こつこつ京都学
Vol.8 20240227 #現地へGO 02「松尾大社」その2
こんにちは、「こつこつ京都学」主宰の佳子(よしこ)です。
なんちゃってレベルの信仰心しかない私たち夫婦が、なぜ松尾大社への初詣だけは40年以上にわたってしっかり来ているのか。
それはずばり「御神酒」にあります。
甲辰の枡で2合ぐびぐび
干支の文字が墨書された1合桝を1200円で購入し(2024年1月現在)、真新しい酒樽から並々と御神酒を注いでいただけるのです。これがまた、美味しいお酒なの!
大手酒造メーカー、こんなにうまいお酒を作るのかと毎回、驚きます。
今年は「甲辰」と墨書された1合桝にまず1合。銘柄は「松竹梅」でした(その時々で銘柄は変わります)。
以前は金粉を浮かべたお酒もありましたが、ここのところ見かけません。数年来のコロナ禍は、あまりめでたいお正月ではなかったですからね。
昨年の枡を焚き火にくべて燃やし、その火であたたまりながら、昨年を振り返り、今年もまたおいしくお酒が飲める程度の健康でいようと心を新たにします。
お替わりもできましてね、それが200円で1合。つまり2杯を頼めば、1合700円で飲める(大笑。
ノンベイには天国いや極楽のようなお正月になるのです。
お酒を注いでくださるテントの裏には、すでに空になった樽がすでに6つ…(1月1日の午後3時時点)。
若い時は3合いただけましたが、もう2合で十分。
コロナ禍の時は、お替わりが禁止だったり、お酒が蓋つきの紙コップに入れられたり、なかなか切ない、我慢我慢のお正月だっただめに、久しぶりに2024年のお正月は、至福の1日となりました。
桝の隅っこに、ちょこっと置いて舐めながら飲む「塩」の提供はなくなりました。やっぱりコロナ禍の影響かな。
松尾大社では、お正月だけでなく年間を通じてさまざまな行事やお祭りが行われます。その中でも最も興味をもったのが、「中酉祭」(ちゅうゆうさい)と、「上卯祭」(じょううさい)でした。
松尾大社のHPによると、「古来、卯の字は甘酒、酉の字は酒壺を意味していて、酒造りは“卯の日”にはじめ、“酉の日”に完了する慣わしがあり、お酒造りにかかわる祭りの日取りもこうした昔からの慣習によるもの」なんだそうです。
お酒造りの始まる季節、毎年11月上旬の「卯の日」には、醸造安全祈願のお祭り「上卯祭」が、4月中旬の「酉の日」には、醸造完了を感謝する「中酉祭」が行われるのは、そうしたわけです。
特に上卯祭には、全国の和洋酒や味噌、醤油、酢等の醸造業、卸小売業が集まり、醸造安全を祈願し、守札としての大木札(だいもくさつ)を受けて持ち帰り、各々の蔵に奉斎し、お酒造りをはじめる慣わしとなっています。
私が旅先の蔵元でみかけたお札は、これだったのかもしれません。この上卯祭には、茂山社中から狂言「福の神」が奉納されます。これも見てみたいな。
コンピューターで醸造を整備するご時世に、卯の日、酉の日もないような気もしますが、こういうのを続けているのが古都ならでは。
そして、天文というか大きな宇宙の流れを大切にしている伝統産業の肝のような気もしますね。
2024年11月の中の酉の日は5日(火曜)。うわ、仕事の休みの日です。行ってみよう!早速スマフォのカレンダーに書き込みました。
初めて出張するご神像たち
御神酒で体が温まった私たち夫婦は、実は初めての「神像館」と庭園「松風苑」を見学することにしました。
「拝観料」がいりますが、松尾大社に参拝にいらしたら、見て損はないと思いますよ。拝観料は、神像館・庭園共通で、大人500円、学生400円、子供300円(2024年1月現在)。
「神像館」では、3体の御神像と所蔵されている御神像の計21体が展示されています。
重要文化財は、男神像(老年)と男神像(壮年)と女神像。平安時代初期の作で、等身大坐像・一木造り。わが国の神像彫刻の中では古く、重要文化財に指定されています。
「老年像をご祭神の大山咋神、女神像を同市杵島姫命、壮年像をその御子神」として表わしています。
博物館のスタッフさんから「今年初めて、このご神像さんの展覧会が京都博物館で開かれるんですよ」と新しい情報を入手しました。
そうか、初めてのご出張(笑。まずは、よかったわ、ご実家で見られて。出張先はこれです↓
◆特別展「松尾大社展 みやこの西の守護神」
京都文化博物館 2024年4月27日(土)〜6月23日(日)
重森三玲の晩年作「松風苑」
次は、松尾大社のお庭「松風苑」(しょうふうえん)の鑑賞に足を進めます。
庭園作家、重森三玲(しげもりみれい)の晩年作です。
京都検定では、「庭園と庭園作家」も、よくみかけるテーマです。
重森三玲の代表作には、松尾大社「松風苑」のほか、東福寺方丈庭園(「八相の庭」)、東福寺塔頭光明院庭園(「波心の庭」)、大徳寺塔頭瑞峯院庭園(「独坐庭」)などがあります。
松風苑は、総工費1億円。庭に用いられた四国・吉野川産の青石(緑泥片岩/りょくでいへんがん)は200個あまりもあり、丸1年の工期を経て1975(昭和50)年に完成。
京都で昭和時代を代表する現代庭園です。この松風苑は3つのテーマに分かれています。意匠の違う3つの庭をぐるりと回りました。
上古(じょうこ)の庭
松尾山中の神蹟にちなんで作られ、古代祭祀の場である磐座(いわくら)を模す。巨石2つはご祭神の男女2神、それを取り巻く多数の岩は、随従する諸神、地上に一面に植えられたミヤコザサ(笹)は高山の趣を表す。
曲水(きょくすい)の庭
松尾大社の最も栄えた平安期に、平安貴族の人々が、慣れ親しんだ雅遊の場を表現したもの。御手洗川の渓流からの清水が曲がって流れ、丘上には青石が点在。四方どちらから見ても優雅な八方美の姿が本庭の特色。
蓬莱(ほうらい)の庭
鎌倉時代に流行した蓬莱思想を表現、鎌倉期に代表される回遊式庭園を取り入れ、全体が鶴が羽を広げた形をしている。周囲を回遊しながら眺めると、仙境に遊ぶ感がすると言われる。
松尾山の麓には、別名「よみがえりの水」と呼ばれる霊泉「亀の井」の水が湧き出しています。この水を、お酒の醸造の時に混ぜると酒が腐らないという伝えがあります。
松尾大社は、カキカズラの野生地で、京都市指定天然記念物指定なのですが、参拝客で溢れたお正月に行ったせいか、どこにあるのか発見できませんでした。
ほろ酔い気分の帰り道、阪急「松尾大社」駅で電車を待っている時に、地面が大きく揺れました。
能登半島で震度7の大地震が発生した瞬間でした。
大きな被害に遭われた能登の方、ご家族の方、能登で働いておられる方、心からお見舞い申し上げます。
少しでも早く、穏やかな暮らしが再建できますように復興を祈り、わずかばかりですが募金や能登の商品購入などの支援をしていこうと思います。
<続く>
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