「喜ばさずには帰せない」前代未聞の緊急事態を見過ごせなかった演奏家がSNSで協力を仰ぎ、その日のうちにに紡ぎ出した "特別な時間" の作り方
「喜ばさずには帰せない」
演者にとって最も大切な精神のうちのひとつだと思います。
そこに「ピンチはチャンス」「転んでもタダでは起きない」という精神を掛け合わせて「すぐに行動」「行動しながら考える」という姿勢で臨んだ結果、ジェットコースターみたいで、奇跡みたいで、感謝の気持ちが積み上げられた忘れられない一日が生まれました。
今回はそんな一日を文字と写真と画像でお伝えする事で、少しでもポジティブな影響を人様に与えられたら嬉しいなと思いこの記事を書き進めています。
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この出来事はひとつの前代未聞の "緊急事態" から始まりました。
わたくし辻本美博がクラリネットパートの客演メンバーとして出演する予定だった吹奏楽コンサートが、全出演者会場入り後、さあリハーサルを始めようかという時に突然の公演中止を余儀無くされる状態に陥りました。(※新型コロナウイルス関連の理由ではありません)
その旨が主催者様から伝達された時には現場は一時騒然としました。僕自身も「ん??どゆこと??そんな事あります??」という驚きと困惑で一瞬思考が停止しかけました。
しかし、次の瞬間に真っ先に頭をよぎったのが、楽しみにしてくださっているお客様の事でした。会場は大阪が誇る日本初のクラシック専用ホール「ザ・シンフォニーホール」、しかも今回の演奏メンバーには吹奏楽ファンなら誰もが知っているスター楽団「東京佼成ウインドオーケストラ」や「Osaka Shion Wind Orchestra(オオサカ・シオン・ウインド・オーケストラ)」のメンバーもたくさん参加されていて、更にはエリック・ミヤシロさんをはじめ豪華客演メンバーも参加される特別な編成。楽しみにしておられた方もたくさんおられるだろうなあと。
そんな中でも僕個人として最も気になったのは「僕のファンの方々」のことでした。僕がこの日に向けて気合いを入れてかなりの練習をしているということと、この公演は特別なものなので是非観ていただきたいですという想いを、何週間も前から発信していました。そんな発信を熱く受け取ってくださったファンの方々からSNSや日々のライブ配信のコメントで「楽しみにしています!」「頑張ってください!」というお言葉をたくさん頂いていました。
そんな方々が大阪・関西のみならず、全国から駆けつけてくださるというお声も僕のところに届いていたので、そんな方々の想いを無にしてしまう、かけていただいた時間とお金を無駄にさせてしまう、、、という心配が何よりも先に僕の心に浮かびました。
それにしても、本当に急なことだったので一刻も早くファンの方々に知らせねばと思い、主催者様に確認の上、Twitterと僕が主宰するオープンチャット「Vermilion CLASS」でこのような発信をさせていただきました。
取り急ぎの発信を終えたところで心を切り替えて、とにかく来てくださる予定だった方々の残念な気持ちを少しでも拭えて、さらに、喜んでもらうために僕ができることは、、、と考えました。色んな企画が頭をよぎりましたが、やはり基本に忠実に。ここは僕のクラリネットとサックスを使って生の音を聴いていただいて、それぞれの良い気持ちになっていただいて「来てよかった」と思っていただけるようにするのが、最もシンプルかつ最良の方法かなと思いました。
そこで早速、仲良くしてもらっている大阪のライブハウス関係者の方、飲食店の方、学校関係の方、スタジオ関係の方、、、手当たり次第にご連絡させていただいたのですが、何せ突然のことで、どこもタイミングが合わず。
しかし「止まっている暇はない!次の一手は、、、」と考えていた時に、一緒にPOLYPLUS(バンド)をやっているGottiが真っ先にこんな連絡をくれました。
時を同じくして一緒にCalmera(バンド)をやっているベースのHIDEYANはこういう形でTwitterに拡散してくれました。
そこで僕は「なりふりかまっている場合じゃない!今こそネットの良い面をフル活用して、協力をお願いしよう!」と切り替えてこのうような発信をTwitterでさせていただきました。
(【拡散希望】って今はなかなか自分だけのためには使えないワードな気がしていて。でも今回は「全てはお客様のために!」というゴールを目指した発信だったのでなりふりかまわずに使わせてもらいましたし、使うことができました。)
その結果、多くの拡散をしていただき、、、なんとすごいスピードで「島村楽器グランフロント大阪店」様がご協力くださることになりました!
そこから、大急ぎでザ・シンフォニーホールを出発して、島村楽器を目指しました。会場に着くと、こんなに突然のことにも関わらず、店長 古西さん、管楽器アドバイザー 藤村さんを筆頭にスタッフの方々がすごい勢いで会場の準備をしてくださっていました。
そして、本来の開園予定時刻だった18:00スタートを目指して一丸となって準備を進めて、奇跡的に18:00に間に合わせてお客様を迎え入れることができました。
そこからはクラリネットとサックス両方を使って、ジャズスタンダード、吹奏楽定番曲、バンドのオリジナル曲、クラリネットソロのオリジナル曲等々をお届けし、更に曲の合間には僕にとって世界一の理学療法士 菊地淳先生によるストレッチ講座も織り込ませていただきながら、更に更にどうせこうなったのなら楽しさを全国に向けて発信しようという事で17LIVEによる生配信も併走しながら。
ザ・シンフォニーホールでの豪華メンバーによる大編成の吹奏楽でお届けできる感動とは違う形になるかもしれないけど、こうなったらこうなったで "特別な時間" を過ごせて良かった!と思っていただきたい一心でお届けした1時間と少しの時間で、来てくださった方々全員の笑顔を見ることができました。その事実が何よりも確かで何よりも嬉しいゴールでした。
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ここまで読んでくださりありがとうございます。今回の出来事は、中止になってしまったコンサート関係者の方々や、そのコンサートを楽しみにしてくださっていた方々にとっては、本当に辛く、残念で、大変な出来事だったと思います。(客観的に書いていますが「客演メンバー」という立場なので、背負っているものの大きさは違うとしても、僕自身もそのうちのひとりです。)
ですが、今回の事で、僕自身が今まで学ばせてもらい、大切にしてきた考えや想いは間違っていなかったんだなと確信を持てました。喜ばさずには帰せないの精神、人との繋がりやご縁を大切にすること、ピンチはチャンス!の精神、行動力、転んでもタダでは起きないぞという気合い、何事も悪い面ばかりではなく自分(たち)の考え方や動き方次第でどうにでも好転させられるということ、自分(たち)が本気でどうにかしようと必死に動けば助けてくれる人や応援してくれる人が集まってくれるということ。
頂いたたくさんの「ありがとう!」や「すごいね!」や「いいね!」のお言葉は大切に、僕の頭に記憶として、心に思い出として刻ませていただいて、この貴重な経験を今後の僕の活動に、そして僕のまわりの方々と一緒にやる活動に、活かしたいと思います。僕の音楽や、活動している姿そのものから発するエネルギーで多くの人にポジティブな影響を与えられるように頑張ります。これからも、辻本美博と、関わってくださっている仲間たちをよろしくお願いします!!
2021.10.4
辻本美博
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本編からはみ出したカタチになりましたが、いつも僕の身体を最高の状態にコンディショニングして、お客様に最高のパフォーマンスを!!と、全面サポートして送り出してくださっている、大阪医療福祉専門学校 理学療法士の菊地先生。今回はこの予期せぬ事態をずっと一緒に間近でサポートしてくださり、身体はもちろん心も支えていただきました。
(菊地先生Twitterより)
そして、島村楽器グランフロント大阪店の古西さん、藤村さん、(そして今回はおられなかったのですが高宮さん)は、じつは僕が学生の頃にしょっちゅうリードや楽譜を買いに行っていた奈良の島村楽器におられたメンバーでして。当時はただのイチ学生だった僕の事を覚えてくださっていて、今またこうして繋がって一緒に何かをやれる事を本当に嬉しく思います。そして今回の緊急ソロライブをあのスピードで、あの良い環境で、しかも観覧無料で開催できたのは本当に、このメンバーのおかげです。
(島村楽器グランフロント大阪店Twitterより)
そんな方々にこの場で、もう一度、お礼申し上げます。
ありがとうございました!!これからも一緒に、よろしくお願いします!!