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さばさば女子
さばさば女子と聞くと、一番最初に思い浮かぶのが「自称さばさば女子」。
ネットサーフィン中に登場する漫画広告によく出てくるやつだ。私はなぜかそういう漫画に惹かれてお金を払ってちゃんと読む。
そういう話はまた今度するとして、
メディアに引っ張られて偽物のイメージの方が台頭している「さばさば女子」だが、私の友人に本物がいる。
大学の同級生のYちゃん。
Yちゃんとは付き合いが長い割には大学時代の思い出はほぼない。なぜか大人になってからの方が色々と付き合いがあるという不思議な関係性である。
それというのも、彼女の方からよく私を誘ってくれるのだ。
恥の多い人間である私は他人に媚びへつらうことで人間関係を保っていると思っているのだが、私はなぜか彼女に媚びたことがない。
それなのに彼女は私と同じ時間を過ごしたいと思ってくれる、危篤、いや貴重な友人である。
そんな本物のさばさば女子Yちゃんについて、忘れられない思い出がある。
地方に暮らしているYちゃんが、東京に遊びに来たときのことだ。
楽しく買い物をしてご飯を食べて、彼女の乗る新幹線の時間がきたので改札まで見送った。
大概の人は改札前まで送り届けると一度立ち止まり、こちらを振り向いて「今日はありがとうまた今度」と立ち話をして名残惜しそうにして別れるもので、私はいつもこれが苦手だ。
うまくやらないと今日一日が台無しになるような気がして緊張する。
付き合いが長いとはいえ、今回も例に漏れず緊張した私は改札が見えた辺りから少し息を飲む。
よきタイミングで立ち止まるべく私はスピードを落とす。
頭の中で「なんて言おうか」とぐるぐる悩みながら彼女が振り向くのを待ったが、彼女はスピードを全く緩めなかった。
背中のまま横顔を見せて「じゃあまたね〜」と言って、颯爽と改札を抜けていったのだ。
その後ろ姿がなんとかっこいいことか。
強張らせていた体がふっと楽になって、「うん、またね〜」と言って私も踵を返した。
臆病な私には到底真似できないことだけれど、これができるってすごい信頼関係じゃないか。
帰るときにはこんなにサバッサバして帰っていくのに
時がくれば彼女はまた私を誘ってくれるのだ。
言葉で「大好き」「ずっと友達」なんて言い合うよりもずっとずっと、嬉しくなってしまう。
私が私のままでいられる、素晴らしい人間関係。
本物のさばさば女子って、最高なのである。