推しが引退した話
推しの声優さんが引退しました。
正確には廃業、微妙に意味が違うらしいのですが分かりやすく引退としてます。
身内しか読まないと思いますが、一応ごく一部の物好きの暇つぶしになるよう初見で分かるように書くつもりです。
クソ長くなったので読んでくれる人ほんとありがとう!!!
推しとの出会い
僕が推していた声優さんは、世間一般的にはあまり知られていない方だったと思います。
とある声優番組でアイマス声優さんとレギュラーを組み、そちらから知った方が多いのではないでしょうか。
かく言う僕もその一人で、その番組から彼女の存在を知りました。
軽妙なトークと、隠しきれないオタクらしさに惹かれたのを覚えています。
それ以来、彼女のことを応援してきました。
番組に毎回メールを送って、イベントに参加して、お手紙やプレゼントを送って。
特別なことは一つもありませんが、誰かを“推す“という行為は初めてで、新鮮で刺激的な日々でした。
彼女は僕が応援し始めた当初、SNSはやっていませんでしたが、その後noteを始めてからは私生活もチラホラ見せてくれるようになりました。
彼女の何気ない文章に元気と笑いをもらいました。
仕事や私生活が大変な時期も、お陰で乗り越えられました。
オタクとしては本当に平凡な、でも幸せな日々だったと思います。
廃業に向かって
彼女の声優生活がどんなものだったのか、正直に言ってよく分かりません。
声優さんのお仕事は表に出ないものもたくさんあるそうで、正所属でしたからそう言ったお仕事は多かったのかもしれません。
ただ少なくとも、彼女の表のお仕事は決して多くはありませんでした。
前述の番組は続いていましたが、徐々に視聴者数は減っていました。
これは決して彼女達の責任ではなく、運営の怠慢が原因なのですが…
そして、それ以外の露出は僅かでした。
僕が応援し始めてから、アニメの仕事はたった一言の台詞のみで、それでも本当に嬉しくて何回もリピートしたのを覚えています。
そんな彼女の“今後“について、考えたくはありませんでしたが、心の奥底で覚悟はしていたのかもしれません。
ある日の番組で、彼女が番組を卒業すること、そして声優という職業自体を廃業することを発表しました。
その発表を、僕は思ったよりも冷静に受け止められました。
泣き喚いて取り乱すことは無かったし、番組の後半にはコメントもできました。
ただその時の、胸の奥の重さは未だにしっかりと覚えています。
こうしてその時のことを振り返っても、やはり同じ重みを感じます。
上手く表現できませんが、息をするのが辛くなるような、そんな重みでした。
月一の番組は残り三回。
リアルで会えるイベントが一回あって、その後最後の放送、そして年度末で正式に廃業。
しっかりと時間の猶予をくれて、そしてキッチリと色々な所に筋を通した、真面目な彼女らしい終わりだと思いました。
最後の3ヶ月
最後の3ヶ月はあっという間でした。
イベントに向けて寄せ書きをすることとなり、初めての企画でドタバタしていたのもあります。
(協力してくれたみなさん本当にありがとうございました。)
ラストイベントは彼女らしく、湿っぽいのは一部だけで明るく楽しい内容でした。
その番組の界隈はイベントごとに大規模な打ち上げをやっていたのですが、その打ち上げも大人数なので寂しい雰囲気にはならずに済みました。
多分一人だと泣いていたので、みなさんには本当に感謝しかありません。
最後の放送があって、そこでも彼女はほとんど涙を見せずに、最後まで彼女らしい番組進行を見せてくれました。
彼女のそんな姿のお陰で、僕も極端に悲しまずに済んだのだと思います。
そして本当の最後、3月31日、noteの更新があり声優としての彼女の活動は終わりを告げました。
自分の推し生活を振り返って
そもそも30代のオタクからすると、“推し”という言葉は割合新しめの言葉に感じます。
ですので意味の捉え方自体違うかもしれませんが、どちらかというと自分の全てを犠牲にして応援するような、そんなスタイルを“推す“ということが多いように思います。
そういう意味では、自分は彼女を全然“推し“ていないんですよね。
仕事も普通にやっていたし、彼女以外の趣味もあったし、その趣味の方にもお金と時間をかなり使っていたし。(地方競馬でマイナス11万とか馬鹿なこともしてるし)
確かにそれらを犠牲にすれば、例えば彼女にもっと多くの手紙やプレゼントを送れたかもしれません。
ではそうしなかったことを後悔しているかというと、全くしていません。
というのも、彼女自身がそれを望んでいなかったんじゃないかな、と思うからです。
彼女は本当に優しい人で、ファン一人一人のことを大切に思っていました。
だからそのファンが最終的に不幸になるような推し方は、逆に彼女を悲しませたんじゃないかな、と思うからです。
一ファンの勝手な思い込みかもしれませんが、僕はそうだと確信しています。
彼女は最後に、「自分を応援していた事を後悔させたくない」と言いました。
だから僕も堂々と、彼女を応援していて良かった!幸せだった!と言い張ります。
後悔は一つもありません。
…いや、強いていえば一つ。
彼女に外見の自信を持たせてあげられなかったのは心残りですね。
容姿にコンプレックスがあったようですが、僕は本気で綺麗だと思っていたので。
そのくらいです!
誰かを推している皆さんへ
後悔が無いならなんで今更こんなの書いてるの?って話なのですが。
最近、彼女の廃業を強く意識したことがあったからです。
僕はもう一人声優さんを応援しているのですが、その方が先日ライブに出演されたんですね。
その感想をファンレターに書こうとして、そこで彼女の廃業を強く実感したんです。
あぁ、もう彼女にファンレターを書けないんだな、と。
ファンレターだけでなく番組へのお便りもそうだと思うのですが、それにお返事が返ってくることなんて稀じゃないですか。
じゃあ何を目的にしているかというと、とにかく自分が応援してます!大好きです!って気持ちを“伝える“ことが一番だと思います。
自己満足と言ってしまえばそれまでですが、殆どのオタク活動、推し活動はそれなんじゃないかと。
そして、僕はもう彼女に向けて、何かを“伝える“ことはできないんだな、と考えてしまって。
彼女はもう一般の方なので変な話ですが、僕は今でも彼女を応援しています。
どこかで幸せになっていてほしい、笑っていてほしい。
ただ、それを伝える手段はもう無いんです。
当たり前のことなのですが、そんなことに今更気付いてしまいました。
だから今、推しに何かを伝える手段がある人は幸せだし、それが永遠だと思ってはいけないんだと思います。
上手くまとめられませんが、彼女の廃業からおよそ3ヶ月経っての今の気持ちです。
どうか、全ての推す人、推される人が幸せであってほしいと思います。