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【アメリカで銃が禁止にならない理由】


こんにちは。つーばきです。


「友達の血を身体中に塗りつけました」


そう話すのは先月アメリカの学校で起きた、銃乱射事件で生き残った生徒のミアさん(11歳)です。


5月24日、ミアさんと同じ教室にいた教諭が、犯人の姿を見て生徒たちに隠れるよう指示し、生徒たちは机の下などに隠れたのだそう。その後、教諭は18歳の犯人に頭を撃たれて亡くなりました。


犯人は教諭を殺害した後、ほかの生徒も何人か撃ち教室を出て行ったのだそう。ミアさんはこの後、教室からいなくなった犯人がまた戻ってくるかもしれないので、同級生の血を自分の身体に塗り、死んだふりをして助けが来るのを待ったのです。


この事件では生徒19人と教諭2人がなくなりました。11歳の子がこんな経験をするなんて、日本では考えられないような事件です。


しかし、アメリカではこうした事件が後を絶ちません。2020年には銃乱射事件が610件と過去最高を記録し、銃犯罪に巻き込まれて亡くなった人は1万9,486人もいました。負傷者も合わせると毎年数万人もの人が銃犯罪に巻き込まれているのです。


そのためアメリカ人にとって銃犯罪は重要な問題です。アメリカの調査会社によれば「銃犯罪は重要な問題である」と答えた人は全体の48%もいたそうです。これは財政赤字や不法移民を問題視している人の割合とほぼ同じです。


こうした問題の背景には、みなさんもご存知の通り一般人が自由に銃を保有できる制度があります。


2020年に銃乱射事件の件数が過去最高を記録したのと同じように、販売数も過去最高でした。アメリカ人が銃を持つ大きな理由は「身を守るため」と言われており、犯罪が多かったので自分の身を守るために購入した人が増えたと見られています。


銃の保有数が増えれば、当然犯罪に使われる可能性も高くなります。それなら「銃の保有を規制すればいい」と思うかもしれませんが、そう簡単な問題ではありません。


アメリカ人たちは銃の規制を強化すれば銃犯罪が減るとは思っていないのです。


実際に昨年、アメリカ全土に多くの読者がいるワシントンポスト(新聞)と、アメリカの放送業界三大の一つであるABC(テレビ)が共同で行った大規模な世論調査によれば「銃規制強化で銃犯罪が減る」と答えた人は46%でした。過半数を超える53%の人が「銃規制には銃犯罪を減らす効果はない」と回答しているのです。


しかも、効果がないと答えた人は1999年の48%から2021年の53%に上昇しています。当然ですが効果があるという回答は逆に50%から46%に減少しています。


では一体どうすれば銃犯罪が減らせるのでしょうか。


同じ世論調査で75%もの人たちが口を揃えて答えていることがあります。それは「貧困層の経済的な支援」です。なぜなら、銃犯罪の多くが貧困層で起こっているからです。貧困問題を解決しない限り、銃犯罪は減らないのです。


ちなみに、アメリカ人の多くは身を守るために銃を保有していると書きましたが、ほかの大規模な世論調査では「組織や制度を信頼している」と答えた人が33%しかいませんでした。アメリカ人の多くは警察や法や政治に対する不信感があり、だからこそ自分の身は自分で守るしかないという考え方なのです。


そして、銃の保有を禁止するのは現実的に難しいです。


禁止するためには憲法を変えなければなりません。そのためにはまず憲法を変えるための話し合いの場を設ける必要があるのですが、これは議会の2/3以上から賛成されないとできません。そして憲法を変えるための話し合いに進んでも、次は50州のそれぞれの議会の2/3から同意が得られなければ憲法を変えることはできません。


その壁はあまりにも厚く高いのです。


かつて、日本で刀を持つことが禁止されたときは、多くの刀鍛冶が路頭に迷ったと言います。アメリカで銃を保有することが禁止になったら、世界中の銃関係者たちが打撃を受けることになるでしょう。権力のある銃関係者たちは銃禁止に反対です。こういう問題もあります。


アメリカの銃問題は簡単に解決できるような問題ではないのですが、どうにかして罪のない人たちが犠牲にならないようになってほしいですよね。


これ以上、友達の血を塗って死んだふりをするような子どもを生まないためにも。




- おしまい -

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