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日向坂46、「アイドルの王道」をアップデートせよ

【日向坂46/『ドレミソラシド』】

アイドルシーンのみならず、J-POPシーン全体を揺るがした「第2のデビュー」から4ヶ月、早くも日向坂46の2ndシングルが届けられた。

"ドレミソラシド"、まさに会心の一曲だ。



キュート/クールの間を自由に往来していく曲調がスリルと疾走感を生んでいた1stシングル”キュン”とは打って変わり、四つ打ちのリズムが止めどない高揚感をもたらす、極めてハイエナジーなダンスチューン。

「キュンキュンダンス」に続き、既にTikTokを中心に大きな話題を呼んでいる「ドレミダンス」。

ピアノの鍵盤(および、それらの位置関係)を想起させるユニークな楽曲タイトルと、「ファ」が指し示すものを暗示する、丁寧に作り込まれたメッセージ。

楽曲、ダンス、歌詞、それら全てから、この夏のJ-POPシーンをジャックしようとする果てしない気概を感じる。

あらゆるアーティストにとって、2ndシングルの意義はあまりにも深い。それは、自分たちの方向性を決定づける(もしくは押し広げる)役割を果たす重要な楽曲であるからだ。

そして日向坂46が選んだのは、1stシングル"キュン"に続き、やはり「アイドルの王道」だった。

その選択はまさに、乃木坂46、欅坂46と完全に道を違えるという意思表明に他ならない。

第3の坂道を懸命に駆け上がりながら、新しい時代における「アイドルの王道」をアップデートしようとする彼女たちの姿は、本当に頼もしく、そして輝かしい。

まるでAKB48の「歌謡ポップ」路線を見事に踏襲するようなカップリング曲"キツネ"も素晴らしい楽曲だ。

そう、「アイドルの王道」を行くという彼女たちの覚悟は、やはり本物だった。



乃木坂46が4thシングル"制服のマネキン"で、「清楚」「純真」というパブリックイメージを豪快に打ち破ったように、

欅坂46が3rdシングル"二人セゾン"において、グループの表現の可能性を鮮やかに切り開いたように、

いつか、日向坂46も大きな路線変更を果たす時が来るのかもしれない。

それでも、いや、だからこそ今は、彼女たちには「アイドルの王道」を駆け上がり続けて欲しい。

そして、群雄割拠の果てに混迷を極めつつあるアイドルシーン、その先のJ-POPシーンを、力強く照らしていって欲しい。



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松本 侃士
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