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長女から「話したいことがある」とLINEがきた話。
児童相談所の一時保護所は、保護児童の退所が続き今は自宅待機の日々が続いている。保護児童がいないのはなによりだけど、自宅待機の日は落ち着いてはいられない。
そんな日々だった先日、小6の長女から突然LINEがきた。
「トトに話したいことがある」
突然のことだったのでちょっと驚いたし、なにか嫌な思いでもさせたかなと思ってドキッとしたけど内容は違うものだった。
「勉強が忙しいのと陸上に力をいれたいからドラムをやめたいと思うんだ…」
長女がドラムを始めたのは3歳の時。当時東京に住んでいた時に3歳の娘が突然
「ドラムやりたい」
と言ったのがきっかけだった。バスドラムに足がとどかない時から始めて、今年で9年目だった。
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彼女なりに思いっきり考えて、思いっきり悩んで、やめたあとの感情まで気にしながらも決断したこと。しかも、ドラムを買ったり、8年間習ったお金のことも気にして僕たち両親に対する申し訳なさも感じていたようだ。
僕と妻は長女の考えを全面的に尊重した。
3歳の時、はじめての発表会が11月に開催された時、緊張と不安で小さな体から感情が溢れ出して泣き喚いた。リハーサルも行けないまだ幼い長女に対して、僕たち夫婦は叱った。
「自分でやりたいって言ったドラムでしょ!」
あの時のことは今でも反省している。もしかしたら、あの時のことが引っかかっていたんじゃないか、申し訳なさを作り出してしまっていたんじゃないか、そう感じてしまった。
それでも本番は人前で叩けたあの日。まるで昨日のことかのように「ドラムをやめたいと思う」という言葉によってフラッシュバックする。
子育てに正解なんてないと思っている。
けれど、僕自身、野球ばかりで人生の大半を過ごし、野球しか知らずに人生を踏み外した経験があるから、子どもの選択肢は常に与え続けていたいと思っているし、いつ、どんなタイミングで、なにがやりたくなって、なにがやりたくなくなるのかなんてわからないからこそ、その時の選択をベストだと思いたい。
9年目だったドラムはいったん終了した。
8年間もの間叩き続けたことは、彼女にとってとてつもなく大きな財産になったはずだ。
社会をみてみると、選択肢がない子どもたちをみることがある。もちろん、それも正解なのかもしれないけど、勉強したかったり、スポーツをしたかったり、なにか研究をしてみたかったり、音楽をしてみたかったりした時に、社会の制限によって選択できないことは、もしかすると子どもたちの未来での後悔になるかもしれない。
そう思うと、僕たち大人や、大人の身勝手で作られる社会が、選択肢をたくさん与えてあげられるような取り組みは必要なんじゃないかと思う。
児童相談所に行くようになって、いろんな子どもたちに出会い、余計にそれを感じるようになった。
どんな子どもたちも、大きくて温かくい社会が待っていてほしいと思う。優しく、包み込んであげられるような社会であってほしいと思う。
長女はそっとスティックを置いて、外に走りに出かけた。
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