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20240418 a flood of circle Tour CANDLE SONG @横浜F.A.D 感想、レポ
デビュー15周年の節目の年を迎えているフラッドは、8月に日比谷野外音楽堂でのライブを予定しており、今回のツアータイトル副題にも-日比谷野外音楽堂への道-と記すほど、8月の野音に向けた1年がスタートしている。
15周年の最初はアジカンのゴッチがプロデュースした「キャンドルソング」を表題としたEPを引っ提げたツアーを敢行している。
桜も散りきった横浜だが、この日は肌寒い雨。風も強く正に春の嵐。
古い曲を多くやるという旨のポストもされてただけに非常に楽しみにしていた ライブのレポ。
19:07 開演時間よりやや遅れてSEと共にメンバーが登場する。
「おはようございます a flood of circleです」といつも通り力強い声で挨拶をする。
1曲目は8枚目のアルバムのトップバッターでもある 「Blood&Bones」だった。
開演を待ちわびたファンがイントロが聞こえると直ぐに続々と前方へ走る。
熱狂的なファンとバチバチに決めるフラッドの演奏のぶつかり合いにより、フロアは自分が今まで感じたことないくらい一瞬で沸騰するかのように盛り上がる。
興奮冷めやらぬ中、E.Pより「Happy Yappy Blood Hunt」はフロアの熱を下げずにテンポを上げていく。もうこの時点で喰らってしまっていたのだが、曲が終わるとDr.渡邊一丘がスムーズに聞き馴染みのあるビートを刻み、オーディエンスも待ってましたと言わんばかりに手拍子で応戦する。
佐々木が「横浜!かかってこい!!」と叫んで始まった 「Dancing Zombies」はフラッドの代表曲である。ユニゾンとの対バンでもユニゾンファンが大半を占めるフロアを完全にジャックしたこの曲、ワンマンだとオーディエンスの掛け声も盛り上がりも段違い。この曲をより一層カッコよくする。
ここで再び 「おはようございます!a flood of circleです」と佐々木が挨拶してしめる。
佐々木がギターを持ち替え、アコースティック風に 「賭け〜賭け〜」と歌い上げると歓声がこだまする。
「賭け(Bet! Bet! Bet!)」は10年以上前の楽曲であり、久しぶりの演奏となる。ゆったりの歌い出しからすぐにアップテンポになるため、小休憩もつかの間、再びフロアが再加熱する。
賭博を想起してしまいまがちだが、今回のツアーの副題にもなっている -日比谷野外音楽堂への道- の通り、あくまでフラッドは8月の野音に向けてこの1年に賭けているのだ。
続いて「Party Monster Bop」、「ゴールド・ディガーズ」と新しめの曲が続く。
どちらも初聞きであるが、どちらともフラッドにしか出来ない曲であるからカッコイイ。
ストレイテナーのホリエアツシがプロデュースした「ゴールド・ディガーズ」の終盤の
「武道館飛んだ3年後 赤でも恥でもやんぞ」といったド直球な歌詞を初めて聞いた時はドキッとしたのだが、それでもフラッドなら絶対にやってくれると生で聴いてそれを肌で感じた。
佐々木がハンドマイクでタイトルを呼びあげて始まった 「Sweet Home Battle Field」はユニゾンとの対バンでも聞いたのだが、やはりワンマンということもありフロアのコーレスの圧が凄い。そして佐々木もダイブとまではいかないが天井を掴みながらフロアに目いっぱい体を伸ばしながら歌い続ける。
曲途中で「お前ら、まだ生きろよ!!」と力強く叫ぶ佐々木と目が合った気がして、心を鷲掴みにされてしまった。
ああ、このバンドはこれからも好きだ。と確信した。
MC
デビュー15周年について…
佐々木「(メジャー)15周年ということでやってますけど、ズルっていうか、結成15周年とメジャー15周年で2回15周年やってるんですよね笑」
「さっきここの店員と話して知ったけど、15年前のツアーで回ってたライブハウス、もうここだけ(横浜F.A.D)らしい。ここも進化してるよね、15年前にお茶割りなんてなかったもん。まぁ進化というか合わせてくれるだけか笑」
F.A.Dは日によって限定ドリンクなどのていきょうをおこなっているが、この日は佐々木のお茶割りを発売しておりそれを嗜む客も多かった。(近くのコンビニのお茶割りも減ってたとか)
佐々木は「15年前からある曲を…いや15年?嘘かも笑」と言って歌い出したのは
「コインランドリー・ブルース」であった。
フラッドといえば佐々木亮介といえばブルースのイメージがある。アップテンポの曲も多いが、私はフラッドの中で「人工衛星のブルース」が好きであるから、この「コインランドリー・ブルース」が聞けたのは堪らなく嬉しかった。
E.Pから2曲目 「冬の終わり、マウンテンデュー、一瞬について」は、フラッドらしさと新しいフラッドを感じる。
タイトル通り、冬の終わりを感じさせる。
何故かは分からないがアルバム「New Tribe」
のジャケットが脳内に浮かぶ。
ゆったりとした2曲から一変、ハイテンポになり流れたのはショートチューン「ベイビーそれじゃまた」
この曲自体がかなり珍しいだけでなく、ものすごい緩急だったためフロアが一斉に跳ぶように盛り上がる。
MC 地元の友人について
「人間って、つい、大人になっちゃうよね」
と話し始めた佐々木。
自分は地元という地元がないとしつつ、それでも連絡をとってる友人について話した。
「連絡とってるって言っても3年に1度くらい…。でも未だに連絡とってるのそいつだけでホントに友人と呼べるのそいつだけなんだ。」
「今から盛り下がる話するけど、友人の父親が亡くなったって。それで俺は線香とかあげなきゃって…それが大人になったってことなのかな…。
でも、俺はそいつにギターを弾きたくなった」
と言って弾かれた 「ギター(羽あり)」もE.P収録曲である。とてもポップでキャッチーで"なんか まだいけそう"という歌詞もあるように前向きな曲だが、この時ばかりはポップな曲調も歌詞も佐々木なりの友人へ向けたものに感じた。
そして流れるように軽やかなドラムとベースのセッションから流れたのは、2007年のアルバム「BUFFALO SOUL」より「僕を問う」であり、それがわかった瞬間の歓声は悲鳴に近いものであった。
公式Xでも「古い曲をやります!」とのアナウンスはあったためBUFFALO SOULの曲は期待していたが、まさか「僕を問う」が聞けるなんて…。
「僕を問う」の余韻が冷めぬまま、Dr.渡邊が緩やかなビートを刻み、佐々木のギターに続きアオキテツのギターが綺麗なハーモニーを奏でて流れた 「花降る空に不滅の歌を」は、昨年出されたフラッド渾身のアルバムのタイトルにもなっている。
以前上がっていたYouTubeの花降る空に不滅の歌をのツアー映像を見て、行かなかったことを酷く後悔したが、ここで聞けてよかった。
この曲はフラッドはもちろん、ファンにも大切にされている感じもした。
私はこの曲の余韻に浸っていたのだが、Gt.アオキの綺麗でかつ出力の大きいギターから始まる「北極星のメロディー」も近年のフラッドの代表曲である。
個人的に大好きな曲でもあり念願が叶った。佐々木の歌声が強調されるサビの爽快感は他には無いし、"他人と最高の意味が違ってもいい" という歌詞に何度も救われた。少しシリアスで正面から向き合う歌詞は、昨年のアルバムに強く継承されている気がする。
続いて佐々木が独特なギターリフを鳴らすと再びフロアは沸き立ち、 シャウトに近いコーラスを重ねる「花」も代表曲だ。
ワンピース作者の尾田栄一郎がこの曲を聞きながら執筆していたことでも一時期話題になったが、"届け 届いてくれ"という歌詞が泥臭くて、それでいて真っ直ぐで偽りないカッコ良さを生み出している特別な曲である。
息付く暇もなく再びDr.渡邊が速いビートを刻む。そのビートで次にくる曲がわかったオーディエンスは手拍子で応戦する。
イントロで地鳴りのような歓声の中、佐々木が
「俺たちとアンタたちの明日に捧げます!」と叫んで始まったのはやはり「シーガル」であった。
ユニゾンの対バンでもダイバーが出ていたが、この日もダイバーが出るほどの盛り上がりを見せる。
やはり、フラッドといえば「シーガル」という強く印象付けられるのはこの曲での強烈なライブパフォーマンスと、オーディエンスの熱狂ぶりの衝突があるからこそである。
YouTubeのコメント欄で
「今も変わらずシーガルを歌い続けるフラッドが好き」というコメントを散見したが、ライブを見るとそれが痛いほど分かる。
代表曲の連発で一息つこうとした刹那、体全体を貫くような
「俺の夢を叶えるやつは俺しかいない」
のアカペラに全神経が佐々木に向かう。
昨年リリースされた「月夜の道を俺が行く」は、紛れもない名曲である。
この楽曲と出会った時、「これこそが私の求めていたロックンロールだ」と衝撃を受けた。
(サブスクで今年1番聞いてるだけある)
この曲の良さは語り尽くせないが、佐々木亮介という男、そしてa flood of circleの魅力が詰め込まれている。
この曲は佐々木亮介、そしてなによりフラッドの4人がロックンロールに賭けているという熱量をこれでもかと感じるのだ。
やはりこの曲は何度聴いても鳥肌が立つ。
全身鳥肌の中、満を持して今回の主役
「キャンドルソング」が流れる。
今年の1~2月に行っていたフラッド主催の対バン企画 A FLOOD OF CIRCUSでも演奏されていたため、新曲という感じはしない。
"ゆらゆら"と揺らめくロウソクの火はどこか儚く、脆い。
しかし、
"分かったのさ 振り返れば好きなバンドがそこで鳴らしてるだけ"
"分かったのさ 振り返れば消えたい歌が胸に灯ってるだけ"
という歌詞にもあるように、決して絶えることのない火であることを確信させる。
それはメンバーが何度も入れ替わり紆余曲折を経て、それでも毎年強くなるフラッドのことのように…。
代表曲の応酬から力強い新曲をほぼノンストップで歌い続け本編終了と思っていたのだが、
佐々木がゆったりと歌い始める。
"もう疲れたんだ 声も出ない夜
溢れ出すのは いつもの消えてしまいたい"
という歌い出しから胸が締め付けられるほどシリアスな歌詞で始まる「白状」
"本当は諦めてないなら ここはまだ限界じゃないのさ" という歌詞に行き着くのだが、間違いなく佐々木亮介の真っ直ぐな気持ちであり、
花降る空に不滅の歌を収録で、ユニゾンとの対バンでZepp Diver Cityにてマイクを通さずアカペラで歌い上げた 「本気で生きているのなら」に通ずると思う。
声を張りながら、それでも丁寧に歌い上げた。
等身大のフラッドをカッコつけずに歌い上げて本編が終了した。新曲に代表曲の応酬、しかし最後の白状が頭から離れなかった。
しばらくして物販のシャツを着たメンバーが再びアンコールで登場する。
佐々木は横浜について、
「横浜が地元なんて…いいよね。
シティボーイ&シティーガール、シティーオールドメンには言わなくても分かると思うけど、8月に日比谷野外音楽堂でライブするから来てね」と軽くアナウンスする。
続けて
「本当に死ぬまでやり続けたいと思ってて、まぁ多分死ぬまで出来ないと思うけど、でもそこで終わってもいいと思ってる。」
と何気なく言う佐々木は本気で思ってるのだろう。
ライブパフォーマンスや楽曲だけでなく佐々木亮介という男が命を懸けて音楽をやっていると感じるのは、こういうとこなんだろう。ロックスターそのものだ。
最後に「まぁ横浜なら日比谷まですぐ行けるしね笑 8/12はみんな来てください。まぁ来れない人はちゃんと眠れるように…おやすみ」
と言ってE.C.1曲目にかき鳴らされた
e.pから「おやすみシュガー」は個人的に今年リリースされた曲の中でイントロのギターリフが断トツで好きだ。
だからこそ飛び跳ねるくらいにノッてしまった。
最後はDr.渡邊がゆったりとビートを刻み、それに合わせてBa.HISAYOが手拍子をして流れたのは 「ベストライド」
"土砂降りの中を 走っていけ 記録を塗り替えるんだ 今日こそ"
キャッチーなサビで佐々木はマイクスタンドごとフロアに向けて歌わせてくれる。
今日一の大きなシンガロングでより一層結束力が増した気がした。
"俺のベストはいつも 今なんだよ"という
スラムダンクの名言のような歌詞だが、間違いなくフラッドはベストを塗り替えていっている。規模は小さいがZepp Diver Cityで見たフラッドよりこの日F.A.Dで見たフラッドはずっとカッコよかったし、進化していた。
最後に佐々木は「野音で会おう」と一言だけ残してステージを後にした。
今回のフラッドワンマンを見て、やはり私は佐々木亮介がa flood of circleが大好きなんだと思った。
先述したが、命を懸けてその日のベストを出し尽くす姿勢はやはり胸に刺さる。
田淵智也が言っていたが、"フラッドがロックだからこの世にロックバンドが残っているんだと思う"
この言葉通りである。誇張は一切ない。
若者に人気なSNSで流れる曲はもちろんいいのだが、小さいライブハウスで、未だにこんな愚直なロックンロール、ブルースをやり続けてくれるバンドはそうないだろう。
フラッドがロックをかき鳴らし続けてくれる限り、私は幸せだと本気で思うし、
"これが生きる理由だ 本気で信じたんだ"
野音は現状、予定が入っていて行けそうにないが、2年後武道館必ず意地でも行ってみせる。
セットリスト
1.Blood&Bones
2.Happy Yappy Blood Hunt
3.Dancing Zombies
4.賭け(Bet!Bet!Bet!)
5.Party Monster Bop
6.ゴールド・ディガーズ
7.Sweet Home Battle Field
8.コインランドリー・ブルース
9.冬の終わり、マウンテンデュー、一瞬について
10.ベイビーそれじゃまた
11.ギター(羽あり)
12.僕を問う
13.花降る空に不滅の歌を
14.北極星のメロディー
15.花
16.シーガル
17.月夜の道を俺が行く
18.白状
e.c.
1.おやすみシュガー
2.ベストライド
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