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ハンブレッダーズ 秋のグーパン祭りZ w/UNISON SQUARE GARDEN レポ

地元大阪城ホールワンマン、武道館ワンマンを成功させるなど結成15周年を爆走中のハンブレッダーズは秋に毎年恒例の対バンツアーを5箇所で決行中。
ハンブレを迎え撃つのは04 Limited Sazabys、UNISON SQUARE GARDEN、サンボマスター、マカロニえんぴつ、凛として時雨という相手にとって不足なしの対バンツアー。

そしてそんなハンブレと同じくらい自分がライブに行くUNISON SQUARE GARDENとのツーマンに行かない訳もなく…札幌まで飛んだ。


この日の札幌は雪が降るほどでは無いが日が落ち風が吹くと、頬が痛くなるほどの寒さだった。


UNISON SQUARE GARDEN

TOY'S FACTORYという事務所の先輩として負ける訳にはいかないユニゾン。
自分も含めユニゾンとハンブレが好きというファンは多いためセットリストもかなり攻めて来そうな予感がしていた。


19:00 ほぼピッタリにSE絵の具 が流れメンバーが登場する。
Dr.鈴木が4カウント取ると身構えていたから、ヘッドホン装着する姿を見て困惑、そして同期音が流れるとどよめく。

to the CIDER ROADは11年前のアルバムの1曲目、ポップに転換したユニゾンの象徴である。
ワンマンでも滅多にやらないため頭を抱えた。

"本当は弱さは強くて 涙こそ道しるべ"という歌詞はハンブレの銀河高速に通ずる気もする。

そんな驚きのスタートから満を持して新曲、傍若のカリスマへと続く。
曲調をガラッと変え、激しく痛めつけるような演奏に息が詰まる。 ライブでは初聞きだったがこの曲がさらにユニゾンを強くすることを確信させる。
そして代表曲 シュガーソングとビターステップ
説明不要、名刺代わり、ファーストブロックトドメの一撃。そんな感じがした。
Dr.鈴木はツアー同様、途中から椅子を放り投げ、今回の対バンツアーの名称の通り、右拳でクラッシュ・シンバルを何度も"グーパン"するパフォーマンスを魅せる。
全員が手を挙げ、飛び跳ねるフロアを見て早々に勝利宣言をされたような気にもなった。


MC①
今年は結構MCするユニゾン。
「UNISON SQUARE GARDENですっ…。ハンブレッダーズとは四者四様の付き合いがあって、4人とも音楽に対して真っ直ぐで、特に聞いてくれてるファンのことをとっても考えている可愛い後輩なんですが…今日は関係なくボッコボコにしようと思います」とはにかむ斎藤。


激しく鋭いセッションから1stアルバムよりカラクリカルカレで再開する。
初期ユニゾンを象徴するアッパーチューンにはさらに磨きがかかっており、ハンブレへ牙を剥く。
間髪入れずにアンチ・トレンディ・クラブという選曲。1stアルバム〜9thアルバム(最新)を繋げるという余裕さえ感じる。
"一緒にいようぜ できるだけ 短い時間っていうエニグマ"という歌詞はこの日を楽しみにしていた者への思いを代弁してくれたかのようにも感じる。

続いて流れるように何かが変わりそう
なんとなくセトリ入りしてくる気はしていた。
"何かが変わりそうな夜だ"はまさにこの日のこと。
"銀河を走っていく鉄道"という歌詞はたまたまだが、セトリ入りしてくるあたりユニゾンからハンブレへの愛をひしひしと感じる。

大サビの"涙がこぼれそうな夜だ!"の3人全員のシンガロングに胸を打たれた。

そんなバチバチロックから演奏された君の瞳に恋してない により一転、ポップでハッピーな雰囲気に。
新旧ファンともに舌を巻く見事な繋ぎであった。

MC②
「ハンブレった…すみません噎せて、ハンブレッダーズとはあまり言ったこと無いんですけど、スタッフのチームが同じで、なので今日は照明さんはワンマンです」という初めて聞く内部事情にどよめく。
確かにハンブレとユニゾン照明とか似てたな。
「そう、だからハンブレとはほぼ家族みたいな感じで…そんな彼らが活躍してるのがすっごく嬉しいんですけれど、対バンは関係ないので…ヴォッコヴォコ(音割れしてた)にします!」と再び宣言する。

"高らかに空気空気両手に掴んで"と斎藤が美しいハイトーンボイスで歌い始めた Invisible Sensationでの再開にも唸ってしまった。
特に2番の歌詞にある "このステージに立てるのは選ばれし 相応だ!派手なヤツをくれ" はハンブレという可愛い後輩からの誘いを快諾しつつ、先輩の威厳を保つかのようで最高だった。

この日はポップからカオスへという流れが多い。次に演奏されたカオスが極まるも同じく、最初から最後まで派手に轟音を鳴らしつつ、流石のバンドアンサンブルに"極まってしまった"

「UNISON SQUARE GARDENでした ラストっ!」と斎藤が言い放ち、Dr.鈴木から幾度も大事なライブを締めくくったあのフレーズが聞こえてくる。

フルカラープログラムという選曲が、この日がただの対バンでは無いことを、思い入れが強いことを証明する。
ユニゾンが最も大事にしている曲と言っても差し支えないだろう。
最後にこの曲を選んだことに対して、ハンブレを本気で潰しに来てるなぁと感じた。

7色の照明に照らされ
「ありがとうございました!次はハンブレッダーズ!」と斎藤が叫ぶと颯爽に帰る3人。


満員のフロアを突き刺す斎藤のギター、この日も縦横無尽に走りながらも楽曲の基盤となるベースをしっかりと鳴らす田淵、いつも通り凄まじい手数の鈴木のドラムス、全てがひとつになって
これこそがUNISON SQUARE GARDEN。
あまりのパフォーマンスに正直立ちつくしてしまった。
10曲という限られた制約の中で"完全無欠のロックンロール"をかき鳴らした。セトリに1ミリも無駄がなかった。田淵のセトリおじさんっぷりに改めて感服した。
圧倒的なパフォーマンスだった。


UNISON SQUARE GARDEN

セットリスト

1.to the CIDER ROAD
2.傍若のカリスマ
3.シュガーソングとビターステップ
MC①
4.カラクリカルカレ
5.アンチ・トレンディ・クラブ
6.何かが変わりそう
7.君の瞳に恋してない
MC②
8.Invisible Sensation
9.カオスが極まる
10.フルカラープログラム


ハンブレッダーズ


ユニゾンと同じチームと聞いた後だったから、転換の時間が約7~8分とビックリするくらい早かったと記憶している。
ユニゾンがあまりにも凄かったから、ハンブレ大丈夫か…?など思考に落ち着きの無いまま暗転してしまう。

お馴染みのSE おはよう で登場したメンバーの表情は普段より柔らかくリラックスしてるようにも見えた。


沈黙を破ったのはDr木島のドラムでも、ムツムロのギターでも無く、ムツムロのボーカルだった。
"どこまでもいけると思った夜だった 血と涙と汗が混じりあっていた" と銀河高速をゆったり歌い始め、それは次第に大きなシンガロングとなってライブハウスに響きわたる。
ミラーボールにも照らされ、なにか幻想的であった。

ユニゾンがステージに残した熱に当てられるかのようにいきなりフルスロットルだった。
銀河高速の余韻そのままにヤバすぎるスピードでさらに加速する。
大のユニゾンファンであるGt.ukicasterのギターソロは相変わらず鋭く、そしてアレンジを混じえるほどの余裕を感じた。

そんな熱すぎるパフォーマンスにオーディエンスは興奮、メンバーの名前を思い思いに叫ぶ(7割木島)。


曲が終わり小休憩。

「いやぁUNISON SQUARE GARDEN先輩ありがとうございました!まじサイコーでした!自分たちのこと可愛い後輩と言ってくれましたが、可愛いだけでは潰しがいがないですよね。」というMCにさらに活気づくフロア。

「バラードなし!」

再びシンガロングを纏って再開したのは、今年発売のアルバムタイトルにもなっている はじめから自由だった である。
ラスサビの"はじめから自由だった ぼくら!"の大合唱は今年のツアーでも武道館でも聞いていたが、この日はユニゾンと全く異なるフロアの一体感を感じた。

そしてDAY DREAM BEAT
まさに小細工無しの力勝負に挑んだハンブレ。
メンバーは力むことなどなくBa.でらしがいつも通りピョンピョンと跳ね、Gt.ukicasterもいつも通り田淵のように大きく手を広げ煽る。
リラックスしながらも音を聞くだけで今日のハンブレは違う!と感じさせられた。

MC
自分を含めこの日集まったファンは、真っ向からユニゾンとぶつかり合うハンブレが見たかったであろう。
そしてそれにハンブレは最初の4曲で回答した。

そんなアツすぎる展開に大興奮のフロア。思い思いに名前を呼ぶオーディエンスに対し、
「ユニゾンの時はもう少し気品があった気がするんですけど、、」 とはにかむムツムロ。
そして
「いや、いい日を選んだんじゃないですか?」とニヤリ。

「ユニゾンは最高の先輩です。ずーっと一緒にやりたくて何度も声をかけて、ようやく出てもらいました。でもこのグーパン祭りは僕らが対バンする相手と同じ土俵で戦っていくっていう決意を示す場所なので、ボッコボコにします!」とこちらも高らかに宣言する。

「1人先にユニゾンと武道館たってる奴がいるんですけど、うちのギターはユニゾンとより俺の隣で弾いてる方がカッコイイっすよ?」
とユニゾン武道館2日目にゲストギターとして登場した"ユニゾンヲタク"のukicasterを指さすと、ukicasterのリズミカルなギターリフが鳴り始まる
常識の範疇~DANCING IN THE ROOMというダンスミュージックのコンボ。
真っ直ぐ一辺倒ではなく緩急をつけ、フロアをより活気づかせる。

MC
「アクション!と言う曲を出しました。例えば絵を描いてみようとギターひこうと思ったとして、今はSNSとかがあるから自分より上手い人がいて、『ああ俺はいいや』ってなってしまうのは勿体ないって思います。自分でやろうと思ってやったからこそ得れる楽しさがある。まずはアクションしてみましょう!俺も田淵さんのキックを真似してみます!」

という大切だけど忘れがちなことを改めて思い知らされたMCから 新曲、アクション!

ハンブレらしいギターロック、そして徹頭徹尾~の田淵のようにハイキックを試みるムツムロ、ただ田淵の半分も上がらず爆笑の渦に。

武道館の物販で曲名は明かされていたものの、11月に発表されたこともありこんなに早く聞けるとは…。胸に響くMCのあとだったからか、生演奏だったからか音源ではあまり刺さらなかったが温かい気持ちになり、好きになった。

そんなアクション!から⚡️(ビリビリ)〜フィードバックを鳴らして はどちらも今年リリースしたばかりの曲。
7月リリースの⚡️はフェスなどでも多くセトリ入りしたため新曲とは感じなくなったが、"心をかけるビリビリ"という誰しもがもつ胸の衝動を掬ってくれるようなムツムロにしか書けないナンバー。
フィードバックを鳴らして は武道館前に発表され聞くのは2回目となるアニメ「鴨乃橋ロンの禁断推理」の2期EDテーマ。
ユニゾンが当アニメの1期のOPを担当しており、ここでも繋がりを感じる。
ユニゾンのハッピーにふりきったOPと違い、推理アニメのイメージピッタリの少し不気味なギターロックはハンブレの引き出しの多さを感じる。

この新曲3曲は恐らくセトリ入り確定であったろうが、3つ続けるというのはさすがに予想外。
それでも全く異なる3曲の連投は違和感を感じるどころか、これまでのライブのイメージを一掃するほど新鮮でかつセンセーショナルだった。
新曲3連投という心意気にもハンブレの気合いを感じる。


フィードバック〜の不気味な匂いが残ったまま、セッションを挟み札幌に響いたのは才能

ガッツポーズしてしまった。どうしてもこの日にユニゾン相手に鳴らして欲しかったこの曲。
"馬鹿馬鹿しいことに意味なんかないことに マジになれるのが俺らの才能だ どうでもいいからと君は笑うけれど 頭が良すぎると あんまりカッコよくないぜ?"

ワンマンでは聞けるがフェスなどでは演奏されることは無いこのナンバーを、スクールカースト最底辺のハンブレがユニゾンの背中を引っ掻くように演奏する姿を見て心底惚れてしまった…。

MC
「いやぁ〜田淵さんのキックムズかった笑 運動神経いいんだな…」というムツムロに
Ba.でらしが「言葉を選ばないで言うと酷く惨めだったよ」と口撃する。
そんなメンバーとの緩いやり取りもハンブレのライブの良さと思っていると、
「今年は武道館にも立たせてもらって、ハンブレッダーズというバンドが日本でバンドをやる自信がつきました。さっきも言ったけどグーパン祭りは日本のロックンロールに俺たちが歴史を作っていく決意の場。ユニゾン先輩と一緒に作っていくんで、よろしくお願いします!」
と一転、力強いMCへ。
「ユニゾンと一緒に作っていく」という言葉がこの日来ていたものに強く響いたことだろう。

「俺たちの拳でこれから作っていこう!」
とムツムロが叫び、グー
去年のグーパン祭りの際に作られた、ムツムロ曰く「これからのハンブレのアンセム的曲になる」この曲は1年がたった今、間違いなくそんな存在になった。
フロア一面から上がる拳、それは争いのために握られたものでは無い。
これからアクションを新しいものを作っていくために力強く結ばれたもの。
ライブで聞く度に何年後も歌い続け、この景色を何度でも作り出して欲しいと思う。

終焉の予感を打ち破ったのはフェイバリットソング

"誰にも知られたくないのに 誰かにわかって欲しいんだ 僕だけのフェイバリットソング だけど世界中の誰もがあの歌を歌ってしまったら きっと僕は聞かなくなってしまうだろう"

誰しもがとは言わないが、多くの人が思ってたことがあるであろう胸の奥にしまっている感情を掬いあげてくれる。
ハンブレにしか無い大きな魅力だし、この曲を聴く度に「自分のことを歌ってくれている」という最高な勘違いをさせてくれる。
2番にはいる際にはムツムロが「あれ…木島さんもっと上げていいんじゃないですか??」と演奏をスピードアップさせる。

多幸感に満ちた中、アップナンバーギターで締めくくる。
通常ライブ序盤に演奏されることが多いが、肩を揺らしてシンガロングするこの曲が本編最後に来たことでユニゾン手痛い一発をお見舞いし、ダメ押しをしたようだった。

最初から最後までこのバンドしか成せない雰囲気を保ちながら、今まで見た事のないハンブレも観測できた濃い1時間であった。

【本編終了】


アンコールで登場した際にムツムロは声が枯れていた。そんなムツムロを見たのはじめて。
やはりユニゾンのあの演奏を見たら、いつも以上に気合いが入ったのも頷ける。
声が枯れたということがこの夜、いかに白熱していたかがわかると思う。

「15周年迎えましたけど、これから俺たちはみんなの手を離れてもっともっと大きくなるかもしれない。それで嫌いになってしまうかもしれなけれど、嫌いになれるもんならなってみて下さい!」

プロポーズという選曲にどよめく。
"ねぇこれからもずっと一緒にいよう きっと僕が幸せにしてみせるから"
声が出ないムツムロに代わりフロアで大合唱が起こる。その姿に微笑むムツムロ。
優しく暖かいエンディングであった。


「やり過ぎでしょ…」とさえ感じた手加減一切無しのユニゾンのパフォーマンスに充てられたかのようなハンブレのスーパーアクト。
この日もMCでも言っていたが、
「声を出せないヤツらの声を代弁することがロックバンドの特権です」という言葉に嘘偽りは一切ないと再び確信した。

そんな最高な夜を提供してくれたハンブレとユニゾンに改めて感謝を。



ハンブレッダーズ

セットリスト

1.銀河高速
2.ヤバすぎるスピード
MC
3.はじめから自由だった
4.DAY DREAM BEAT
MC
5.常識の範疇
6.DANCING IN THE ROOM
MC
7.アクション!
8.⚡️
9.フィードバックを鳴らして
10.才能
MC
11.グー
12.フェイバリットソング
13.ギター

E.C.
14.プロポーズ

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