ADHDを持つ人の「向上心」と「飽きっぽさ」の葛藤
誰もが経験する「やる気はあるのに続かない」という悩み。
特にADHD(注意欠如・多動性障害)を持つ方々にとって、これは日常的な課題となっています。
本noteでは、ADHDを持つ方々が直面する「向上心」と「飽きっぽさ」の関係性について、その特徴と向き合い方を考えていきたいと思います。
強い向上心の裏にある課題
ADHDを持つ方々の多くは、実は非常に強い「向上心」を持っています。
新しいことを学びたい、スキルを磨きたい、より良い自分になりたいという気持ちが常にあるのです。
しかし、その思いを実現する過程で、独特の困難に直面することが少なくありません。
その主な原因は、ADHDの特徴的な症状である「実行機能」の弱さにあります。
実行機能とは、目標に向かって計画を立て、それを実行し続ける能力のことです。
つまり、やりたいことはたくさんあるのに、それを具体的な行動に移し、継続させることが難しいのです。
「飽きっぽさ」という特性を理解する
ADHDの方々がよく経験する「飽きっぽさ」。
これは単なる性格ではなく、脳の報酬系の特性に関係しています。
新しいことを始めた時は大きな興味を持って取り組めるものの、その興味が急速に薄れていってしまうのです。
この特性により、新しいプロジェクトや趣味を始めることは得意でも、それを長期的に継続することが困難になります。
その結果、「また途中で投げ出してしまった」という自責の念に苛まれることも少なくありません。
積み上げ感の不足がもたらす影響
多くのADHDを持つ方が「人生に積み上げ感がない」と感じています。
確かに、様々な経験を重ねているにもかかわらず、それらが一本の軸として繋がっていかないように感じられることがあります。
このような感覚は、しばしば自己肯定感の低下につながり、新しいことに挑戦する意欲さえも減退させてしまうことがあります。
より良い付き合い方を見つける
では、このような特性とどのように向き合っていけばよいのでしょうか。
以下のようなアプローチが効果的かもしれません。
まず、大きな目標は小さな達成可能なステップに分割することです。
「30分だけ」「今日はここまで」という具合に、小さな目標を設定することで、達成感を積み重ねやすくなります。
また、同じ作業でも方法や環境を変えることで、新鮮さを保つことができます。
たとえば、作業場所を変えたり、BGMを変更したり、時には他の人と一緒に取り組んだりすることで、モチベーションを維持しやすくなります。
さらに、家族や友人、時には専門家のサポートを受けることも重要です。
自分一人で抱え込まず、周りの力を借りることで、継続的な取り組みがしやすくなります。
まとめ
ADHDの特性は、確かに日常生活で様々な困難をもたらすことがあります。
しかし、その特性を理解し、適切な対策を講じることで、向上心を活かしながら、充実した人生を送ることは十分に可能です。
大切なのは、「自分の特性を受け入れ、それに合った方法を見つけていくこと」です。
完璧を求めすぎず、時には立ち止まることも許容しながら、自分らしい歩み方を見つけていきましょう。