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構造(モデル)を使った、新しいファシリテーションの方法

私は、ここ15年ほど数えきれないほどのファシリテーションをしてきました。最初の10年ほどの多くは付箋で行い、コロナ禍になってからリモートが中心になったため、オンラインホワイトボードも使うようになりました。

ただ、最近はBalusというツールを使い、参加者と構造化しながらワークをやっているのですが、ファシリテーションの方法や概念が変わり、効果も全然違うことに気づきまして、ここに書いてみたいと思います。

構造(モデル)とは「言葉のつながり」

こちらに書いたように、構造とは一見難しく見えるのですが、最も基本的な要素として「言葉のつながり」を表現すれば構造的になります。文章だけでは「つながり」を表現するのが難しく、読解力が求められてしまうのですが、「言葉のつながり」を表現して構造的に整理することで、圧倒的に認知負荷が下がります

言葉のつながり

では、この「言葉のつながり」を使ったファシリテーションの方法と効果を整理してみようと思います。

手順1:Balusを使って「言葉のつながり」をアウトプットする

まずBalusを使い「言葉のつながり」をアウトプットします。先程書いたように、それだけで圧倒的に認知負荷が下がり、認識が合います。それが何故かを整理してみます。

①文章では、その中にある「つながり」を認知しにくい

文章も構造だと言われています。言葉の意味を定義し、様々な文法を使ってつなげていく。そのつながりは、常に隣り合っているわけではなく、離れていることもあります。

となると、どうしても文章は長くなり、多くの脳内メモリを使ってしまいます。人間の脳内メモリはよっぽどの天才でないかぎり限られており、言葉の意味やつながりの多くを一気に認知しにくく、文章の内容の理解のハードルが上がります。

そこで、「言葉のつながり」を構造的に表現することで、短い文字数で、つながりを使って一気に全体像を表現でき、圧倒的に認知負荷が下がります。

②要素(付箋)の大きさを変えられないので、言葉をシンプルにする必要がある

Balusは要素(付箋)の大きさを変えられません。つまり、長い文章を書くと文字が小さくなり、読めなくなります。そうなると、文字が長くなれば付箋を分割するかシンプルな言葉で表現するしかありません。

分割すると、より「言葉のつながり」を表現を強いられるため、言葉の構造が必然的に表現され、理解しやすくなります。同時に、シンプルな言葉で表現できれば、誰でも読みやすくなり、認知負荷が下がります。

③「言葉のつながり」(構造化)に特化しており、機能が少なく軽い

リアルホワイトボードは無限になんでもできるため、オンラインホワイトボードも機能ややれることが多くなりがちです。もちろん良いところでもあるのですが、使える人が限られたり、動作が重くなったりすることがあります。

Balusは「言葉のつながり」に特化し、シンプルな機能になっているため、軽く誰でも簡単に使うことができます。

手順2:一人ずつ意見を構造化してみる

付箋だけだと単語や軽い文章だけ書くことになります。近い意見を近くに置くなど(例えばKJ法など)位置で表現することはできますが、つながりが表現されていないと、行間をたくさん話して補完する必要があります。

そのため、個人でも「言葉のつながり」を表現することで、意見をわかりやすく整理でき、説明も端的でよくなり、後で見ても何を書いているか思い出しやすくなります。

意見を出すときは、フリーフォーマットで出しても良いのですが、型を明確しておくと書きやすく、かつ収束がしやすくなります。型がかなり有効に機能するのですが、また別の機会に書こうと思います。

手順3:話していることをファシリテーターが構造化する

一人ひとりの意見を「言葉のつながり」で構造化した後、みなで話し合いながら議論を収束してきます。普段のワークショップでは、上に書いたようなKJ法などを利用して再整理していきますが、ここであえて違うやり方をします。

一人ひとりが意見を言っていることで、書いていない部分をファシリテーターが「言葉のつながり」を追加していきます。そうすることで、対話が「言葉のつながり」で可視化かれ、より認知負荷が下がり、次のアイデアが生まれていきます。つまり、話が収束していくのです。

手順4:「言葉のつながり」でフィードバックする

「言葉のつながり」で表現して話をしていると、参加者の理解が深まります。そうすると、色々な意見やアイデアが頭に浮かんでいるはずです。その浮かんだものを「言葉のつながり」対して行っていきます。

そうすると、圧倒的に議論が深まります。直接的な内容の話だけでなく、物事を構造的に捉え、その背景や全体のつながりについても言及しやすくなります。

手順5:問いを立てる

これはファシリテーターとしての共通点です。「言葉のつながり」を使っていても同様です。ファシリテーターは、その表現されている構造とその裏にある構造、そして型を理解し、問いを立てることで、対話が深まっていき、根本的原因やふさわしい次のアクションが自然に浮かび上がり、参加者全員が納得の上、前に進めることができます。

そのため、ファシリテーターには何層かの構造を見抜く力があると有効です。ただ、これはどんなファシリテーターにも必要な力であるわけですが、Balusを使うだけでよりその構造を扱いやすくなるはずです。

結果、認知が合い、議論が深まり、ダブルループ学習が起こる

「言葉とつながり」を使って構造を表現すると、認知が素早く合い、議論が素早く深まります。構造を表現していると、そこにある普段では見えない課題のつながりや、その裏側にある構造、一見離れているような見える事象の繋がりなどが見えてきます。

そうすると、ダブルループ学習が起こります。課題が別の課題に置き換わったり、別の問いが立ったり、思い立ってなかったアイデアが出て、根本的に前提が変わることがあります。

つまり、チームの前提が変わり、チームのアクションが変わる。変わることで自律的に目的や目標に向かってチームが動き始める。そんなことが起こるわけです。


以上です。Balusを使って「言葉とつながり」でファシリテーションをすると明らかに違うアプローチで違う変化が起こったので、整理してみました。そんな状態を生むBalusを是非使ってみてくださいね。


この記事をサクッと「言葉とつながり」で表現してみました

これをざっと見るだけでも、言いたいことがなんとなく理解できるのではないでしょうか。もし私が軽く言葉で説明するだけで、言いたいことは概ね伝わるのではないかと感じます。

正しさを追求してこのモデルを洗練させることはできるのですが、まずこれだけ書くだけでも認知負荷が下がる、という効能をチームで享受するだけでも、様々なコミュニケーションコストが下がっていくのではないかと思います。

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