メトロイドRTAにおける100%とany%
結論を先に書くと、私は基本的にメトロイドのRTAにおいて100%レギュレーションしか挑戦していません。動画にして投稿した際にオマケとしてany%をしたことは何度かありますが、それでも走った回数は100%の方が桁が多いと思います。
時々聞く声として「なんで100%ばっかり?」「100%って難しそう」「違いがあるの?」と色々あるので、ここで書いておこうと思います。
元々は友人のせい
以前の記事で書きましたが、私がメトロイドのRTAを始めたきっかけは友人の影響。彼は100%の方が得意なようで…そいつと競う目的なので自然と私も100%になりました。フュージョンとゼロミッションと両方100%がメイン。自然と新作のドレッドも100%に挑戦。ドレッドは友人が「マップ覚えるのが大変だからあまりやりたくない」と言っていたので競う相手はリアルにはいませんでした。
それならドレッドはany%でもよいのでは?いやそれは出来ません。理由は簡単です。最初こそ友人と競う目的だけでしたが、今なら言えます。100%の方が私には向いている。
100%の華、ルート構築の理詰め
100%RTAの華といえば3つ。まず1つはアイテム回収のルート構築。隠されたアイテムを出来るだけ一筆書きで回収していく。最初から想定されていたかのように回収しきれる場所もあれば、どうやっても最後に戻ってくる必要がある場所もある。当然、自分の実力では最初に来た時では取り切れない場所もあったりする。それらを全て考慮した上でのルートを構築する必要があります。
私の構築は、まずマップのアイテムに「そのアイテムを回収するのに絶対に必要な装備」「あれば楽になる装備」の二つを書き込んでいきます。例えばゼロミッションのリドリーにおける、この場面。絶対にスピードブースターが必要ですね。あれば楽になるのはスペースジャンプ、他にもモーフボールが必要ですが、どう考えても絶対に持っているので考える必要はありません。このように必要な装備と楽になる装備をマップにガンガン書いていきます。(必須が赤文字、あれば便利が白文字)
そうしてみると、なんだかこの辺のアイテムって必須装備が似ていませんか?あれば楽になるものも少し被っている。それならば一気に全部取った方がいいですね。すると最初に訪れた時にはコレとコレを持って入れば戻ってこなくていい…という風に、アイテムを取る時の必須装備を眺めていると、ぼんやりと繋がって見えてくる場所があります。それらを繋げてルート構築をしていくわけです。
更に忘れてはならないことは、どの作品にも「終盤に戻ってこなければならない」場所があるということです。例えばゼロミやドレッドではパワーボムが必要な場所。どちらもパワーボムはゲーム最終盤に手に入るため、どうやっても戻ってこなければなりません。フュージョンも同じです。グラビティやスクリューアタックが無ければ取れない場所がある。
ではその時はどうするか?どうせ戻ってくるならその周辺のアイテムはその時まとめて取ればいい。当然ですが終盤は装備が整って機動力も高い。後半になればなるほどアイテムは高速回収が可能なので、最初来た時は、その周辺にはもう近寄らないようにルートを組む。逆に最初に来た時にしか訪れない奥まった場所は無理矢理でも回収する。
後は実際に走っては試すの繰り返し。走れる場所があればマップを開いて考える。坂道があれば維持できないかと考えて一直線の場面を増やしていく。その繰り返しでルートが出来上がるわけですね。このルート構築と精査が100%の華であり魅力の一つです。
100%の華、難関アイテム部屋の突破
2つ目は難関アイテム、特にメトロイドはクリアだけなら行く必要すらない部屋が多くあります。そしてそこに隠されているアイテムは大抵取得難易度が高い。スピードブースターの制御やシビアなボム設置が求められ、時にはパズル要素もある。そのような難所をいかに突破するかはやはり華の一つです。特にシャインスパークを駆使する場所は見せ場の一つ、いかに派手に豪快にかつ素早く回収していくかは、ルート構築とは違い、技術と発想力が問われる場所です。RTAなので一発取りが基本!いかにサムスを止まらせずに移動し、揃い切った装備を効率よく使用して道を切り開いていくかを練習しつつ、見つけていくのが楽しいのです。
先程発想力が問われると言いましたが、アイテム部屋には別解が大抵存在します。こんな取り方があったのかとやはり思わせたい、そしてそのような取り方は、ほとんどの場合難しいかつ見栄えがよい。ただのアイテム部屋もよく観察して移動を考えることが必要です。そしてそれが面白い。
100%の華、ボスの強行突破
100%クリアの都合上、武装が整っている状態でボスに向かいます。もちろん道中の突破も大量の弾薬と有り余る体力での強行突破が可能となります。ミサイルの無駄撃ちを避けて狙いを定めるのではなく、ボスの身体に埋まりながらボムやミサイルを置いていく。時にはスリップダメージを受けながらも攻撃を仕掛けるといったプレイも可能。道中もミサイルで敵を蹴散らし、時には敵の攻撃を受けつつも最短距離を進んでいく。
つまり…派手なプレイが可能になります。私はこれがany%との一番の違いだと思っています。
any%と100%の違い
逆に、any%の特徴を考えてみましょう。any%はアイテムを取れば取るだけ時間のロスになります。つまり余計なアイテムは取ってはいけない。それならばアイテムを避けていくのが良いのか?というと、それは違います。エネルギータンクが無ければそもそも道中の突破が難しくなったり、ミサイルが足りなければボスで息切れし、逆に遅くなる。ドレッドのクレイド戦が分かりやすい。ここはミサイルの残り本数がかなりシビアになります。
つまり自分の実力とすり合わせた最小限のアイテムかつ、最短距離の通り道にあるアイテムを取っていくというプレイが求められます。要するに「自分の実力そのものがルート、武装に反映される」というもの。当然被弾は最小限かつミサイルの無駄撃ちは御法度。よってany%は繊細かつ美しいプレイとなることでしょう。同時に難易度も高いです。最短距離を詰めるために、高難度テクニックを要求されることもしばしば(ゼロミの水平ボムジャンプが良い例)。被弾が多ければそもそも完走が難しい。any%は100%よりもよっぽど難しい。
一方100%は、まず死なない。大量のエネルギーがあるためむしろ通常プレイよりも完走はしやすい。ミサイルも後半は撃ち放題で気にすることもない。実にストレスフリー。確かにアイテム回収に要求されるテクニックはあれど、any%に比べたら正攻法なら実に簡単。「100%って難しそう」というのは実は逆で、アイテムを自力で全て回収できた人なら間違いなく完走できます。
エンタメとしての100%
繊細なany%と派手な100%、どちらも特徴的なものですが、私はRTA動画投稿者としての目線で、ここからを書きたいと思います。
エンタメとして映えるのは、やはり100%だと思っています。隠し要素をさらって行きながら、既プレイ者が苦労したアイテムをバシバシッと回収し、惜しみなく使った弾薬で破天荒なボス戦を繰り広げる。ここに既プレイ者との一体感と驚きが生まれます。確かに繊細なany%も魅力的ですが、動画映えを考えると100%を推したい。特に好きなゲームなのだから、要素をしっかりと押さえたプレイがしたい。
そして時間もany%より長い。すなわち動画本数が多くなる。編集は大変だけど残るものが多くなる。そのような目線からも100%を軸に挑戦したいと思っています。競技性の高いany%と、エンタメ性の高い100%、人口はany%に比べるとまだまだ少ないですが、その面白さに少しでも触れて欲しいと思って今日も100%クリアを楽しんでいます。