取材の金言

レイモンド・チャンドラーの「ロング・グッドバイ」(訳 村上春樹)を愛読している。

その中に、個人的に、取材についての箴言(しんげん)だと思うフレーズがある。

「私が常に驚かされるのは、訊いてまわれば、たいていのことは簡単にわかるという事実に人びとがあまり思い当たらないことです」(村上春樹訳)

「It's a wonder to me that people never seems to realize that all you have to do is ask」

森鴎外の歴史小説も愛読している。鴎外は「大塩平八郎」を後書き(「附録」)を残している。こちらはノンフィクションを書く上で大いに参考になる。

(史実としての時刻を箇条書きにし、その上で)
「時刻の知れてゐるこれだけの事実の前後と中間とに、伝えられてゐる一日間の一切の事実を盛り込んで、矛盾が生じなければ、それで一切の事実が正確だと云ふことは証明させらねぬまでも、記載の信用は可なり高まるわけである。私は敢えてそれを試みた。そして其間に推測を逞くしたには相違いないが、余り暴力的な切盛や、人を馬鹿にした捏造はしなかった」



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