辞め、大刀会と趙は義和団と団体の名を改名
加勢した各地の武術家も師や同門が投獄されることを恐れ、自分の拳は名乗らず、義和拳を名乗る。
そんな中、ある街にキリスト教や欧米の施設が入るため、強制的に住民達は立ち退きを命ぜられる。これを聞いた義和団は動き出し、各地の武術家を図り、演武会を開く。
押し寄せる軍隊3000人と各地の武闘家と観衆3000人が街に入り異様な中、演武会が行われたという。
そして歴史上ではこの時、どういうわけか、軍隊は引き返すのである。
「戦士がすべてをかけた舞いを披露しておりますのでしばしお待ちくだされば‥」
劇中の政府軍指揮官サビラのセリフである。
演武は簡単なものではない。今も昔も、技術は変われども真の部分は同じである。
演武は自分と同じ身長、体重、自分と同じ心の人間を倒そうとするのである。それには一瞬一瞬の動作に命を吹き込むしかない。一万日をかけても習得することはない。
もしかしたら政府軍にサビラのような武術を愛していた指揮官がいたのかもしれない。
劇中ではアリアの槍が、科学技術の結晶の銃を持ったシンバシの胴を貫く。
奇しくも近代化を進めていくシンバシが、古代から伝わる兵器の王を持って死んでいく。
その後義和団の反乱は欧米列強が清に入る口実となり、世界の軍によって鎮圧されていくのである。
趙三多は街を守りながら最後まで戦い、獄中で死する。
ではアリアは・・名前も忘れてしまった趙三多に儀礼を教えたあの人物は・・
「武闘家の世は終わらせたくない」
そう思い各地で趙三多、いやマウルのような人間に武術を教えていったに違いない。
「こんなじゃ!こんなでいこう!!」
と各地で明るく笑って生涯を終えたのであろう。
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