湿地帯を赤く染める秋の使者「能取湖のサンゴ草」
秋の訪れを一番に知らせてくれる「サンゴ草」の色づきが始まりました。
(撮影日2021.9.1)
秋の景色といえば紅葉ですが、地面一帯が赤く染まる光景はオホーツク地域ならではのものです。
サンゴ草とは
この光景を作り出している植物は「サンゴ草」、正式名称はアッケシソウと呼ばれる植物。
春から夏にかけては緑色で、夏の終わりから秋にかけて赤く変色します。茎が丸く、葉のない一年草です。
ヨーロッパや北アメリカなどの寒帯地域に広範囲でみられる塩生植物で、日本では1891年(明治24年)に道東の厚岸湖(あっけしこ)で発見されたことからアッケシソウと名付けられました。
ですが、赤く染まったその形が珊瑚に似ていることから、サンゴ草と呼ばれることが多くなり、今ではサンゴ草の呼び名の方が多く使われています。
ヨーロッパの方では野菜として食用されているようですが、日本では絶滅危惧種として天然記念物に指定され保護対象の植物です。
日本一の広さを誇る能取湖のサンゴ草群生地
サンゴ草は塩湿地に生息する植物。
オホーツク地域はオホーツク海に面していることもあって、海水と混ざり合う汽水湖が多くあります。
網走市にある能取湖も塩分を含む汽水湖、そしてその横には塩分を含んだ湿地帯が広がり、この条件がサンゴ草の生育にピッタリな場所になっています。
その規模は日本一!
約3haの広さにこの光景が広がります。
敷地内は鑑賞しやすいように木道が整備されていて、何ヵ所か見学しやすいように広くなっています。
平均的なサンゴ草の高さは30cm前後になるそうですが、この辺りに生えているサンゴ草たちは20センチ弱ぐらいとやや小ぶりです。
この群生地、過去にサンゴ草が激減した時期がありました。
環境の変化でこの美しい景色がなくなりそうになったとき、地元の方々の活動でここまで復活したんだそうですよ。
「今年も無事に見られてよかった!」
横にいたおじさま達の言葉がとても印象的でした。
サンゴ草群生地の見どころ
まずは木道に沿って雄大な景色を楽しみながら散策します。
サンゴ草の向こうには能取湖を見ることができ、低い山と森と湿地帯とのグラデーション風景を楽しめます。
青空が出ていたら、もうサイコーです!
湿地帯なので所々に水溜りが見られるのですが、この水面に空が映り込むとちょっと幻想的な光景にもなります。
海と繋がっている湖の湿地帯なので、時期によって水位が変わります。
9月いっぱいは潮が引いているのでこの光景が見られますが、10月に入ると潮が満ちてきてサンゴ草が沈んでしまいます。
サンゴ草群生地の見ごろシーズンには、こういう理由もあるんですよ〜。
早朝の景色もオススメ
サンゴ草群生地は日の出ショットもオススメ。
9月の下旬ごろになると朝靄が出やすくなります。
そして、日が昇ると思いっきりサンゴ草を照らすので、とっても幻想的な光景になります。
水面に映る朝日も美しい!
(撮影日2019.9.28)
この頃になると朝はかなり冷え込むので、しっかり防寒していってくださいね。
日本一のサンゴ草群生地は、国道沿いにあってアクセスがカンタンで、駐車場もすぐ傍にあり、トイレもあってとても立ち寄りやすい場所。
手軽に絶景を見られる嬉しいスポットです。
卯原内(うばらない)サンゴ草群生地
住所:北海道網走市卯原内60−3
問合せ先: (社)網走市観光協会
見頃:8月下旬~9月下旬