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児相42日目。「間違った愛着の求め方」

 対人関係における距離感表すIOS尺度というものがある。

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自分と他者との距離感が、近ければ近いほど、合致している部分が多ければ多いほど他者依存的になってしまい、他者の中に自分が生きることになってしまうことがわかる単純だけどわかりやすい尺度。この、対人関係の中での距離感はここ、児童相談所の一時預かり所でも同じように大切で子どもたちとの距離感を間違えると時にそれが問題になったりすることもある。

 前回ここにきた時、彼女は職員との距離感に混乱していた。「男性の職員にはちょっかいを出す」と自分で言った彼女。父親の存在が大きかったせいもあってか、そこに愛着を求めていて、でもその求め方はいっしょに遊んだり、会話したりするような求め方ではなくて、子どもが好きな子にちょっかいを出すように、叩いたり、物を奪ったり、困らせたりすることでの求め方。その求め方が強くなればなるほどブレーキが効かなくなってしまっていた。僕のメガネを奪ったり、叩いたり蹴ったり。愛着を求めていることはわかるし、それに応えてあげたい気持ちはあるけど、社会の中で困るのは彼女自身。心を鬼にして、子どもたちのことを考えるからこそあえて距離を置かなければいけなくなった。今日は、精神的な距離も、物理的な距離も離れた。まだ低学年の彼女も、なにかの異変に気づいたかもしれない。距離を誤ると痛い目にあってしまうということに。

 前回は時間通りに動けず、決められたこともせず、わがまましか言わなかったその彼女は、今日は別人かのように時間通りに動いた。少し寂しそうな表情を浮かべていたけど。

 誰か他人を変えたいのなら、無理に他人を変えようとするのではなく自分自身が変わる必要があることになんとなく気づいてくれたら嬉しい。叩いたり蹴ったり、ものを奪ったりすることで離れていく人が、包み合い微笑み合えば離れないってしれば、彼女の愛着の求め方も変わるかもしれない。

 冒頭であげたIOS尺度。適度な距離感は対人関係を良好にするし、距離感をコントロールできれば、対人関係に悩むことも少なくなる。ここ、児童相談所では、いつでもこの距離感は頭に入れておかなければいけない最重要事項かもしれない。

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ちばつかさ
いつも読んでくださりありがとうございます。いろんなフィードバックがあって初めて自分と向き合える。自分を確認できる。 サポートしていただくことでさらに向き合えることができることに感謝です。