◆日記◆ ムカートテロリン
ムカートテロリンという水槽がある。
ポータブルCDプレーヤーほどの大きさのプラスチックの水槽で、平たく、蓋はドーム状に丸みを帯びている。
この中に砂利や水草と一緒に小さな魚を1~2匹入れる。
それを一個単位で販売し、そのまま持って帰って頂くというのがムカートテロリンのビジネスモデルである。
中に水が入っていて、しかもプラスチックの蓋には気密性がない。
持って歩くたびに水がゆらゆら揺れ、平たい水槽の中でじわじわと零れて魚は弱っていく。
そういう欠陥を持った商品でもある。
そのムカートテロリンを三個重ねて持ち、電車に乗って帰らなくてはいけなかったことがある。
丸みを帯びた蓋は重ねるのには不向きで、両手でしっかり固定してもなお不安定。
ともすれば、三つ重ねのうち間に挟んだ一つがすっぽ抜けてしまいそうになる。
水はじわじわ漏れていく。
あえてムカートテロリンの蓋を口に見立ててパカパカ開き「ムカートテロリン、はじまるよ!」というギャグをやったものだった。
魚の命を弄ぶ、酷い行為だった。
この前、ばったり古い友達に再会した時「ムカートテロリン、はじまるよ!」とパカパカやったのだが、まるで覚えていなかった。
そんな夢を見ました。
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