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昨年行われた「トー横キッズ狩り」のその後、、、
こんにちは! つーばきです!
みなさんは『トー横界隈』という言葉をご存知ですか?
2018年頃、SNSで「少しでもいいと思ったらリツイート」みたいなハッシュタグと一緒に、自撮り写真を投稿していた『自撮り界隈』が待ち合わせ場所に使うようになり、やがて若者のたまり場になっていったのが、新宿歌舞伎町にある『トー横(東宝ビルの横)』です。
そこに集まる人たちを『トー横界隈』といいます。
はじめは、未成年者が飲みの場として使用しうるさかったことから、近くのホストクラブに通うお姉様方が「金のないガキが歌舞伎で大人ぶるな」というような意味を込めて『東宝キッズ』と呼んでいました。
それに対して若者が「私たちは『トー横界隈』だ!」と言うようになって、トー横界隈という言葉が定着していきました。
ちなみに、毎日トー横に通っている10代の若者は、トー横をさらに略して『横』と呼んでいるそうです。
トー横には、虐待やイジメに悩む10代の若者が多く集まり、自撮りや動画撮影、おしゃべりやお酒を飲んで騒いだりしています。
その行動が行き過ぎて、ときには急性アルコール中毒や薬物の過剰摂取によるオーバードーズ(通称OD)を起こす人もいます。
そんなトー横に集まる若者は、一般的に『トー横キッズ』と呼ばれ、中には中学生や高校生もいます。
日本全国を探せば、中高生が集まり喫煙やお酒を飲んで騒ぐ場所はたくさんあると思いますが、大抵は人の目に触れにくい場所にあります。
いけないことですが、この記事を見てくれている人の中には、まだ未成年だった頃に「人目につかないたまり場」で喫煙や飲酒をしながら楽しく過ごした経験がある人もいるのではないでしょうか。
しかし、多くの大人が見ている場所で「ダメなこと」をする若者が集まるトー横は、少し特殊な気がします。
トー横界隈では、15歳の少年がホームレスを暴行した動画がTwitterで拡散されたり、18歳の専門学生の男性と14歳の中学生の少女が新宿のホテルから飛び降り心中を図った事件などがあります。
また、売春や淫行(いんこう:みだらな行為)などの黒いウワサも絶えません。
そのため、トー横界隈が絡む問題を解決するために大人たちが動き出しました。
それが「トー横キッズ狩り」です。
昨年、警察による一斉摘発が行われ、未成年の少年少女10人近くが、喫煙や飲酒などの非行をとがめられて補導されました。
これまでは軽く注意する程度でしたが、本格的にトー横キッズを狩り始めたんです。
トー横キッズがイスの代わりに座っていた道路わきの花壇には、ハトやネコよけのようなトゲのシートが設置され、座れないようになりました。
また、警察の見回りも増えたことで、トー横キッズたちはシネシティ広場の方に移動しています。
集まる場所がトー横からシネシティ広場に変わったことで、今はトー横キッズではなく『広場のこたち』と呼ばれているようです。
たしかに過去には、先ほど書いたような悲しい事件や、リストカットをして血だらけの子、風邪薬を一気飲みした子、ビンやポールを投げつける子、立ちションをしているオジサンを「成敗だ!」と言って殴る子などがたくさんいました。
しかし、広場に集まる子たちの中には、親から虐待されたり学校でイジメられている子もいます。
そのような子は大半が「居場所」を求めて広場に集まっています。自分と似た境遇にあり、似た悩みを抱えている者同士でお酒を飲んだり楽しい時間を過ごしています。
未成年の飲酒がいけないことはわかっていますが、暴力や薬物に手を出す子と、ただ居場所を求めて来た子を『トー横キッズ』と一括りにして追い出すのは、なんだか間違っている気もします。
またいつか広場の治安が悪くなり「トー横キッズ狩り」が決行される前に、居場所を求めて広場に集まった子と非行に走る若者の区別くらいはしておきたいものです。
私たちにだって、若者だけで集まって騒ぐような似た時期がありましたよね。
虐待やイジメがなくとも、家に帰りたくなかったり学校に行きたくない時があったはずです。
それなのに、日々虐待やイジメを受けている子から「居場所」を奪うのは、かわいそうじゃありませんか?
中には、トー横の清掃やホームレスにご飯を配るのを手伝う子もいます。また、ファッションカルチャーの発信地という側面もあります。
実際「ドンペンコーデ」といって、歌舞伎町のドンキに売っているTシャツのコーディネートがTikTokでバズり、全国的に品切れになったこともありました。
もしかすると「みんなダメな子」と一括りにして、いつからか若者に歩み寄ろうとしなくなってしまった私たち大人の判断が、非行に走る子を生み出しているのかもしれません。
- おしまい -