Illustratorデスクトップ版 v28.0 / v28.1 / v28.2 アップデートの内容を調べてみた
2023年10月にリリースしたIllustrator v28シリーズも、気が付けばv28.2。小数点一桁のアップデートは、マイナーながら新しい機能の追加だったり、既存の機能の強化が行われます。今回は各アップデートで追加された内容を調査してみます。
テキストからベクター生成(Beta)
Illustratorに最初に搭載された生成AI機能は、生成再配色(2023年9月 v27.9)でしたが、Firefly Vector Modelに基づく革新的な生成AI機能、それが本機能です。Betaでの提供ではありますが、今月リリースのv28.2では新しいコントロールが追加され、本リリースに向けてブラッシュアップが進んでいます。
モックアップ(Beta)
モックアップ(Beta)はAIを活用した、その名の通りモックアップ制作をサポートする強力な機能で、製品パッケージ、マグカップ、T シャツなどのオブジェクトに高品質なアートを適用したモックアップを簡単に作成できます。
ベクターアートを配置する対象となる画像(ビットマップ画像、ラスター画像)は、厳選されプリセットされたAdobe Stock画像に加え、任意の画像を読み込んで使用することもできます。
使い方 | 写実的なアートのモックアップを作成
Retype(Beta)
〝アウトライン化した文字を今一度変更したいといった場合、まぁ一からやり直し、あれ、どのフォント使ったんだっけ、サイズは…〟
これはIllustratorあるあるですね。「もしアウトラインから文字に戻せたら」これが実現したのがRetype(Beta)です!
対象は、アウトライン化されたグラフィックのみならずラスター画像(ビットマップ)でも利用できます。上図はAdobe ExpressからPNGで保存しIllustratorに読み込んだバナー画像の例です。
Retype(Beta)はもともと「フォントの再編集(Beta)」として2023年9月のv27.9で試せるようになった機能が進化したもので、PhotoshopのマッチフォントのようにAdobe Fontsの中から類似のものを見つけるものだったものが、再編集までのワークフローがよりスムーズになったものです。
2024年2月現在では、欧文のみ対応、macOS11あるいは12以降推奨などの注意点があります。
使い方 | 画像内のテキストおよびアウトライン化されたテキストを編集可能なテキストに変換
スムーズスライダー
スムーズスライダーは、スムーズ ツールの拡張機能です。パスのスムージングレベルを手動でコントロールできます。また、パス全体またはパスの一部を柔軟にスムージングすることもできます。
寸法ツール
寸法を測定して入力まで行います。測れるのは、アートワーク内の距離、角度、半径など、入力する寸法の様々な設定を構成するオプションがあります。
大学の実験の授業の際にこれがあれば無茶苦茶ラクだったのに!
使い方 | 寸法を測定して入力
レビュー用に共有の様々な強化
現実的なクリエイティブワークフローにおいてレビュー作業は必須です。でも一旦書き出し、アップロード、メール等での連絡、フィードバック回収、反映と、最も煩雑なパートかもしれません。IllustratorやPhotoshopが近年強化している一連のレビュー用に共有機能は、アプリから離れることなく上記作業を行い、圧倒的な生産性の向上と正確性をもたらすことを目標にしています〜地味で、試すモチベーションの低いものかもしれませんが、一度利用すると「もっと早く使えば良かった」と実感頂けるかと思います。
使い方 | v28.0 レビュー用に PDF ファイルへの共有リンクを作成
使い方 | v28.1 レビュー担当者のコメントを簡単に再確認
ユーザーフィードバックによる機能強化の取り組み
アドビはお客様の変化するニーズを満たすために継続的に改善することに取り組んでいます。12 月リリースの Illustrator v.28.1 の機能強化を以下に示します。
書き出し時にアセット名にプレフィックスを追加し、ファイル管理を改善
フォルダー内でアートボードやアセットを正しく並べるために、書き出し後にアートボード名やアセット名のプレフィックスとして番号を手動で挿入する必要はありません。Illustrator では、アートボード番号の追加、連番、またはカスタムテキストを書き出し時にプレフィックスとして追加できるようになりました。
アートワークに埋め込まれた複数の画像を同時にリンク画像に変換し、それらをすべて同じフォルダーに配置できます。
リンクされたオブジェクトや埋め込まれたオブジェクトを簡単に削除
リンクを削除 ボタンをリンクパネルから使用して、アートワークからリンクされたオブジェクトや埋め込まれたオブジェクトを削除できるようになりました。
「選択範囲を保存」を使用すると、複数のオブジェクトを選択し、後で使用できるように選択範囲を保存できます。保存された選択範囲を使用して、グループオブジェクトの場合と同様に、オブジェクトを一緒に移動したり、外観を変更したりできます。ただし、グループ化とは異なり、「選択範囲を保存」では、すべてのオブジェクトを同じレイヤーに移動せずにオブジェクトを選択します。
ドキュメント作成で A5 プリセットを使用
新規ドキュメントの印刷プリセットセクションで A5 を使用できるようになりました。
アップデート前にここも確認!修正された問題
アプリのアップデートを紹介する新機能ページの最下層に修正された問題リンクがあります。ユーザーのみなさんからこれまで報告された不具合で修正したもののレポートとなっていますので、必ずアップデート前に確認しましょう。
v28.0リリース以降の情報は以下のとおりです:
Illustrator 2024(バージョン 28.2)
Illustrator 2023(バージョン 28.1)
MacBook Pro をスリープから復帰させると、Illustrator ウィンドウのサイズが半分の画面に変更され、パネルが移動する
環境設定で「バックグラウンドで保存」が有効な状態で、合成フォントの設定を変更すると、「PDF 互換ファイルを作成」を有効にして Illustrator を保存しても、空の PDF データが作成される
Illustrator 2023(バージョン 28.0)