ネット試験会場ってこんな感じなの…?環境の下調べが必要だったと悔やまれる
会場は雑居ビルの中一室だった。
試験会場と印刷された矢印に従い
部屋へと赴く。
受付のおねーさんに要件を伝え
身分証明書を提示
おねーさんが準備をしている際に
ちらりと仕切りの部屋の中を見てみる。
狭い…
ネカフェの6人部屋という表現がピタリと当てはまる。
こんなところでやんの…?
( ネット試験は委託会社が請け負っている )
注意事項を確認のうえ署名をうながされる。
周りの音が気になるようでしたらヘッドフォンをお貸しします
と言われたが
大丈夫と思ったので断る。
署名記入後ロッカーキーを手渡される。
( ロッカー入れ口が狭くてリュックを入れるのが難儀)
「今席が開いてるのですぐに受けられますがどうされますか?」
開始時間20分前に着いたけどすぐに受けられるらしい
「じゃあ… お願いします」
「お手洗いは行かなくもいいですか?」
「大丈夫です」
俺は横開き式の扉( 仕切り )を開けて中に入った。
只今受験真っ最中の方々
行っている受験は簿記だけじゃないらしい。
奥の方にいる方々はヘッドホンをつけて画面を見つめている
その光景に少し戸惑う
簡易的な試験会場。
俺の思い描いていた会場イメージとはかけ離れたものだった
せめてパソコン教室ぐらいの広さの部屋のものかなと思っていた。
同じ番号札のパソコン席に座る。
画面が正方形にデカい、
画面の文字を見ているだけで圧迫感がある
よく目を凝らさないと
内容が頭に入ってこない。
この時俺はかすかなヤバさを感じていた
首を上下して認識するロス
目を横流しで認識するロス
想定外の不安感
マウスポインターの動きが速すぎるし
でもここまできたらやるしかない!
と自分を奮い立たせる
[ 試験開始 ]ボタンを押したらスタートする
その前に受付でもらったメモ用紙2枚に
各問題に振り分けられる時間と
見直し事項を書いていく。
息を整えスタートした。
まさにどんッ
と擬音がつきそうなぐらい画面に文字の羅列が浮かんでくる
首を上げて上部の文字を追う
見づらい、
フォントがWindows96ぐらいのクラシック感
なめらかさもへったくれもない
それでもやるしかない!
勘定科目は [▼ ] で選択
金額は ▦ で手入力
3ケタコンマ出ないからケタわかんねーじゃねーか、
( [Enter] で決定すればつくのが後でかる )
文字表示でかいからスクロールするのがめんどくさい
( 動きも速すぎ)
やべ~
入力にもたつき過ぎて一問目が予定の20分超えてしまった、
そして第二問目に移る。
繰越利益剰余金
繰越配当金
損益勘定
の穴埋め問題。
模擬試験で何度も解いたことのある問題
試験範囲はまさにドンピシャ。
あれ… どうやるんだったけ…
焦る、
焦りすぎて記憶がわき上がってこない
第三問目には時間がかかる財務諸表作成が控えているので
ここで時間はかけられない、
パスして次!、
( 画面左下の [一問] [二問] [三問] ボタンを押せば切り替わる)
三問目は精算表で問題10問。
画面左側に問題
右側に精算表
が表示されている
これがクセモノ。
表は3ページほどの長さの為
全体像や勘定科目の配置が掴みづらい。
決算整理勘定科目の配置が上下に振り分けられるから
金額がいくらだったかメモしておかなくてはならない。
( コピー機能はない)
なんかイライラする!
表示形式とか見づらいし、
これで人の合否を判定するのか?
もっと見やすく作り替えろ!
こんなチープな作りでその人の適材さなんて判断できるか!!
という気持ちはぐっと奥へ追いやる。
ただやるしかないないんだ。
焦り過ぎて電卓を押す手がおぼつかない、
力が入り過ぎて電卓本体が滑ってしまう、
『 消費税を求めよ 』
仮払消費税 ー 未払消費税 だから…
アレ?
どう振り分けるんだっけ…?
仮払消費税は逆仕訳で金額分消す
未払消費税も逆仕訳で金額分消す …
じゃおかしいよな、両方とも消えてしまうぞ、
後まわし!
完全に混乱していた。
ある程度精算表も埋まってきたところで
再び二問目に挑む
残り時間8分。
模擬試験でどう解いていたか少しずつ思い出せてきた、
残り時間4分を切る。
さらに気持ちが焦る。
ここは損益が入る…
ここは次期繰越… ではない、
ここは ……
『 試験終了時間になりました 。
ただちに手をとめ [ 終了 ] ボタンを押してください。』
唐突に打ち切られる終わりを告げるメッセージに
俺は不完全燃焼感を残し
大きく息を吐き出す。
終わった … 間に合わなかった …
見直す余裕なんてこれっぽっちもなかった
最大の敵は環境だった 。
詳しい説明をしてくれている動画▼