ラグビーが教えてくれたこと15
【厳しいことと楽しいことは共存する】
ラグビーという心身ともに消費の激しいスポーツにおいて、成長のためにはシンドイことや厳しいことからは目を背けることはできない。それを乗り越えた時に、自分は成長して、何かを成し遂げることができる。
その理解は、間違っていないと思います。
ただ、今回の
「厳しいことと楽しいことは共存する」
ということに関しては、ラグビーをやり続けてきた中でわかったことで、僕にとっては完全に盲点でした。
成長するための厳しさやしんどさっていうのは、まぁツラいわけですよ。
試合で80分間走り続けられるように、たくさん走りますし、当たり負けないように自分より重い物を持ち上げてトレーニングしたり。それを何度も何度も。来る日も来る日も。
ただただシンドイ練習に慣れてしまった僕は、いつしか、
成長のためにはシンドイことや厳しいことからは目を背けることはできない
(↑これは合ってると思う)
厳しいことはツラい
厳しいことは楽しくない
という固定概念が知らぬ間に根付いてしまっており、成長するためには楽しさなんて無いもんだと思ってしまっていました。練習以外の時間でチームビルディングとかあったり、そういう楽しさや勝った時の喜びからくる楽しさなどは分かっていたのですが、そのプロセスというものは厳しくてツラくて、練習中は笑っちゃいけなくて、修行みたいなもんなんだ。という概念が、すごくありました。
その考え方に変化が訪れたのが、2019年にニュージーランドに留学した時のことです。
いわずとしれたラグビー大国ニュージーランドの出身の選手たちは、それまでもチームメイトにいたりして、彼らは口を揃えて
「日本人のトレーニングはクレイジーだ(すごく厳しくてシンドイ的なニュアンスで)」
と言うこともあって、それを言われる日本人は「あはは」「ウェイ!」とか笑いながら、外国人も認めるシンドイことをやってるんだ!みたいな謎の達成感みたいなものに包まれます。
でも、そこに違和感を感じていて、
ニュージーランド人が「日本の練習ってきついよね」と言おうがなんだろうが、国として圧倒的にニュージーランドの方が強い訳じゃないですか。
「え、ニュージーランドの人たちって、めっちゃうまくて強いけど、めっちゃきついことしてるんじゃないの?」
という疑問を抱きながら、ニュージーランドに渡ったのでした。
自分が留学した先は、ニュージーランドの中でも有数の名門カンタベリー州代表というチームで、練習生として1シーズン参加させてもらいました。
そこで感じたことを一言で言うと、
やっぱりシンドイもんはシンドイ。でもめちゃくちゃ楽しい。
ということでした。世界で一番強い国ニュージーランドですから、やっぱりうまくなるために強くなるために、しんどいことから目を背けたりはしていませんでした。しかし、そのどんな局面でも、「楽しさ」を大事にしているため、身体的にはツラくても、精神的には楽しい。
疲労は脳が感じるものですから、精神的な楽しさが、トータルのツラさを緩和させる、そう感じました。
単調なトレーニングがなくバリエーションが豊富なこと、全てのトレーニングに意味がある、選手が主体的に取り組める場をコーチが提供していること、常に細かいフィードバックをくれることなど、その全てが新鮮でした。飽きさせないから、また練習したいと思う。うまくなりたいと思うから主体的に取り組む。
だからこそ、ここで厳しさと楽しさが共存するんだとここで初めて感じました。
また、キツイ練習を楽しめる状況に慣れてくると、試合などで意図せずプレッシャーにさらされた時にも、その状況すら楽しめるのではないかと思います。どんな状況でもそういった心の余裕があって楽しんでいる人っていますよね。僕もその域までいきたいです。
そんな話です。