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児童相談所54日目。「ズレ」
子どもたちが普段のありのままを僕たちの前でみせてくれるのは、子どもたち自身が心を許してくれているからこそだと思っていて、そうじゃなければなにも話そうとしないし、何かを隠すだろうし、どこかよそよそしくなるはずだ。
思春期の子は会話の内容で”大人ぶる”時がある。特に最近ではSNSなどでいくらでも情報をみることができるから、一昔前の同年代と比べても会話の内容が大人びる。それは性について特に顕著で「この年代の子でもそんなこと話しているんだぁ」と思うことが多々ある。
ネット上ではネットに疎い大人たちが知らない場所で、余裕でいろんな会話がされている。おじさんおばさんの想像を遥かに超えた場所で子どもたちは楽しんでいるわけだ。
子どもたちがそういった性の話をしだすと、とたんに黙ってしまう大人は多い。食卓で「ラブホ」というワードが出るだけで空気が凍いた経験をした人は少なくないはずだ。
子どもに限らず大人もそうなんだけど、「やめなさい」と抑圧されればされるほどその抑圧を跳ね返そうと反発するもので、「ダメ」と言われれば言われるほど子どもたちもそれを隠し、逆に見えないところで反発しようとする。思春期の子どもたちの性の話なんてものは薄っぺらい。薄っぺらいとはいえネット上ではその薄っぺらさが暴走して事件になることだってある。危険を察知する能力は楽しさでかき消されて、取り返しにならなくなることもあるから、多少なりとも子どもからでる性の話は止めなきゃならないけど、そんな時にただ単に「やめなさい」じゃそれこそ薄っぺらい止め方じゃないかなって思った。
子どもたちが楽さでしている会話を、子どもたち自信が「薄っぺらい」と感じなければ、大人がいくら止めたって裏では余裕で繰り返される。だからこそ、薄っぺらさに対して真剣で返してみた。思いっきり話に乗っかり、思いっきりそれを理屈で返し、いかに薄っぺらいってことが真剣で跳ね返るかをしようと思ったら…途中で職員に止められてしまった。きっと、会話のコントロールの仕方がわからなかったから「止める」しか方法がなかったんだと思う。
性の話はいったいなにがタブーなんだろうか。真面目に、真剣に、一生懸命返せばそれは学びになるはずだ。しかも、会話の内容なんて目を塞ぐほどの下品なものではなくて、いま、子どもたちの中で実際にされている会話を教えてくれるものだから、貴重な資料になる。
今日は子どもと職員、そして僕とのやり取りの中の大きなズレを感じた。そして、想像もできないようなことが子どもたちのネット上の世界で行われていることをネット弱者の大人、そして”真面目に子どもを正そうとする”大人は知らないから理解することがむずかしいってことも知った。
子どもたの本音をもっと聞きたいとも思った。子どもたちの世界をもっと知ってみたいと思った。それにはまずやっぱり、現実を知ることが必要なんだって改めて思った。
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