企画もの『あなたの温度に触れていたくて。』に応募します。☆彡
エッセイ『 冬の恋、愛 』
私が20代後半だった頃の話をします。
自分のことを理解できずに、
心を塞いで、社会、人付き合いに
折り合いを付けようと生きていた頃。
それまで友達だった女性から告白されました。
音楽の趣味が合っていたのでOKしました。
私にとって初めてのお付き合いでした。
相手の方が、6,7歳年下でした。
付き合ってしばらくして、
「つる が、こんな人とは思わなかった。」
と言われました。
それまで社会に出ることも無かった私は
簡単に言うと子供でした。
でも、それを押し隠すように
それまでを過ごしてきたのが、
彼女に知られることになったのでした。
一人暮らしをしている彼女の家に
通いました。
そこでただのんびりしたり、
パソコンで音楽を作ったり。
要するにヒモでした。
子供であった私は、
ひたすら彼女の愛を求めました。
それに疲れた彼女は、
他の男性に行きました。
私はそれを許すことができず、
別れを切り出しました。
付き合って半年のことです。
私なりに、身勝手なことをしている
意識もあったので、
彼女との関係をひきちぎるような
思いでした。
一旦、了承した彼女と、
最後の抱擁をしました。
お互い、出口が無かった。
私はどう生きていけばいいのか
逃げてばかりいました。
彼女との別れは、
大きな精神的打撃でした。
別れて初めて、
自分のしてきたこと、したことを
思い知り、
街なかを当てもなく彼女を
えんえんと探したりもしました。
親の下で暮らしてひきこもり、
いよいよ逃げ場所が無くなり、
心の病気になりました。
冬に始まり、初夏に終わった恋でした。
病院のカウンセリングの先生に
この恋の顛末を詳しく話しますと、
「濃い恋愛をしたのですね。でも、
そんな子供な つる さんでしたとは
意外でした。」
と言われました。
詳しい恋のお話はここではしません。
ただ、一挙に二人にとっての現実が
訪れた、そんな恋愛というか
お付き合いでした。
年を取って、私は50歳になりました。
今も心の療養中です。
人を偽るつもりは無かったですけれども、
結果的に、自分も含めて
社会になじむため、自分を演じることが
必要と勘違いしていた時期でした。
自覚も無かった。
人への優しさに努める、という
私の言動は、当時より
そんなに変わっていません。
ただ、
今が違うのは、
生きていくことは、
自分を信じられるか、ということだと
得していることでした。
あの恋愛から学んだことは、
お互いの思い遣りを持って、
末永くお付き合いができれば、
好ましいかなと思うことでした。
自責の念に長く苦しみましたけれども、
今の私は、
それなりに幸せへの道を生きようと
思いつつ、日々を過ごすことが
できているように思います。
色々なことは抱えているけれども、
できるだけのことは受け止めて、
日々の優しさに努めるのが
私の人生のテーマとなりつつあります。
(終わり、1139字)
☆彡あとがき
書こうか迷いましたけれども、
年を取った私にとって、
文章に記しておくのも悪くないかなと
思いまして、ここに記しておきます。
特に恋愛にこだわっているのでも
ありませんけれども、
今後の人付き合いは、
なるべく素直な心でもって、
人とお付き合いできれば幸せかなと
思う次第です。
それが前へ進むことだと信じて。
つる かく🌻