見出し画像

四重の月 第四章 (1395字)

正二の恋。

初恋は、幼稚園の先生だった。
今思うと、二十代の女性だったかと
記憶している。

色気を感じて、好きになった。

次に好きになったのは、
小学生に上がってから。
家の近所の子だった。

ボーイッシュな女の子で、
誰とでも遊ぶ、
明朗活発な子だった。

じゃれあって、
彼女が、僕の背中に
手を入れてくすぐった感触を
今でも忘れない。

学年が上がり、
クラス替えとなって、
気が付いたときには、
彼女は転校していた。

高学年に差し掛かると、
正二は
マスターベーションを
覚えた。

お風呂に入った時、
偶然、ペニスに触れて、
心地良さに気づいた訳
だった。

ともかく、人に
打ち明けない子であったから、
自分で気づいてゆくしか
無かった。

ペニスの皮を剥くことも
その時、何となく
経験したのだった。
剥いておく状態が、
大人の通常と知ったのは、
だいぶあとになってから
だった。

今でもいささか
恥ずかしくなる思い出だが、
あるとき尿検査に
引っかかって、
泌尿器科の病院へ
一人自転車を漕いで
行ったのだった。

行くこと自体、
中学生の正二は
恥ずかしかったが、
輪を掛けて恥ずかしかったのは、
先生(医者)に
自分のペニスを
診てもらわなければ
ならなかったことだった。

初老の先生だったろうか、
五十代くらいの男の人に
手袋をはめた手で、
私のペニスの皮を
ゆっくり剥かれたの
だった。少々痛かった。

その頃は、
剥いておくことが
通常と思わなかったので、
普段は皮を被せていたのだけれど、
そのせいで、
糟がたまっていて、
検査に引っかかったことの
ようであった。

女性を徐々に性の対象として
見るようになったのも、
その頃からだった。

性の知識なんてまるで
無かったので、
見境が無かった。

実の所、
今でも女性の性に関する
知識に乏しい、というか
いい加減な正二である。

中学時代に戻る。

まず母の所へ行った。
夜、家族が寝静まった頃、
こっそり母の所へ行って、
お乳を吸いに行ったのだった。

今思うと、
複雑な心境だったと思う。

正二は、幼少の頃から、
母の愛情の薄さに
不満を覚えていた。
憎悪もよく思った。

甘えて、安心を得た記憶が
まるで無かった。

今でなら、
多少の事情は
理解できるのだが、
それは、
東京から大阪へ嫁いできて、
大阪暮らしに余裕の
無かったことなど、
家事、仕事で精一杯で、
子供の面倒をよく
見れなかったことなども、
同情できる話ではあったの
だけれども。

しかしながら、母は
お互い歳を取ってから
話すにつけても、
「私のお母さんも
愛情の薄い人だったのよ。」
と言われたのも、
私の心を
今更に動揺させたのだった。

小学生、
中学生になっても、
本来の正二は
おっぱいを欲しがった。

姉にも行ったことが、
一度だけあった。

母にせよ、姉にせよ、
お乳が欲しかったのか、
性的興味があったのか、
およそ半々くらいで
あったかと
今になって思われる。

母には退けられ、
姉はされるがままで、
正二は、
それ以上は知らなかったし、
しようもなかった。

エロティックな漫画も
買いに求めた。

恥ずかしかったのは、
ロリータ系の趣味のあった
ことだった。

中学生をしていても、
心は、
およそ小学生か、
幼稚園児のそれかも
知れなかった。

そして、
今もそういう趣味の名残が
ある。

性欲は、それほど強いもの
でも無かった。

生きることが面倒という気持ち、
重々しい思春期が
ずっと続くことになるのだが、
学生生活はとにかく、
明るく元気よく振舞う。

暗い自分を振り切るように、
勉強にクラブに打ち込んだ
中学生時代だった。




(第四章 おわり)




(あとがき)


書きたい気持ちが乗っていて、
連続投稿となり恐縮しております。

毎度お世話さまです。つる です。

今回のお話は、
恋、性についての件と
なりました。

フィクションの
織り交ぜながら、
書かせていただいています。

本文では
書き足りていないことが、
一杯ある感です。
ネタを絞らざるを得ませんでした。

まま赤裸々に書けるのは、
幾分年を取ったせいかと
思います。

次回は、高校時代でも
書こうかな。

お読み下さります方へ、
お付き合いくださり、
ありがとう存じます。

つらつらと、
思うままに書いてゆけたらと
思います。
悪しからずです。

ではまた、しばらく。🍂

つる かく

いいなと思ったら応援しよう!

つる@ピアノ音楽家
ピアノ教室へ通うための、 資金とさせていただきます。