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児童相談所69日目。「“障子の穴”が表す感情の行き場」
頭を壁にぶつけて感情を吐き出した彼女の額には、赤く傷がついていた。感情をうまくコントロールできないのは小学生であれば仕方のないことだけど、それ以上に気にいらないことが積み重なるとそれが問題行動となって現れる。
彼女の部屋の障子には無数の穴が空いている。
おそらく、一般的には「やめなさい」って言うのだろうけど、「やめなさい」は問題行動を加速させる時もある。かと言ってなにもしなければ体をぶつける行為はおさまることがなく傷が深まってしまう。だから、その時の対応は非常に難しい。
さらに言えば、子どもたちは職員によって態度を変えることがあって、悪い言い方をすればおとなしくしていなければと思う職員と、おちょくれる職員を見極めて行動していることもある。
そうは言っても、夜間の一時保護所は僕のような補助員一人と、相談所の職員一人の二人で複数人の子どもを見なければいけないので、タイプに分けて先生をあてがうこともできない。
また、男性職員は基本的に男子児童を担当するため、女子児童が暴れ回ってもあまり対応できないのが現状。
そんな感じで難しい対応に追われる日もあれば、何事もなく終わる時もあって、今日はどちらかといえば対応することが多かった気がする。
きっかけはゲームがうまくできないことで、そこからずっとその感情を引きずったまま消灯時間を迎えた。案の定、寝ることはなく地響きのような音が響き渡っていた。
毎日が勉強。対応の方法を試行錯誤で探ってベターな方法を見つけ出していく。自分自身の感情をもコントロールしながら対処していかなければいけない。イラッとしたら終わり。なにもかもが見えなくなってしまうから。
子育てで悩む人は多いかもしれないけど、決して親の力量が少ないわけではなくて、子どもたち自身の状態が理由の時も多々あるから、一人で悩まずに誰かに協力を求めるといいと思う。
それは情けないことでは決してないし、恥ずかしいことでもないし、むしろ子どもたちのためになることなのだから。
ようやく静かになった保護所。明日はどんな朝を迎えるのだろう。子どもたちの感情が落ち着いていることを願いながら。
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