作業道の作り方
こんにちは。6期生の藤原です。この間奈良県の吉野で壊れない作業道造りの研修に行かせていただきました。上の写真は研修現場となった天川村で現在作られている作業道です。指導して頂いた岡橋さん、天川村の地域おこし協力隊の皆様、民泊でお世話になった方々,いろいろとありがとうございました!
さてではどうやって道をつけていくのか。
上の図は正面を進行方向に見立てた山の斜面だと思って下さい。Cの地点を仮想の路肩と仮定し、まず進行方向の左側、①の部分をBのラインまで掘り下げバケットで転圧します。転圧された土はAのラインまで下がります。このAのラインをステップと言います。
上の様になったら②の部分をAのラインまで掘り下げ、土を①の部分まで広げ同じように転圧します。同様に③,④もAまで掘り下げ転圧します。
重機が入れるスペースが出来たら進入しキャタピラで路肩となる②から④まで転圧します。①と②の境の路肩の際部分になる所は重機を斜めに入れキャタピラをねじる様にして特に圧をかけて転圧します。その時路肩に重機を寄せるのが怖い場合④の部分を軽く掘りほぐしておくと少し内側が沈むので怖さが減り路肩をキャタピラで踏みやすいです。転圧がすんだら①の部分の法面を成形します。しっかり①から④の部分の転圧が出来ている場合は特に問題なく法面を作れますがそうでない場合は法面の傾斜が曲線を描くようになったり、路肩が山側に寄り道が狭くなったりする可能性があります。そうなった場合はAのラインをしっかり転圧し新たに土を入れ法面を作る必要があります。
法面が出来たら⑤を道幅2.5メートルになるように削り道を拡幅します。⑤は②から④のラインまで掘ってならした後一旦バケット一つ分の深さ(約40センチ)以上まで掘り埋め戻します(天地返し)。⑤は地山がしっかりして路面が下がりにくく②から④と同じ固さにほぐしておかないと道が谷川に傾いてしまいます。これを天地返しをする事によって軽減することになります。天地返しは固く締まった土が欲しい時や表土、柔らかい土を処分したい時にも使います。(深い所にあるいい土を使い埋め戻す時に表土や柔らかい土と固い土を交互に入れます。)
このやり方は切り盛りといい土の処理をその道で利用しながら進む事が出来るため時間と手間を短縮する事が出来ます。
法面の角度は安息角にすることが望ましく、土圧に耐え、壊れにくい角度だそうです。これは高さが1、底辺が1.3の直角三角形の斜辺が法面の角度ということになります。また、⑤の右側の切り取り面の高さは1.4メートル以内に納めた方がいいそうです。土の質にもよりますがそれ以上の高さになると崩れやすくなるため、裏積みと呼ばれる土留め工を切り取り面に施すこともあります。
水が溜まりやすいところ、カーブや勾配がきついところ等で路面の状態が悪くなる場合は路面処理を行います。路面処理とは簡易的な木組みで路面、道、路肩の補強、土のえぐれや偏りを抑える事が出来ます。下の写真は手前の部分の地盤が軟弱なため路面処理を9メートル行っています。この天川村のフィールドでは後に公園にするため車で上がれるよう全路線路面処理を行うそうです。
上の写真のところはなだらかで水も出たりせず特に木組みを行っていないのですが傾斜がきつい所では切り取り面に裏積み工と呼ばれる木組みを施したり、法面下部から犬走りと呼ばれる木組みを行ったりします。
研修では様々な事を教えて頂いたのですが実際作業するにあたって、法面の土台からしっかり作る、転圧は手を抜かない、これを念頭において作業を進めていきたいと思います。ではでは。