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【香港入院記】手術当日

腸を空っぽにするという戦いを経て
へとへとになり、昼の手術時間が来た。

手術着に着替えて、ベッドで待っているようにと指示があった。
着替え終わってナースがチェックしに来たら、
「前後逆やで」と即チェンジを言い渡された。

手術着セット(左・着圧ストッキング-中・デカパンティ-右・手術着)

そして、無事手術着の合格をいただき、
”まな板の鯉”イザ出陣!
麻酔も何も効いていない状態でベッドごと運ばれる事
人生で何回あるんだろうか…
なんてことを思いながらアッというまに手術フロアーに到着

ここからは、あわただしかった。
手術フロアーで待ち構えていたオペナースに引き渡しされるや否や
名前や何の手術するのかに始まり、アレルギーの有無等
かなりしつこく確認された。麻酔なんて全然してなかったのに、
この時点でちょっと眠たくなってきた。前日う〇ことの死闘を繰り広げて殆ど寝れていなかったからだと言い訳をしておこう。

手術室に移ってから、手術台に移され、
前の晩麻酔に関する問診をしてくれた麻酔科医とも再会し
手を握って、これから麻酔するけど、手術の30分後には目が覚めるからね
安心してね。という最強の声掛けをしてもらった。
間もなく左手甲に点滴用の針がセットされ、背中からも麻酔をぶち込まれ

気が付けば…

病室のベッドで目が覚めた。
足元には夫の気配。
ドクターからは「手術成功したよ」みたいな事を言われた。
気がする。(せん妄状態でよく覚えていない)
時間は4時過ぎだったと思う。手術は2時間半程度で終わったようだった。

ドクターが去っていき、私は夫に「0806、ハロー」と弱弱しく言い続けた。
せん妄状態の私が一番最初に夫に伝えたかったこと。
それは個人のスペースに備え付けられている金庫の暗証番号(4桁)だった。


「ぜろはちぜろろく、ハロー」これを何度か口にして金庫からスマホを出してもらわねば、夫が自宅に帰ったあと、大変なことになる。という強迫観念が強く働いたのだろうと思う。
今振り返ると、全然いらんやろ だ。
何を確認することがあるねん。翌日も爆睡するだけやぞ!
とあの時の私に言ってあげたい。

夫は「この人、何をハローハロー言うてんのやろ」と困惑しながらも、
金庫の暗証番号だと悟り、誰からも連絡がないスマホを手術直後の妻にそっとやさしく手渡してくれた。

本格的なせん妄もあった。
術後、人工肛門になったと思っていた。
確かにドクターから、「手術成功したで!」と言ってもらった。
でもドクターの言う「成功」は「命が助かったで」、という意味だったのだ。一方患者の私は、もちろん命は助かったし、病変も取り除けた。でも、今回の手術とは直接関係のない肛門が犠牲になったのかと思いこんでいた。

一瞬、ホントに一瞬落ち込んだ。そして少しまどろんでみた夢の中で、
臍の横に新設された人工肛門を見てみた。めっちゃかわいかった。胸を撃ち抜かれた。そのビジュアルの良さで落ち込みはどこかへ行った。
「あ、私の肛門、こんなかわいいんやったら、OK」とまで言ってた。

これは、かなりリアルだったので、術後3日に尿道カテーテルが取れる直前まで割と本気で信じていた。お腹付近の感覚がなかったのと、体が痛すぎて動けなかったのもあって、自分の体を見ることが難しかったからだ。

とはいえ、結果的に人口肛門でもなく、自分の備え付けの肛門で生きている。

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