えとせとラジオ「宇宙の彼方へ」
今から45年ほど昔。あれは小学校の6年生の頃じゃった。我が家にラジカセなるものがやってきたんじゃ。たしかSonyのICF-1980とかいうラジカセじゃったと思う。当時はいいラジカセだったようじゃ。わしの父が「こらよかラジカセぞ。(これはいいラジカセだよ。)」と自慢しておったのを覚えておる。
さっそく、何か録音したくなってのう。NHK-FMで「夕べのひととき」というリクエスト番組があっとった。とりあえず、カセットテープを入れてタイミングを合わせて録音ボタンを押した。いわゆるエアチェックじゃな。その時の記念すべき曲がボストンの「宇宙の彼方へ(More Than A Feeling)」じゃった。それまで聴いていた曲のほとんどが昭和歌謡だったわしの耳に、この曲は強烈なインパクトを与えてくれた。原題と邦題があっておるかどうかはわからんが、まさに宇宙の彼方に連れて行ってくれるような曲じゃった。これをきっかけに、エアチェックはわしの一番の趣味になったんじゃ。「夕べのひととき」で録音したテープが残っておるんじゃが、その中からあと2曲紹介しよう。ベイシティローラーズの「二人だけのデート(I Only Want to Be with You)」ロッドスチュワートの「今夜きめよう(Tonight's the Night)」じゃ。
「FMレコパル」や「FM Fan」や「週刊FM」といったFM雑誌を見ながら、エアチェックにいそしんだあの頃。ワクワクしながらラジカセの前にスタンバイしておった。今はこんなことせんでも手軽にほとんどの曲をスマホで聴くことができるんじゃが、ラジオから流れてくる曲との出会いは今では味わえんワクワク感があったもんじゃ。
ボストンの「宇宙の彼方へ」を聴くと宇宙の彼方ではなく、小6のラジカセの前に連れて行ってくれる。思い出の曲じゃ。