2021年のアルバム感想まとめ
2021年も12月になりました。ということで今年リリースされたアルバムの感想をまとめていきたいと思います。サウンドトラック、ライブアルバム、クリスマスアルバム、デラックスバージョンアルバム、リミックスアルバム、再リリースアルバム、レーベルによりアーティストの意向を無視した死後リリースされたアルバム、ベストアルバム、等の感想はスルーさせていただきます。
ちなみに文句なしに良いアルバムは「100点👍」とだけ書いてあります(笑)
『Particles』 A Great Big World
前作はだいぶブランクが空いてのリリースだが、相変わらず歌声は素晴らしいく、そしてサウンドも耳馴染み良い。ポップミュージックを志向しながら、でもサウンドは流行とは真逆をいき自分たちの音楽性を保持しようとする姿勢は素晴らしい。そして相変わらず客演で魅せるChristina Aguileraの健在ぶりも見事。
『Voyage』 ABBA
今のポップミュージックの基礎を作ったと言っていい伝説の音楽グループのABBAがリリースした40年ぶりのアルバム。アルバムをリリースする情報が出ただけで音楽メディアを賑わせるのはもほやレジェンドがなせるわざ。サウンドも心地よくて自分たちが求められていた音楽をそのまま我々に届けてくれた。
『30』 Adele
もはや一人で世界の音楽産業を背負っていると言っても過言ではない存在。しかしそんなあまりにも重すぎるプレッシャーを感じさせないくらいAdeleは自分の作りたい歌、歌い歌を作ってくれた。各音楽メディアをもそんな彼女の存在を後押しするかのように新作『30』を高評価で大歓迎。そして私はというと、もちろん大きな腕を広げ抱擁する勢いでこのアルバムを聞いている。(そして聞くたびに私も離婚したんじゃないかと勘違いしてしまうくらい感傷的な気分になっている) 『30』を抱擁しようとしているのに、聞くたびにこっちが抱擁されっぱなしだ。そうこのアルバムはハグアルバムだ。まず"Strangers By Nature"はまるでミュージカルみたいな感じで、離婚した気持ちを素直に振り返り、元々夫婦は他人同士なのだからと結婚のセオリーを説いている。次に先行シングルである"Easy On Me"はおそらく彼女から世間へのお願いソングだ。前作『25』の"Hello"もみんなへの挨拶を含めた先行シングルであったが、本作『30』でもそういうアプローチをとってきた。"My Little Love"は愛息子に捧げた曲だ。そういえば本作『30』はAdeleが息子に対して「どうしてあなたのママとパパは離婚したのか」を理解してもらうために作ったともインタビューで話していた。"Cry Your Heart Out" "Can I Get It"はおそらくシングルカットされそうな曲だ。やはり特筆すべきはシンプルなサウンドで余計なものを極力そぎ落とし「愛されたい」と懇願する"To Be Loved"だろう。この曲は彼女自身かなりパーソナルな曲だそうだ。この「愛されたい」と思う気持ちは普遍的な気持ちで、かつ人間が最も口にしにくい思いだ。こんな弱さをさらけ出したAdeleは大丈夫だろうか。少なくともこのまっすぐ未来を見ているこのジャケットを見る限り大丈夫だ。(このアルバムの写真スタイル、流行りそうだ)
『In The Meantime』 Alessia Cara
"Here"でパーティーに馴染めない自分を自虐的に歌っていた彼女。くしくもコロナ禍の中で人々はパーティーから遠ざかり、パーティーが苦手な人々は少し歓喜したかもしれない。しかし今思うとそんなパーティーの馴染めない空間ですら愛おしい"Best Day"な日々だった。それはAlessia自身も理解していようで、"Best Day"のMVのラストではパーティーを懐かしむ彼女の姿を見ることができる。アルバム全体はとても統一感のある仕上がりで年々オーガニックなサウンドを志向し、メインストリームに対して背を向けている感じが少し寂しい気がするが(アルバム全体が若干退屈だ)、彼女の向かいたい方向を最後まで見届けたいのも事実だ。
『a touch of the beat gets you up on your feet gets you out and then into the sun』 Aly & AJ
長く在籍した大型レーベルを去り、自分たちの音楽に集中するためなのか独自のレーベルを立ち上げ活動を開始したAly & AJ。まず地道に音楽づくりに専念するため先行でEPを二つリリースした。本作はその先行EPでみせつけた音楽の延長にあるサウンドを志向した作品となっている。彼女たちのルーツであるフォークソングにシンセをのせた上質なポップソングの数々。確かにインディシーンに寄せた活動をしているため、商業ベースに乗ることは不可能だろうが、商業シーンにいた時よりも今の方がよっぽどいい音楽を作っている。こういうアーティストこそ音楽メディアで紹介するべきでしょ。(本作をレビューしている音楽メディアがあまりにも少なすぎる)
『Wary + Strange』 Amythyst Kiah
アメリカ南部をLGBTQ+の黒人ミュージシャンとして個人的でかつ反抗的なアルバムを作ってくれた。"Black Myself"は強烈ギターサウンドで自分自身を再定義する。彼女はSongs of Our Native Daughtersの一員でまさにアメリカーナを再興する重要なメンバーである。2年前にちょうどカントリーを再興する女性たちThe Highwomenがいるなら、非白人でアメリカーナというジャンルを再興する女性がいる。
『Aisles』 Angel Olsen
本作をリリースする前に2019年にリリースした『All Mirrors』とその兄弟作品『Whole New Mess』『Song of the Lark and Other Far Memories 』を次々に発表しかつてない創作意欲と音楽性を探求した彼女。彼女が音楽を探求したその先にあったのが80年代のサウンドだったらしい。その前にSharon Van Ettenとのコラボ曲"Like I Used To"の成功と反響が少なからずあったのも事実だろう。(不思議なことにこの曲も80年代の雰囲気を携えている) Pitchforkの言葉を借用するならインディシーンからポップソングを再興するという流れの中で生まれたのが、本EPだろう。正直ほとんどカバーソングで、オリジナルと言えば彼女の唯一無二の歌声とドリームポップ的なサウンドだろう。でも彼女のここ何年間の活動の延長戦、息抜きだと思えばとても良い取り組みだろう。ちなみに彼女はインスタで今年gay(男女問わず同性愛者を指す言葉でもある)であることを公表している。おめでとう。
『Therapy』 Anne-Marie
セカンドアルバムというのとてつもない重圧がかかるものである。特にファーストアルバムが大成功しシングルカットされた曲がヒットしまくったAnne-Marieには特に重圧がかかっているかもしれない。しかしそんな難しい課題もお得意のキャッチーでかつ明るい多ジャンルを行き来するサウンドにのせてしまえば全く怖くない。イギリスの大人気ガールズグループLittle Mixと組んだ"Kiss My (Uh Oh) "やNail Horanと組んだ"Our Song"では改めて客演を迎えたきの彼女の相性の良さを感じれるし、"Beautiful"等の客演無しの曲でもしっかりと彼女の強みが生かされている。これだけ明るい曲が揃っていればこのアルバムは十分にセラピーのような力を持っている。
『KICK ii』『Kick iii』『kick iiii』『kiCK Ⅴ』
そこに愛はあるか。もちろんあるさ。本作でKICKシリーズの最終章を迎えるそうで、これからのアルカの音楽性に期待しつつ、自分のこういう音楽ジャンルへの理解を深めないと思う。個人的には『KICK ii』『Kick iii』がおすすめですかね。
『Collapsed In Sunbeams』 Arlo Parks
Z世代と言われるアーティストのほとんどんがジャンルにとらわれない音楽づくりをすると言われてて、もはや誰もそんなこと気にしていないレベルでそれが浸透してきた(Arlo自身は世代で区切られるのを嫌っている)。かくいう彼女も自らのルーツが多様であるように、志向する音楽ジャンルも多様だ。インディロックとR&Bが基礎となっており、彼女の気弱性を感じる歌詞はリスナーに個人的な感情を想起させる。
『Vulture Prince』 Arooj Aftab
パキスタン出身でアメリカ在住のArooj。自らのルーツに根ざしたサウンドにジャズの要素を含んだ音楽は唯一無二のもの。そして何より彼女の歌声に魅了されるはずだ。毎度反響を呼ぶオバマ前大統領のプレイリスト(夏ヴァージョンのほう)にも彼女の名前が。そして何より来年度のグラミー新人賞ノミネートが彼女の功績を端的に表しているかも。ぜひ本作の日本盤がリリースされることを願う。
『DEMIDEVIL』 Ashnikko
狂った初音ミクを自称し、過激だけどキャッチーな音楽性に魅了され日本でも認知度が増してきたAshnikko。本作はアルバムではなく、あくまでミックステープという立ち位置であるが、彼女が本作をリリースする前から取り組んできた音楽性や歌詞の延長性にあるのが本作。やはり"Daisy"は中毒性抜群であるが、それ以外にもキラーチューンがたくさん。こちらもぜひフィジカルリリースで日本盤のリリースが望まれる。
『a liquid breakfast』 Audrey Nuna
アジア系でR&BとRAPを志向する彼女のデビュー作。ここ数年のアジア系ミュージシャン台頭の中でもR&BとRAPを並行して独自の音楽づくりをする彼女は今後大きな存在になること間違いなし。
『The Yearbook』 Baby Queen
南アフリカ出身で18歳の時にイギリスに引っ越してきたという彼女。不思議なほどに彼女の曲は王道のポップスだ。日本語で卒業アルバムという意味の本作。そこにはチアリーダーに扮したり、吹奏楽にいそしんだり、あるいはバンドのおっかけをするファンであったり、はたまた自身がバンドマンだったりと、等身大の十代の姿がたくさん。彼女は本作をアメリカの青春映画と説明するが、まさにその説明通りだ。1曲1曲がドラマ性をはらんだり、喜怒哀楽がハッキリとしていたり。同時期にまさにアメリカ人のOlivia Rodrigoが等身大の十代の気持ちを表現したアルバムを出したが、まさにイギリス在住の彼女はその等身大に憧れる姿で本作を完成させている。ある種アメリカへの憧れは日本人リスナーの私の姿とかぶり、どちらかというとOliviaよりBaby Queenの彼女の方にこそシンパンシーを抱きやすいかも。そんなアメリカへの憧れがそのまま曲になっている"Americaan Dream"はポップロック調。そして特筆すべきは"Dover Beach"だろう。ここ数年におけるポップソングのTaylor Swiftの影響力はすさまじいものがあるが、この曲はまさにそんな影響力のもとで作られているだろう一曲だ。デビュー作としてなら文句ないくらいキラキラな魅力で溢れているアルバムだ。
『Our Extended Play』[EP] beabadoobee
去年リリースしたデビューアルバムが日本盤でもリリースされその名を広めた彼女。本作は少し力が抜けた作品であるが、それでも"Last Day on Earth"は大きな魅力を持った曲だ。
『Better Mistakes』 Bebe Rexha
裏方のシンガーソングライター業と客演業で名をはせた彼女ももうメジャーデビューして二作目の作品だ。正直シングルカットされた曲以外は少し地味な印象を受けるが、それでも全曲良い曲であることを期待してしまうのは彼女の才能の裏返しだ。
『Happier Than Ever』 Billie Eilish
もはや彼女についての説明は不要だろう。押しも押されぬ立ち位置とスター性とアーティスト性を確立した彼女のアーティストとしての真価が問われるセカンドアルバム。基本的にはファーストアルバムと同じアプローチで作られていて目新しと言えば、前作と比べて少し地味な印象を受けるくらいだろう。それ以外は圧倒的に他を寄せ付けない唯一無二の音楽スタイル。ジャケットではブロンドにした彼女にばかり目が行くが、よくジャケットを見ると彼女は泣いているのだ。これは嬉し涙か、悲しい涙か。それはアルバムを聞けばわかる。このジャケットのように表面だけでなく、中身まで吟味して聞かないと。そうすればこのアルバム一作目よりずっと幸せで最高傑作であることが分かるはずだ。
『Young Heart』 Birdy
前作から長い休息を得てジョニ・ミッチェルの名盤『Blue』から着想を得てたどりついた本作。インディロックとフォークロックをポップスに仕上げる手腕はさすがの一言。また歌詞も良く、前作からずっと心の成長を感じるものになっている。ここ数年はコロナ禍というのもあって女性アーティストによるインディロック志向がつよいアルバムが増えてきたが、本作もその流れの一つとして大きな意味を持っているアルバムだろう。
『Written & Directed』 Black Honey
映画に対しての批判的視点で作り上げた本作。そういう意味で言えばチャーチズに新譜に通ずるものがある。
『In These Silent Days』 Brandi Carlile
前作での成功やグラミー賞受賞、様々な大物アーティストとのコラボレーションなど、自身のこれまでのキャリアで最大の盛り上がりを迎え、まさに順風満帆といった状況だったが、新型コロナウイルスによる世界的なパンデミックにより、彼女も自宅に引きこもざるを得なくなり、自身の活動のペースを落とし、自分にとっての優先順位を見直すこととなったそう。ただ彼女には、彼女の自宅がシアトル郊外のカスケード山脈のふもとにある90エーカーの広大な敷地にあったこと、またその土地を自身の家族だけでなく、長年のコラボレーターでありバンド・メンバーであるティムとフィルのハンセロス兄弟らと共有していたことだった。そこで彼女は、彼らとともに、ニュー・アルバムのソングライティングに取り掛かり作り出しのが本作。そのタイトルが示唆するように”誰もが活動を停止し、自宅で静かに過ごさざるを得なかった“ロックダウン期間中に形作られた作品だ。互いに距離を取り、疎遠になりがちな現代社会のなかでの繋がりや共感を物語に綴っている。「It's not too late . Either way, I lose you in these silent days . It wasn't right .
But it was right on time . 」この歌詞は本当に2021年の私たちに相応しい歌詞だろう。
『Jaime Reimagined』 Brittany Howard
2019年にリリースされ大絶賛で迎えられたAlabama ShakesのメンバーだるBrittany Howardがソロ名義でリリースした『Jaime』のゲストを迎えアレンジを加えた再録版。そりゃオリジナルの方がはるかにいいけど、豪華ゲストを迎えた本作も要チェックであることは間違いない。
『My Savior』 Carrie Underwood
彼女の信仰心は伝わってきたよ。でも私の心には全く響かなかった。でも歌はすこぶる上手いんだよな。
『Not Your Muse』 Celeste
彼女もずっとデビューアルバムを待ち続けられていたアーティストの一人だろう。アルバム収録曲のほとんどが先にリリースされた曲が多いが、"Strange"や"Stop This Flame"などはやはりいい曲だ。レトロポップやソウルなど我々がUKシーンの好きな要素がこのアルバム一枚に詰まっている。
『ONCE UPON A TIME 』 CHIKA
グラミー新人賞にもノミネートされたCHIKA。一時はラッパーを引退すると宣言していたがちゃんと新作はリリースしてくれた。彼女の魅力はラップもできるが、メロディも自分で歌えるところだろう。本作はラップというよりメロディックな曲が多い。特に"FWB"は彼女の魅力が一気に味わえる曲だろう。次はぜひフルアルバムをリリースして欲しいところだ。
『songs for rosie』 christina perri
愛娘のrosieに捧げた子守歌アルバム。子守歌アルバムは前作に続いて二枚目。そろそろオリジナルアルバムが聞きたいが、それでも本作は有名な曲のカバーが多く、かつ全曲が2分以下ということで聴きやすい。年末は何かと心が荒むので癒しが欲しい時にぜひこのアルバムを。
『Screen Violence』 CHVRCHES
コロナ禍の中で我々は望もうが望まないがスクリーンだらけの生活を余儀なくされ、ここ数十年におけるSNSの発達により我々はスクリーン上の暴力にさらされる生活を続けている。また本作のコンセプトはスクリーンの中で暴力にさらされ、もしくはホラーの対象にさらされている女性たちに捧げている。映画の批評概念にファイナルガールというのがあるが、本作はまさにそんなファイナルガールたちをたたえている。本作はコロナ禍で別々の生活を余儀なくされた3人がそれぞれソロで曲作りをしていて、キャリア史上初めてセルフプロデュースを担っている。そのためバンド史上かなりパーソナルな気持ちが表れており、特にボーカルのローレンの女性として生きる困難や怒りや悲しみが反映されている。最後に笑うのは我々ファイナルガールか、それともスクリーンバイオレンスを扇動する奴らか。それはこのアルバムを聞けばおのずと見えてくる。good girl don't die.
『Sling』 Clairo
もはやここ数年の1970年のフォークシーンへのオマージュ的アルバムが出ることは一種のシーンと化しているがこのアルバムもその流れの中にいると言ってもいいだろう。しかしちゃんとポップ的な耳馴染み良い曲があるのはプロデューサーのジャック・アントノフによる功績が大きいだろう。ほぼ2人のみで製作された本作、テイラーの言葉を借用するなら音楽の森に迷い込むのはやはりいいことだ。
『Music of the Spheres』 Coldplay
年々ポップス要素が強くなっていくバンドであるが、本作はバンド史上一番ポップス寄りだ。ゲストも今までになく豪華。こうやって大幅にサウンド変化ができるのがこのバンドの強みだ。そしてやはりポップスのかじ取りを任されたプロデューサーであるマックス・マーティンの手腕はさすがの一言だ。
『Dancing With The Devil…The Art of Starting Over』 Demi Lovato
アルバムをリリースするたびにその評価を上げていく彼女。本作は彼女の最高傑作ではないだろうか。ここ数年の彼女は心身ともにボロボロでまさに"Dancing With The Devil"のような様子であったが、彼女の根底にあるのはStart Overの精神だ。まさしくタイトル自体がメンタルヘルスの問題からエンパワーメントを含んでいる。ある意味このアルバムはすごく現代的な意義を持った作品だろう。色々なジャンルの曲を網羅しており、少し曲数が多い気がするがそれでも聞けないわけではない。
『Thank You』 Diana Ross
今年はレジェンドABBAが新作をリリースした年だが、このレジェンドもアルバムをリリースした年だ。サウンドも心地よくて自分たちが求められていた音楽をそのまま我々に届けてくれた。上質なポップソングの数々。
『Certified Lover Boy』 Drake
アルバムジャケットも手抜きなら曲も手抜きだ。それでも聞いてしまうんだからLife is good過ぎるだろう。
『Planet Her』 Doja Cat
もはやラッパーがポップスターである昨今、音楽のジャンルレス化が進行した昨今、そんな流れの中でDoja Catが出したアルバムをそれらを網羅しそしてその体制を強化する完璧なポップスを作った。プラネットハーに乾杯である。ニッキーにオマージュを捧げた曲から、完全にラジオ受けする曲まで幅の広いこと。これが売れずして一体どの音楽が売れるんだ。
『=』Ed Sheeran
Drakeと同じで、曲も手抜きなのに売れるんだから、笑っちゃうよね。
『Rocking Horse』 Elliphant
5年ぶりのスタジオアルバムはエレクトロ要素が減り、ポップロック寄りな曲が増えた。ここでも分かるのは今年の音楽のトレンドであったポップロックもしくはパンクのリバイラルの年だったということである。
『Yellow』 Emma-Jean Thackray
100点👍
『Under Twenty Five (EP) 』 ENNY
一つ前に紹介したEmma-Jean Thackrayと同じく南ロンドンからやってきたラッパー。彼女のルーツはナイジェリアにあるが、Little Simz同様にUKのラップシーンはかつてないくらい盛り上がってきた。"Pang Black Girls"の冒頭で「ダークスキンの女の子もいれば、ライトスキンの女の子もいれば、ミドルトーンの女の子もいる」とラップするようにたくさんのラッパーがUKにはいるのだ。
『I Know I'm Funny Haha』 Feye Webster
100点👍
『time machine』 Foushee
ポップロックとポップパンクのリバイバルに負けないくらい今年はR&Bの年だった。特にJuzmine Sullivanがそうだったように、同じくUSのFousheeのアルバムも優れていた。Lil Wayneをフューチャーした"gold fronts"は必聴だ。こんなに歌い手とラップが上手に交差していくR&Bは久しぶりだ。
『Friends In The Corners (EP) 』Foxes
ここ数年のシングルをEPにまとめた作品で目新しさは皆無だが、来年のアルバムに向けての布石だと思えば...
『No Gods No Masters』 Garbage
90年代にデビューしたGarbageだが、実は本作はまだ7枚目のアルバムだというのだから驚きだ。本作では今までにないくらいフロントマンのシャーリーの息がかかった作品になっている。というのもこのアルバムのテーマが「資本主義、性差別、人種差別、ミソジニーが台頭してきている世界への批判」だからだ。こういう動きはCHVRCHESの新譜でもそうであるが、フロントマンが女性であるバンドの宿命というべきものなのか。とにかく上記にあげたトピックへの言及が多い中でメロディがしっかりしているのはさすがGrabageである。
『if i could make it go quiet』 girl in red
100点👍
『Damsel in Distress [EP]』『Ex Talk [EP]』GIRLI
Baby Queen同様にUKのポップミュージックは元気らしい。正直二つのEPを比べても特にサウンド的にも差は見られないが、底抜けに明るいエレクトロサウンドにただ身を任せるのもいいだろう。個人的には今年本邦で公開された映画『ビルド・ア・ガール』の主題歌が収録されていても良かったかなと。
『On All Fours』 Goat Girl
100点👍
『One Foot In Front Of The Other [Mixtape]』 Griff
こちらもUKのエレクトロサウンドを盛り上げるアーティスト。そして何よりジャマイカ人と中国人の両親から生まれたという多様的なルーツだが、王道のポップミュージックを作る姿勢は素晴らしいし、Taylor Swiftからお墨付きをもらっているのも納得だ。本当にここ数年はアジア系ミュージシャンの台頭が素晴らしいし、それだけ人種が多様的なのだろう。唯一おしいのが"One Night"を収録してくれても良かった気がする。
『Back Of My Mind』 H.E.R.
いまGriffの話でアジア系にルーツがあるミュージシャンの話をしたが、その地続きでこのH.E.R.である。今年は女性R&Bが熱かったし、そしてアジア系女性ミュージシャンの台頭がすさまじかった。その両方を併せ持つのがこのH.E.R.だろう。なんと本作はデビューアルバム扱いらしく、今までのEPが完成度高すぎてわからないレベルだ。しかも彼女は楽曲を出来たら小出しにしていくタイプで、天才でかつ寡作なミュージシャンだ。まるでPrinceではないか。
『If I Can't Have Love, I Want Power 』 Halsey
100点👍
『The Walls Are Way Too Thin [EP]』 Holly Humberstone
はたまたUKの若き天才だ。もはやこれだけ自分の音源を世に放つ方法がたくさんあるのだがら、若き天才なんて言葉は不要だろうか。まあ音楽とは偶然出会って、たまたまそのアーティストを好きになる事が大半だ。彼女のサウンドやスタイルなんてきっともうどこかで誰かがやったことあることだろう。でもいいじゃないか、Phoebe Bridgersの言葉を借りるなら、たくさん似たような女性アーティストがいたっていいじゃないか、似たような男のミュージシャンなんてたくさんいるんだから。
『The End of Era』 Iggy Azalea
ここ数年において確実に女性ラッパーの時代だ。そんな時代に若干対応しきれていないサウンドを追及しているのがIggyだ。しかし普通のラップではなく、だったらばりばりにクラブで生えるラップアンセムを繰り出す彼女の姿勢は評価に値するだろう。
『The Off-Season』 J.cole
ラッパーのオフシーズン中に本当にバスケ選手になった彼。相変わらずクールなラップにサウンドは上がるの一言。
『Different Kinds of Light』 Jade Bird
様々な種類の光がテーマなだけあってやはり力強い曲が多い。相変わらずソウルフルな歌声は素晴らしいし、歌詞も背中を押してくれるのも素敵だ。
『Jubilee』 Japanese Breakfast
100点👍
『HEAUX TALES』 Jazmine Sullivan
何度も言っているが今年はアジア系女性ジンガーと黒人女性シンガーの年である。その中でもJazmine SullivanのEPは抜群に良いできであった。もちろん順位でも自己最高を記録し、何より音楽メディアからの絶賛もあいついだ。もはや女性R&Bシンガーのアルバムに途中インタルード入るのは珍しくないとして(ここで言いたいのはLauryn Hillの影響力の大きさ)、とにかく基本に忠実に作っている上質なR&Bだ。扱うテーマはフェミニズム、セクシュアリティ、階級主義、ボディシェイミングなど広義に渡るが、しっかりとまとまっている。また馴染みのシンガーたちの参加も嬉しいところである。
『Boy From Michigan』 John Grant
実はこのアルバムを聞くまでJohnがミシガン州出身だとは知らなかった。サウンドは今まで同様であるが、本作はよりJohnの子ども時代の経験が元になっているであろう曲が多い。冒頭の"Boy From Michigan"ではアメリカンドリームの弱さを描き、ラストの"Billy"では男らしさがいかにカルトじみているのかを説いている。個人的にJohnの描く世界観は本当に私が思っていることと似ていて、これからずっと追いかけていきたい人物である。
『trying not to think about it』 JoJo
前作から一年しか間が空いていない緊急リリース的なアルバム。ツアーをやむを得ずキャンセルしたため、そのぶん音楽をということだろうか。それでも良質なアルバムを作る意欲は全く落ちない。
『WE ARE』 Jon Batiste
まずはグラミー書最多ノミニーおめでとう。ジャスとポップスを自分流に解釈し音楽にしてくれました。カラフルな曲の世界観に魅せられる。
『Be Right Back』 Jorja Smith
JazmineもJorjaもこんな上質なアルバム作っておいてEP扱いなのか。彼女曰くアルバムに収録できない曲たちということだが、EPというかたちで世に放たれた。相変わらずクールで少し冷めているボーカルは見事である。
『Skin』 Joy Crookes
またここでも言及するが、今年はアジア系女性シンガーと黒人女性シンガーの年である。Joyもアイルランド人の父とベンガル人の母を持り、アジアにルーツのあるシンガーである。そして何より聞いてほしいのは彼女の歌声である。このハスキーボイス。CelesteやAmy Winehouseを思い出す人も多いはずだ。しかしよりレトロ志向なところはDuffyを連想するかもしれないが、彼女のルーツに根ざした"When You Were Mine"を聞く限りだと、もうすでに自分だけのサウンドを確立している。こういうアーティストが出てくるのはUKシーンの良いところである。
『Not In Chronological Order』 Julia Michaels
Siaもそうだが、裏方から出てきたソングライターの曲は、シングルはいんだけどアルバムは微妙ということが多いが、例にもれずJuliaもそうだった。まずアルバムからの先行シングルである"All Your Exes"があAlanis Morrisetteを彷彿とさせるポップロックであまりに良すぎて、とうとう彼女が本格的にポップロックにかじを取ってくれたのかと期待したが、新作は今までの延長にあるサウンド志向であったのが少し残念だ。
『Little Oblivions』 Julien Baker
早くも三枚目のアルバム。マルチプレイヤーのため、楽曲の演奏も音楽づくりも全て彼女が主体的に行って作られている本作。"Hardline"のコーラス部分の盛り上がりとギターのサウンドはさすがのひとこと。歌のテーマは今までの彼女の延長にあるものだが、より叙情的に聞こえるのに心地よく私に響くのはやはりJulien含めアメリカのインディロックシーンが盛り上がり、たくさんの優れたアーティストがたくさん出てきた証拠だからだろう。
『Loving in Stereo』 Jungle
ハウス、ディスコ、ダンスミュージック、ソウルの極上な組み合わせアルバム。好きな要素しかつまってなくて...良く言えば最高に盛り上がるアルバム、悪く言えば焼き増しアルバム。でもいいじゃないか、人を踊りたくさせるアルバムは最高だし。少なくとも福音アルバムより増しだよ。
『Justice』 Justin Bieber
誠実なアルバムづくりでキャリア屈指のアルバム評価を確立したジャスティン君。落ち着いたアルバムなのにちゃんと売れることを意識したポップスを作ったのは評価に値するだろう。でもね正直、福音アルバム感が...
『Star-Crossed』 Kacey Musgraves
Kaceyの離婚アルバム。そうAdeleの『30』がそうだったように、Kaceyの本作も離婚アルバムだ。しかしただ悲しみに暮れるだけでなく、失意から立ち上がる姿もちゃんと見せてくれる。まるで一本の映画を観ているような気分にさせてくれる本作だが、アルバム発表と同時に『Star-Crossed』を基に一本の音楽映画を作ったことを報告してくれた。まあとにかく全方向に気合の入ったアルバムだが、一番気合が入っているのはサウンドプロダクションだろう。前作『Golden Hour』ではカントリーを基に、エレクトロサウンドを上手く取り入れ、ポップスを上手く作り出し、大変良いアルバムを作ったが、本作はカントリー要素がほぼ薄く、ほとんどポップスで統一されている。そこがもしかしたら従来の彼女のファンからしたら受けつけづらく評価が分かれるだろう。それでもアルバムに癒されるのは、さすがのひとこと。
『Donda』 Kayne West
そりゃ、ここ数年のKayneの言動は本当に良く分からなかったけど、こうやってアルバム出して来たら、聞いてしまうんだよ。そしてやはりいいアルバムなんだよ。そりゃ、ゲストメンバー人選謎過ぎだし、曲数多いけど、でもいいアルバムなんだよ。年間ベストには入れないから、ここで褒めておくね。
『Dark Tales (EP) 』 Kiesza
暗い物語というよりかは、前作『Crave』のアウトテイク集だけど、それでもノリノリのダンスミュージックは素晴らしい。
『Fatigue』 L' Rain
100点👍
『Chemtrails Over The Country Club』 Lana Del Rey
100点👍
『Blue Banisters』 Lana Del Rey
100点👍
『MONTERO』 Lil Nas X
正直"Old Town Road"のときはワンヒットワンダーだと思ったけど、彼の真摯な音楽への姿勢、黒人クィアアーティストとしての意識等、評価すべき点はたくさんある。そして何よりプロデューサーとしてのKayneの"Industry Baby"は最高の一言。
『Sometimes I Might Be Introvert』 Little Simz
100点👍
『Californian Soil』 London Grammar
100点👍
『Solar Power』 Lorde
100点👍
『Home Video』 Lucy Dacus
100点👍
『Life Support』 Madison Beer
良作。
『You Signed Up For This』 Maisie Peters
100点👍
『Ancient Dreams In A Modern Land』 MARINA
100点👍
『JORDI』 Maroon5
Coldplayと同じ感想です。
『Shockwave』 Mashmello
デッドマウスじゃなくてもディスりたくはなるよね。
『CultureⅢ』Migos
まあ聞いてしまうのだからすごいんだよね。
『Model Citizen』 Meet Me @ The Altar
これからのアルバムが楽しみなバンド。
『Something for Thee Hotties [EP]』 Megan Thee Stallion
まあ年末に緊急リリースされたアルバムだからね。
『Remember Her Name』 Mickey Guyton
良作。ぜひ。
『'Til I Start Speaking』 Morly
100点👍
『And Then Life Was Beautiful』
良作。イギリスのR&B。
『The Movie』 Nasty Cherry
良い。
『SOUR』 Olivia Rodrigo
100点👍
『Who Am I ?』 Pale Waves
100点👍
『Before I Die』 Park Hye Jin
ラップ要素は少ない。エレクトロ要素強い。良い。
『Flux』Poppy
Poppyにもポップパンクの流れが。
『damnshestamil』 Priya Ragu
100点👍
『Juno』Remi Wolf
良作。こちらもイギリスのR&B。
『Bang (EP)』Rita Ora
まあEPだからね。
『arcives』 Rudy Francis
良作。こちらもイギリスのR&B。
『High Dive』 Shaed
サイコなエレクトロにアルトボイスが見事なアルバムに仕上がっている。
『Music』 Sia
別にいいと思うけどね。でもね。
『An Evening With Silk Sonic』 Bruno Mars,Anderson .Paak,Silk Sonic
100点👍
『Path of Wellness』 Sleater-kinney
より聞きやすいロックアルバムであった。良作。
『Valentine』 Snail Mail
100点👍
『Daddy's Home』 St. Vincent
100点👍
『Still Over It』 Summer Walker
これだけ良質なR&Bなら、まだover itでもいいよね。良作。
『Castaway』 Tasha Miyaki
LAのドリームポップバンドだが、本作は地に足のついたインディロックなサウンドを志向。時代に合わせたのだろうか。良作。
『Terra Firma』Tash Sultana
100点👍。
『evermore』 Taylor Swift
100点👍
『TOO YOUNG TO BE SAD』Tate McRae
良作。
『Death by Rock and Roll』 The Pretty Reckless
ロックは死なないだろうな、彼女たちがいる限り。良作。
『333』 Tinashe
アルバムをリリースするたびに評価を上げるTinashe。本作も堂々と踊れるR&Bでせめてきてくれた。良作。
『goldilocks x』 Tommy Genesis
a woman is god!
『sketchy.』 tune-yards
たぶん彼らのアルバムで一番聞きやすく、メッセージもクリアじゃないかな。
『CALL ME IF YOU GET LOST』 Tyler, The Creator
100点👍
『HEIGHTS』 WALK THE MOON
普通。
『Blue Weeknd』 Wolf Alice
100点👍
『I Can Go To Bed Whenever』
良い。
『lately I feel EVERYTHING』 WILLOW
ポップパンク最高。
『Dawn』 Yebba
100点👍
『Stand For Myself』 Yola
英国出身の黒人女性シンガーがアメリカーナとカントリーミュージックを再興させる本作。まず彼女のボーカルが良い。前作より曲のバラエティが増えているが、散らかっておらずちゃんとまとまっているのがすごい。
『Poster Girl』 Zara Larson
上質なポップス、ダンスミュージックの数々。見事の一言。こういう底抜けに明るい音楽を作ってくれるポップスターは貴重な存在です。
『Nobody Is Lisning』 Zayn
誰も聞いてくれない by ゼイン。私も一回しか聞いてない。