HITORIE 10-NEN-SAI "Versus Series" vol.2秋山黄色×ヒトリエ ライブレポ
ヒトリエ10周年企画のひとつ、3度の対バンシリーズ2回目はリキッドルームにて秋山黄色との対バン。
既に大阪でキタニタツヤという大物との戦いを終えているが、今回も超強力な相手になる。
また、個人としても1月の10-NEN-SAI 赤、青の2daysを見て以来のヒトリエとなる(この時もリキッドルーム)ため、ずっと楽しみにしていた。
対バンの素晴らしさに改めて気付かされたライブレポ。
秋山黄色
名前はもちろん知っている程度であった秋山黄色だったが、この日に向けて聞き続けていた。
18:59 開演時間前に暗転しSEが流れる。
バンドメンバー登場後に秋山黄色が登場すると、黄色い歓声に包まれるリキッドルーム。
セッションは無くDr.Shuntaがシンプルに4回シンバルを叩く、いきなり「アイデンティティ」からスタートした。
続いて代表曲 「やさぐれガイドー」と畳み掛ける。ラスサビに入る前に演奏を途中で止める形にして秋山は「みんないくら払ったの今日。5000円と手数料ですか?」と質問をなげかける。
笑いが起こるフロア。
「それじゃあディズニーランドくらい楽しまなきゃな! 3000円分ぐらいの声くれ!」と言うとサビでシンガロング。
やはり秋山黄色、強い。そう感じた。
シャッター音とともに点滅するステージ、「シャッターチャンス」でも歓声が上がる。
本当に対バン相手とは思えないくらい歓声が大きいのは、秋山黄色の人気と強さを感じる。
この日は最前近くで見れたため秋山以外のバンドメンバーの演奏にも目をやると各々の演奏技術の高さに圧倒される。特にGt.井手上は最初から頭を掻き回し体を上下に揺さぶりながらのプレイングが印象的であった。
MC
秋山が自身とヒトリエについて語った。
soundcloud時代からヒトリエを知ってたこと、シノダのcakebox時代も、イガラシの石風呂時代も、ゆーまおのニコ動時代も事細かに語る秋山に親近感を覚えた。
そしてこの日はシノダのことを「おっさん」と連呼してたのも印象的だった。
続いて「宮の橋アンダーセッション」ではサプライズがあった。
曲途中で 「シノダさん誕生日おめでとう!」と言い、cakeboxの「しおひがり君お誕生日おめでとう」、衝動的な人の「残像スティグマータ」、ヒトリエの「るらるら」をワンフレーズほど歌ったのだ。
2月のシノダvsヒトリエ落選し、シノ鉄未参加の自分からしたら、初の生「残像スティグマータ」が秋山黄色になると思ってはいなかった笑
そして、これ(るらるら)のパクリです!と言って再開した。
「日々よ」、人気曲「SKETCH」はミドルテンポで聞かせる系の曲。ここでは改めて秋山の歌唱力の高さに酔った。
そして本日の驚きポイントであろう「ガッテム」はかなりレア曲。子供から大人に成長する歌。見えないしがらみへの不安をエネルギッシュに歌い上げた。また体を床に打ちながらの激しいギタープレイングにも魅了された。
続くはアルバム ONE MORE SHABONより
「PUPA」、「アク」もかなりレア曲だ。
「PUPA」は歌詞にもある通り、青い照明が淡かった。
ギターをアコギに持ち帰ると秒針の音が聞こえ始めた。「アク」はなんとも秋山らしいテンポが刻まれる。この頃はこの複雑なテンポの虜になってしまっていたようだった。
「もう終盤です。シノダさんのことオッサン呼ばわりしたけど、後輩ヅラしたけど、ホントはそんなことなくて でも呼ばれてホントに嬉しかった。 11-NEN-SAIにまた呼ばれるように…」
とここでもヒトリエへの愛を語った。
アコギに持ち替えたことで予想は着いていたが「Caffeine」はやはり秋山黄色といえば、のアンセム的な曲だと感じたのは、フロアの盛り上がり方だ。
以前のMCでヒトリエファンがほとんどと知り、「対バンは平和的にいきたい」と言っていたが、この頃は自分を含めたヒトリエファンを秋山がジャックしていた。
「今日実は…」と話し出したかと思えば何かを思い出したかのように舞台袖に掃ける秋山。
手土産用の洋菓子を持って登場する。
「実はバースデープレゼント持ってきたんですよ」と中身はバウムクーヘンのようだ。
フロアに近づくと
「ヒトリエ昔から知ってるやつは?」に手を挙げた最前中央の女性に1口おすそ分けするというなんとも微笑ましい光景だった。
「次ヒトリエあるけど、もう座らせて見せて下さい…って立てないくらお前らを疲れさせてやる!」とフロアを煽る。
最後はもちろん新曲 「ソニックムーブ」
個人的に一聴目からかなり気に入ってたため嬉しかった。(実は足元のセトリでこの曲だけ見えていたが)
"Say Again!"のシンガロングも信じられないくらい一体感があり、強さがあり、最後には再び秋山が一回転して体を床に打ち付けた。
最後はハッピーに駆け抜けた秋山黄色。
「みんなヒトリエ好きだねぇ…俺もだけど」
「これから無料でヒトリエ見れちゃうんでしょ? 皆もバンドやった方がいいよ」
など、ことある事にヒトリエへの愛が篭っていたこと、それに反して圧倒的なパフォーマンスでリキッドを制圧していたギャップに心掴まれた。
正直なところ音源だけではあまり刺さって居なかったが、強烈な洗礼を受けた。
本当にかっこよかった…。そして対バン相手が秋山黄色で良かった。
秋山黄色 セットリスト
1.アイデンティティ
2.やさぐれガイドー
3.シャッターチャンス
4.宮の橋アンダーセッション
5.日々よ
6.SKETCH
7.ガッテム
8.PUPA
9.アク
10.Caffeine
11.ソニックムーブ
ヒトリエ
個人的今年ベストアクトであった1月の10-NEN-SAI 赤、青 2daysぶりのヒトリエ。
それも同じリキッドルームにて。
様々なバンドを見たけれど特に楽しみに待っていたのがこのバンドである。
整理番号は20番台であったため前方を確保、胸が高鳴る中、転換時には秋山のCaffeineのキダーリフが聞こえてきてリラックスできた。
幕が開くとすぐに暗転してSEが鳴る。
いよいよ…
やはりセッションから始まった「ジャガーノート」は分かっていてもカッコイイ。
イガラシさんが目の前に来るとクラップを煽る。目の前でのイガラシさん、手元は相変わらずどうなってるのソレ…と信じられない速さのスラップからなかなか目が離せなかった。
"世界中が俺に跪け"の時に豪快にサムズダウン👎するシノダ。
vsシリーズと銘打っているこの対バン。
秋山のため息が出るほどのパフォーマンスに魅せられ、いつも以上に唸るジャズマスターが治安の悪そうな感じを助長する。
1度曲入りをミスして仕切り直して始まったのは「ゲノゲノゲ」。独特なリズムとメロディーに独特なシノダのヴォーカルが気持ちよすぎる。
秋山が初期からのファンということもあり、初期曲多めで来るか?という予想を裏切ってきた。「よっしゃー!」と曲を閉める。
続くは「Marshall A」 えぇ!?と思わず声が出る。ワンマンでも中々やらないからビックリした。ジャガーノート、ゲノゲノゲで相当ゆさぶって来てるのに 緩急が凄いこの曲が来るとは…。完全に3人にしか出せない唯一無二の空気感になるフロア。
MCに入ることなく 「Milk Tablet」
ホントだ。ホントにMilk Tabletだった!!
ギターを抱き抱えながら歌うシノダ。
シノダ自身の楽曲を立て続けに披露する。
やっぱりヴォーカルとしても ソングライターとしてもシノダにしかない世界観を表現できる。
だから今のヒトリエは強いんだ そう実感した。
「どうも"オジサン"です」と秋山に言われた蔑称で挨拶するシノダに笑いが起こる。
「秋山ファン、一つだけ覚えておいて欲しい。ワタクシはかなり根に持ちますからね。ラジオでぶっ倒すって言ったけど、物理になるかも」とのコメントにも笑いが起こる。絶口調なシノダ。
「いやぁでもカッコよかったっしょ…。」それでも相手は強敵。リスペクトが止まらなかった。
ハンドマイクに持ちかえる SLEEP WALK?と思ったが、「イガラシくんの新曲」とのアナウンスにフロアが湧く。
「Selfy charm」は先日リリースされたばかりではあるが、1月の2daysでも披露されていた。ホントにオシャレ…全員が他のバンドでメインで曲を作れそうなくらいに3人はそれぞれ違った世界観の独創的な曲を書く。
前回の披露では出来たてだったらしく、完成度が格段に上がっていた。
そしてヒトリエファンが1番驚いたであろう「RIVER FOG, CHOCOLATE BUTTERFLY」どよめきが起こった。
ポラリスのカップリング曲。まさか聞けるとは…シノダは曲途中で秋山のように地面に転がりながら激しくギターを弾く姿はギタリストそのもの。胸が熱くなる。
「Neon Beauty」も驚きの選曲である。
海外ファンにとりわけ人気の高い曲であり、海外のファンの中には飛び跳ねる方も。
個人的には前口上もあるらしいシノ鉄でやはり聞いてみたい。
MC シノダから秋山への想い
どこから話そうか…とここでは中々言葉が出てこないシノダ。
「ヒトリエに入る前に、ソロでcakeboxという名義で宅録した曲を挙げてた時期があった。2018,19に秋山を知ったあと、エゴサしてた時に秋山がその音源を持ってるらしいと知った。」
「めっちゃカッコよかったっしょ? あんなカッコイイ音楽の中に少しでも自分の音楽が入ってるって思うと不思議な気持ちになって、4人から3人になった時、秋山があの時の曲をカッコイイと思ってくれたのを思い出して、新しく曲を作ってみようかなと思えた…。」
周りには泣いている方もいた。
秋山もMCでwowakaのいる頃に対バンできなかったと言いつつ、「それでもオレはシノダさんが歌ってくれるって思ってたし、信じてた」
ということも口にしていた。
このバンドのライブを見て毎回感じること、それはとてつもなくカッコイイということ、そして続けてくれてありがとう という思いだ。
続ける要因になった秋山にも感謝を…。
「10周年のヒトリエ、その"最前線"を表したような曲を聞いてください」
「オン・ザ・フロントライン」文字通り最前線を表すタイトルである。
熱いMCのあとということもあってか、ライブ初聞きであったのに「3分29秒」のような新曲とは思えない聞き慣れたカッコ良さを感じた。
数年後もこの曲を引き続けて欲しいと切に願う。
弾き終わり、「39年…39年と比べれば到底短いが、リキッドを引き裂くには十分な"3分29秒"」とオリジナルの口上で始まった「3分29秒」
3人体制になって初めて作った曲。毎度これを聞くとヒトリエの決意みたいなものを感じる。
"あなたのようになれはしないんだよ なろうともそうしたいとも 思わねぇよな!!"
4人から3人へ その体制は5年目となり更に強いロックバンドへと進化を遂げているヒトリエ、ライブで聞く3分29秒が聞く度にカッコよくなることが何よりの証明だろう。
セッションから「ハイゲイン」1月のday2のMVP曲を挙げるなら間違いなくこれだった。
元々"全員で歌う"ために作ったこの曲はコロナ禍真っ最中にリリースされ、それは叶って居なかったのだが day2のリキッドをつんざくようなシンガロングがあり、シノダは感極まり、「ようやくこの曲が完成した」
ただ、この日のシンガロング、あの日よりも強烈であったように感じる。
「今日1番の声をくれ」とシノダが言ったなら勿論「wowakaより愛をこめて」、「アンノウン・マザーグース」である。
先日ファーストテイクでも演奏したこの曲。
この日1番の声がリキッドにこだまする。ヒトリエとヒトリエのファンだけでなく、ボカロ好きまで幅広く愛されているこの曲はやはり格別である。
「ありがとうございました!最後はヒトリエより愛をこめて、『ステレオジュブナイル!』」
ハイゲインからの流れで何故かなんとなくだが、ステレオジュブナイルで閉めると予感していた。
この歌は希望だ。ヒトリエにとってヒトリエファンにとって大きな意味を持つ曲だ。
"何周もしたい 終わっちゃうより全然いい"
我々の想いを力強く代弁するかのような歌詞に毎回心を奪われる。
オン・ザ・フロントライン前のMCから息をつく間もない怒涛の流れ。ステレオジュブナイルが来たら泣いてしまうと思っていたから、涙が止まらなかった。
これからもヒトリエなら大丈夫だ!と思わせてくれるこの曲が本当に好きなのだ。
〜本編終了〜
〜アンコール〜
1.2分ほどでvsシリーズの服を着たメンバーが登場すると、1人だけタオルを持ったシノダが…。
この日運送の都合上、タオルの販売が出来なかったため タオルを見せびらかしたと思った瞬間その場で土下座するシノダ。詫び入るとフロアは暖かい拍手で応える。
秋山について
「昔やってたツアー(このへんで一番旨いものをよこせ!)のニコニコの放送で、イガラシのベースが大きいだの小さいだのってコメントを連投して荒らしてました!って笑顔で言ってきたよ笑」
「あいつ荒らしだからな!なんでそんなに爽やかに言えるんだか…w 可愛いやつです」
「それじゃあ きぃちゃん(秋山黄色)が10数年前にsoundcloudだかで聞いてたであろう2曲やって終わります。」
対バンだから1曲で終わると思っていたが、思わぬ朗報。昔の曲か〜と考えているとすぐさま高速セッションが始まる。
この日のヒトリエのセトリ、あまり初期曲をやっていなかっただけに「Sister Judy」の選曲には驚かされた。
後ろから前へものすごい量のオーディエンスが押し寄せてくるのが、この歌とこの歌に続くであろう曲へのフロアの喜びを表している。
Sister Judyが来たら「モンタージュガール」なわけで。1月のday1でも過去ライブでもお馴染みのSister〜モンタージュの鉄板の流れはライブ開始とともに始まることがほとんどであるから、喜びもひとしお。
緩いMCから一変、一瞬でフロアをグチャグチャに掻き回して去っていった。
秋山の圧巻のライブパフォーマンスに正直、
「これヒトリエ大丈夫か……」と心配してしまったのが杞憂になるくらい、ヒトリエがまだまだ進化し続けていることを感じさせる強烈なライブであった。
全体を通してお互いに全てを出し切ったようなショーであった。秋山が言っていたような「平和にやりたい」とは正反対の正面からのぶつかり合いが見れた。
対バンはやはりこうであって欲しいものだ。
ヒトリエ セットリスト
1. ジャガーノート
2. ゲノゲノゲ
3. Marshall A
4. Milk Tablet
5. Selfy charm
6. RIVER FOG, CHOCOLATE BUTTERFLY
7. Neon Beauty
8. オン・ザ・フロントライン
9. 3分29秒
10. ハイゲイン
11. アンノウン・マザーグース
12. ステレオジュブナイル
e.c
1. Sister Judy
2. モンタージュガール