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「ライブ配信は編集しなくても良いから楽」という説について考える

  このシリーズ(?)では、オンライン研修を実施するときのアレコレをまとめています。

 今日は、私の周囲だけの「限定的なお話」かも知れないです。

 最近、私の周辺でも、オンライン研修が増えています。配信の方法は、「ライブ配信:講義と同時に配信する」と「録画配信:講義をいったん録画して、その録画を配信する」という2つの方法があるのですが、なぜか「ライブ配信」が多いです。

 配信を担当する側からすれば、できれば「録画配信」を採用していただきたい。「ライブ配信」と「録画配信」では、難易度や確実性が数段違います。「ライブ配信」は、通信回線の安定度にも影響されるし、回線を通した先の「画像」「音声」をチェックしないといけないので、セッティングに手間・暇がかかります。つまり、ライブ配信はぜんぜん楽じゃない。むしろハードルが高い・・・ということです。

 「ライブ配信」でなければならない理由があれば良いんです。たとえば「質疑応答」をおこないたいからライブ配信する・・・というなら納得です。でも、そんな研修だけではありません。特にライブ配信の必要性を感じないモノまで、なんでもかんでもライブ配信をしようとするので、「なぜ、ライブ配信なのですか?」と聞いた答えの一例が、表題です。

 「ライブ配信は編集しなくても良いので、楽だから」

 複数の人達から聞いたりするので、ひょっとしたら、なにかソースがあるのかも知れませんが、「マジですか? そんな理由で?」って思ったので、今日は、「ライブ配信・録画配信」と「編集・無編集」の関係を整理しようと思います。

「ライブか録画か」と「編集か無編集か」というのは、別の問題

 なぜだか、「ライブ配信は無編集で良い」「録画配信は編集しなければならない」と思い込んでいるフシが見受けられます。しかし、「ライブか録画か」と「編集か無編集か」というのは、ぜんぜん別の問題です

 ライブ配信でも「必要性があれば」編集することが可能です。

 録画配信でも「必要性がなければ」編集しなければ良いのです。

 つまり、編集するかしないかは、「必要性」によって決めれば良いことです。「ライブ配信」か「録画配信」かで決まるものではありません
(ここで、編集という言葉は「素材に何らかの手を加える」という広い意味で使っています)

 編集(Wikipedia)

 結果、「ライブ・録画」という軸と「編集・無編集」という軸で、4つのパターンに整理できます。

録画・ライブと編集・無編集

 順番にカンタンに内容をみていきましょう。

<パターン1>ライブで編集する

  冒頭から、「ライブ配信は編集しなくても良いから楽・・・説」を否定するようですが、必要性があれば、ライブ配信でも編集することが可能です。

 たとえば、「司会:○○氏」「講師:○○氏」といったテロップや、タイトルなどは、入れたほうが受講者にわかりやすいでしょう? この場合、ライブ配信でもテロップを入れられるのです。楽をしたいのなら入れないことも、もちろん可能です。

<パターン2>ライブで無編集

 「渋谷交差点のライブ映像」みたいなイメージですね。「楽」なのかどうか知りませんが、「編集しなくても良い」のかどうかは、配信するモノによります。「渋谷交差点」の例でいうと、編集する必要性がないから編集していないのだと思います。でも、ライブ映像をよく見てください。

渋谷交差点のライブ映像

 右上に撮影日時が挿入されています。また右下には「ブランディングとしてのマーク(透かし)」が挿入されています。

 つまり、渋谷交差点のライブ配信は、無編集のように見えても編集されています。

<パターン3>録画で編集する

  「ライブ配信は編集しなくても良いから楽・・・説」の裏側には、「録画配信は編集しなくてはならないから面倒・・・説」があるようです。

 しかし、編集できるというのは、リスクを避けることができるので安心とうこともできます。もう一度整理した表をみてください。

録画・ライブと編集・無編集

 録画配信で編集の最後に赤字で書きました。録画配信・編集だけ「カットや複数動画のつなぎ合わせ」が可能です(ライブ配信では不可能か、あるいは現実には相当困難です)。録画配信では、一旦録画して見直したときに研修の途中で不規則発言があったりトラブルがあれば、カットすることができます。良い間違えたり不都合な場面があれば、後で撮り直した動画と差し替えることができます。安心ではないですか? 

<パターン4>録画で無編集

 いわゆる「撮って出し」というヤツですね。You Tubeには無編集の動画もたくさん公開されています。自分の動画を出すのは恥ずかしいのですが、リンク貼っておきます。

Zoomのはじめかた

 この動画は、1時間ほどダラダラ(´ε` )と話した内容を公開したモノです(最小限の編集はしています)が、概要欄にタイムテーブルを作っているので、タイムテーブルの数字をクリックすると該当の場所までジャンプします。具体的には、下の画像の青文字のところをクリックすると、その場面にジャンプします。

画像3

 このように、たとえ無編集でも、動画配信サービスの機能で編集のかわりに便利に視聴できることがあります。

どのパターンを選択すべきか

 編集するかどうかは、「必要性」で判断すれば良いでしょう。

 では、「ライブ配信」と「録画配信」のドチラを選択するかは、どうやって判断しますか?

 オススメなのは、「質疑応答を行うかどうか」で判断することです。

 質疑応答も、ライブ配信でしかできないワケではありません。録画配信でも、たとえば「あとで、メールにより質問を受け付けて回答する」というカタチで質疑応答を受け付けることは可能ですが、「研修で聞いたときにフト浮かんだ疑問を、その場で解消できる」というのは、受講者にとって大きな魅力となるでしょう。

ライブ配信は「録画しない(録画できない)」から安心・・・説

 ライブ配信が選択されがちな理由として、録画との関係があります。特に講師の先生には「録画」に抵抗感があるケースがあったりします。

 しかし、ライブ配信でも録画配信でも、受講者は録画しようと思えば録画可能です。録画できない配信方法は私には思い当たりません。

 ライブ配信で講義時間中だけ配信する場合、時間が限定的なので安心・・・という意味なら、録画配信で時間を制限するば良いことです。たとえば、「○月○日18:00から1時間だけ視聴可能とする」というイメージです。

 結局、「録画する・しない」という問題と「配信方法」についても、別の問題ということになります。

まとめ

 以上をまとめると、

「質疑応答を受け付ける」「編集の必要なし」の場合、「ライブ配信で無編集」を選択

「質疑応答を受け付ける」「編集の必要あり」の場合、「ライブ配信で編集」を選択

「質疑応答を受け付けない」「編集の必要なし」の場合、「録画配信で無編集」を選択

「質疑応答を受け付けない」「編集の必要あり」の場合、「録画配信で編集」を選択

 といった判断を推奨します。最終的に「どの方式を選択するか」は、受講者の利益を最優先に考えて決定しなければならないコトは言うまでもないのですが、特に、「質疑応答を受け付けないのに、ライブ配信を選択する」場合は、本当に適切なのか再考をオススメしたいと思います。


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