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#02 コロナの死者数は、インフルエンザよりも少ない
新型コロナウイルスとインフルエンザを比較する。
本日は、それぞれの死者数についてだ。
(死者に関しては数字で一概に比較すべきでないという議論もあるかもしれない。患者さんを診療する一医師としてそれは十分承知である。患者さんお一人お一人にそれぞれの生活やこれまでの人生があって、一概に語れるようなものではない。自分もそうした背景を大切にしてきたつもりだ。しかし、新型コロナウイルスの現状を理解していただく上で、死者数のデータを理解していただきたい。)
新型コロナに関連する死亡者数
(累計)3000人 (1日)約30人
インフルエンザに関連する死亡者数
(年間) 1万人 (1日)約150人
※ 全数把握疾患でないので推定だが、流行期の死者数は100人を超える。
死亡には、直接死と間接死がある。
インフルエンザの肺炎や脳症が直接の原因で亡くなった場合は、直接死となる。しかし、もともと悪性腫瘍の末期である場合にインフルエンザにも罹患した場合は間接死である。新型コロナウイルスの現在の集計では、いわゆる直接死のみのデータはない。つまり、もともとのご病気が進行しそれが原因で亡くなったと考えられる場合でも、コロナPCR陽性だった場合は、コロナ死とカウントされている。なので、間接死も含めて比較するのが同条件だと考えるが、そうなるとインフルエンザによる死亡は1日100人を超える。
これをどう考えるか?
①【コロナウイルスによる死は、なんとしても避けるべき】と考えるか。
②【インフルエンザよりも死者数は少ないし、コロナで亡くなる状態であった方は残念ながら他の要因でも厳しかったかもしれない】と考えるか。
①の考え方は、「新型コロナは新たに発生した病気であり、それによって死亡者が増えることは許されない」という考え方である。この考え方が広く浸透してしまっている。ただしそれは、コロナという一部分しか見えていない。withコロナといいながら、コロナを排除したいという思いが隠れている。コロナによる社会的影響や経済的制裁などに伴って他の要因で亡くなる方のことはあまり配慮していない、ということになる。
②の考え方は、コロナを特別扱いしない。あらゆる要因を幅広い視点でとらえ、コロナはその中の一要因にすぎない、という考え方である。(死生観にも関わるが)もともとの原疾患により予後は厳しかった方が、最後にインフルエンザ・肺炎球菌・コロナ・・いずれで亡くなるかはあまり大きな問題ではないと思う。また、コロナだけを見て、結局うつ病が増えた、自殺者が増えたのでは何にもならない。コロナ・インフルエンザ・あらゆる感染症・そして様々な疾患・健康に影響を与える多くの要素、経済、すべてのバランスが大切である。「インフルエンザによる死者が今日は100人を超えたので、ロックダウンしましょう。」なんて聞いたことがない。「インフルエンザが流行しているので、やはり手洗いをしっかりしましょうね。」それでよいのだ。その方が社会全体としてはよっぽど健全である。