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【書評】フィンランドの教育はなぜ世界一なのか/岩竹美加子/新潮新書

フィンランドの教育はなぜ世界一なのか/岩竹美加子/新潮新書

7月のゼロイチ読書月間に読了してからだいぶ間が開いてしまったが、
Kindleでハイライトラインを引いていたところを見返しながら感じたことを述べさせてもらいたい。

今回のテーマは、題名の通り、

「フィンランドの教育」

である。

というか、この本を手に取った理由はシンプルに題名の通りだ。

世界一の教育と言われているフィンランドについて、全然知らない。

子どもができてから、教育という言葉に目が向くようになり、
その教育分野で世界一の国があるならその国の教育システムについて知りたくなっちゃうのは普通かと思う。

ということで、手に取った。

著者の岩竹さんは、ご自身が息子さんを実際にフィンランドと日本、両方の国で育てた経験があり、実際に生活してみて感じたその二国間の考え方・文化の違いや具体的な教育システムを例にあげながら、なぜフィンランドの教育が世界一と言われるのかが論じられている。

正直にいうと、途中、若干難しかった。。笑

というのも、政治的な背景や兵役の歴史など、ちょっと苦手な分野の部分には苦戦した。
しかし、教育という一つの分野だけが優れているのではなく、そこにある政治的な背景や、国の歴史によって構築される国の全体の仕組みにこそ、世界一の教育の秘訣が隠されているということがわかった。このあたりは、読むのにだいぶ時間がかかった。

本書の中では主に、教育における国の考え方について、学ばせてもらった。

まず第一に、驚きだったのが、教育の無償化。税金が高いことでも有名であるが、それはこの国で暮らしていることでは気になることではない。生まれた時からコンビニの水が500円だったら、そういうもんだって思うもんね。
国の集めたお金の大部分を教育に当て、小学校から大学に至るまで、すべての学生の学費が無償であるのだ。
全てという言葉には、親による貧富の差というものがない、ということにもつながる。
フィンランドの子どもたちは、そのようにして実現することの難しいこととされている平等を実現させようとする姿勢を見せている。
これに対して、日本ではどうだろうか。国内で子どもに良い教育をさせるのに、幼稚園から大学までのその家庭の負担はどれだけのものか。より良い大学に行かせるためには高い学費が必要になり、それが払えなければ断念せざるを得ない。みんな平等と教育者は歌うけれども仕組みとして平等になり得ない。

子どもがそれぞれ個人を発展させて自分らしく成長していくこと

平等な土俵に乗せられた子どもたちは、その上で、個人にフォーカスされる。フィンランドの教育は、子どもがそれぞれ個人を発展させて自分らしく成長していくことを一番の目標としている。人と比べて良い学校にとかではなく、自分がどうありたいか、自分によって良いと思える自分になること。そういった自分自身の考えを持つことを教育の現場で実現させている。
だから、学歴社会もない。どこの学校出身かではなく、何を学んだかがその人のステータスになるのだ。

本書の中で再三使われる、「子どもの権利」という言葉が印象的であった。子どもにある、意見を言う権利を尊重されているからこと、本当の意味で自律した人間形成が培われていく。

この本を読んだことで、じゃあ自分自身、もうすぐ4ヶ月になる子どもを将来はフィンランドで育てよう!とは思わないが、教育における大切なことを考えさせられた。
少なくとも今暮らしている日本で育てていく中で、本当の意味で子どもにとって何が大切か、自分の家庭の中でフィンランドから参考にできる部分を取り入れてみることはできないものか。妻と相談してみたいと思う。

そして、世界の教育というものへの関心が高まった。


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