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執行役員海外担当が語る資金調達の裏側①世界的大企業アラムコVCからの資金調達における葛藤と覚悟

初めまして、テラドローン執行役員の羽渕です。
テラドローンは1月25日にアラムコのVC  Wa’edからアジア初のスタートアップとして18.5億の資金調達を実施したことを発表いたしました。

なぜテラドローンが世界的大企業のアラムコから選ばれたのかという点について実際に調達を担当した現場が感じた葛藤やテラドローンとしての覚悟についてお話いたします。

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自己紹介

まずは簡単に私の自己紹介をいたします。
大学卒業後、2011年に大手電池メーカーに入社し、主に産業用リチウムイオン電池市場の海外新規事業開発及び新商品開発をアジア、欧州、中東、アフリカ市場向けに担当しました。担当していくうちに私は海外の現場で、優位性、市場機会そしてシェアを失っていくのを目の当たりにし、それに対して何もできない自分にとても悔しい思いをしました。
そのタイミングで、テラドローンと出会いました。入社の決め手は、代表徳重の”世界で勝つ”という強いビジョンです。当時から社長自らが世界を飛び回って事業立ち上げを行なっていました。大きな成長の可能性がある黎明期のドローン市場で、自ら市況を感じ取り、リスクをとってスピーディーに判断し、事業投資を行っていました。この方法でしか世界で勝てる方法はないと強く感じ、入社を決めました。

2018年にテラドローンに入社してからは、Terra Drone IndonesiaのCEOとして現地駐在しPMIを実施し、買収前と比べ約4倍の売上成長を達成。その後スロベニアのドローン固定翼メーカー社にCEOとして出向し、PMIを実施。2021年、テラドローンの執行役員に就任。オランダで海外事業統括として欧州関連会社の事業再生及び売却、またグローバル案件を担当。現在は、ベルギーに所在し、Unifly社にCCOとして出向。出資後のPMIを実施中。

資金調達概要

今回の資金調達のポイントは下記になります。

  • アラムコのVCであるSAUDI ARAMCO ENTREPRENEURSHIP VENTURES(以下、Wa’ed) からの18.5億円を出資。

  • スタートアップとしてアジア初のWa'edからの資金調達。

  • 資金調達に伴い、サウジアラビアでの子会社Terra Drone Arabiaを設立し、サウジアラビアの経済発展に貢献する。

資金調達の大まかなタイムライン

アラムコ本社と2021年10月から商談開始。アラムコがドローンを活用した事業創出のパートナーを探しており、世界の有名なドローンサービス会社及びドローンテック会社約50社に声をかけ、選考を始めていました。

  • 21年10月〜 22年1月:商談開始。アラムコとのビジネスプラン(10年分)を作成し、それをもとにパートナーを決定。その選考で、テラドローンの実績、技術力、またビジネスプランのQualityが要因で、第一候補企業として選考を突破。

  • 22年1月〜2月:Wa’ed経由で、テラドローン本社に出資し、子会社をサウジアラビアに設立するスキームで進めることに決定。

  • 22年3月〜9月::Wa’edからのCommercial Due Diligence(DD) 開始。

  • 22年11月:Legal DD開始、Term Sheet締結。

  • 22年12月:Legal DD締結、契約締結。

  • 23年度:Terra Drone Arabia設立(予定)。

当時の現場が感じた葛藤と覚悟

アラムコからお声がかかったとき、正直テラドローンとして、二つ返事で対応するというのもではありませんでした。その理由は、すでに私はグローバル案件、海外子会社複数社の経営を行っておりました。そのほかの海外関連のメンバーも同様です。その中で、アラムコとの取り組みとはいえ、激しい競争の中勝てる確率もわからない、競争で勝ち残ったとしても実現するかもわかりません。私とチームメンバーの多くの時間をそこにフォーカスするというのは、スタートアップとして、とてもリスクがあり、勇気のいる決断でした。アラムコのような世界的大企業の取り組みがすぐ決まるとも思えず、悩んでいたのも事実です。

当時のテラドローンの海外事業はいろいろ試行錯誤をしている段階で、アラムコとドローンサービスを基本とした取り組みにフォーカスすることが最重要か?社内で議論を重ねました。しかし社内で相談をする中で、これが成功すれば、大きなインパクトをドローン業界に与えることができると感じ、さらに、世界で勝てるグローバルメガベンチャーを目指す理念をもつ当社として、挑戦するべきではないかと決断をしました。

Wa’ed CEO Fahad氏、Terra Drone CEO徳重、羽渕など @Wa’ed office

資金調達が成功した大きな要因

大きな覚悟を持って取り組んだ本プロジェクトですが、想像以上に多くの時間と工数を要し、結果約1年3ヶ月の間本件に対応しました。その中で、成功の一番のターニングポイントとなったのは、アラムコのパートナー検討の選考(21年10月〜22年1月) で、1位候補者として通過できた段階です。ではなぜ50社中、当社が1位に選ばれることができたのか。当時を振り返りながら分析し、その成功要因を下記の通り共有します。今後の日本のスタートアップの海外進出に少しでも役に立てば幸いです。

1.世界での実績と独自テクノロジーを利用した競合優位性のある戦略

テラドローンは、2018年〜2020年にかけて、世界で合計約20カ国で企業買収&業務提携を行いました。業務提携&買収した企業の種類は、サービス、ハードウェア、ソフトウェアと多岐にわたりました。これによってテラドローンは圧倒的な世界での”実績””技術力”、そして”グローバル市場でのプレゼンス”を得ることができました。Drone Industry Insightsのランキングでは2020年に世界1位を獲得することができ、海外のドローン関連の会社で、”Terra Drone”という名前を知らない企業はほとんどないレベルまで、ブランド名の認知力の大幅な向上に貢献しました。

2.グローバル市場で新規案件を獲得する力

次の重要な要素は単純に、グローバル企業に対して製品、実績や戦略を売り込み、信頼を勝ち取る力です。基本は、日本国内の顧客同様、顧客目線で何が刺さるかを考え、それを説得力のある形で伝えるということです。グローバル案件では、それを英語かつ”文化や常識、バックグラウンドが日本と全然違う顧客”とそれを行います。新規案件獲得には、海外競合企業と競争し、信頼を獲得し、契約の交渉及び締結を行う必要があります。アグレッシブな中国勢、見せ方の上手な欧米勢と競い、勝ち抜くには、当社の行動指針にもある”強い当事者意識”の元、自分の感情や思いをのせ、製品や自社の優位性、また契約や技術的に複雑な内容も、ロジカルかつ適切に伝え、交渉できる力が重要になります。この能力は、当社で数々の海外で挑戦を繰り返す中で多くの”場数”を踏むことができ、培うことが出来たのだと思います。

3.質の高いフォローアップ

今回の案件に関しては、そもそも課題がワーク量的にかなり重い内容でした。PL, BS, キャッシュフローとそのロジックとなる情報とのエクセルの式の自動化はもちろん、それがわかりやすいUXであり、かつ効率化されていることも要求されました。提出してコメントをもらい、訂正して再提出を約20回ほど繰り返しました。私もプロジェクト責任者でしたが兼任状態で、財務担当者、もう一人のサポートの事業担当者もそれぞれ兼任で、全員兼任の合計3人というチームで厳しい要求に対応しておりました。

こちらの具体的なノウハウは後日共有します。

今後の目指す方針

上記の通り、スタートアップでありながら、アラムコのような世界的大企業の要求に対応するには、リスクをミニマイズしつつも、大胆に実績や技術を積み上げていくこと、そしてそれらを積極的かつ明確に伝え、信頼を勝ち取れたことが、成功の大きな要因になったと考えております。

出資を受けたことは、今後の更なる事業拡大のスタート地点に過ぎません。サウジアラビアには、アラムコをはじめとしたオイル&ガスプラントの点検市場はもちろん、建設測量、マイニング、通信基地局、電力点検など多くの成長市場があります。特に、建設市場は、サウジビジョン 2030で掲げられた脱オイル経済の方針からもあるように、NEOMをはじめとしたスマートシティの建設ラッシュがあり、大きな成長市場です。

また、Terra Drone Arabiaで作っていく実績は、サウジアラビアに限らず、中東市場のモデルケースになると考えております。特にアラムコは世界一のオイルガス企業であり、アラムコの動向は、他の中東大手オイルガス企業は常に把握しています。サウジアラビアで多くの実績をあげれば、隣国の中東市場への横展開の可能性も高まります。本出資をきっかけに、中東市場で圧倒的なシェアと獲得し、世界の産業用ドローン市場のシェアを更に拡大することが、次の目標になります。よりグローバルに名を馳せる企業として、まずサウジアラビア子会社の爆発的な成長、中東市場における圧倒的なシェアの獲得を目指したいと思います。

最後に

今回の発表の裏側として、現場の葛藤と覚悟をお話しましたが、グローバルでNo.1を目指す当社は、今後更に積極的にグローバル展開を加速していきます。
ベンチャーとして、グローバルで強力に展開している企業は数少ないと思います。現在将来の海外経営人材を募集しているため、ぜひご応募をお待ちしています。当社が重視するChallenge as global No.1のもと、新産業領域で世界に通用する企業を一緒に創っていきましょう。

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