『花吹雪』~シロクマ文芸部~ 630字
花吹雪の今にもちりちりと舞い始める、
土手の桜を見に来ていた。
6,7人の若いグループに
私もいる。
小学生たちがバレーボールで
ボールを打ち上げて遊んでいる。
私たちも混ぜてもらって
いっしょに遊んだ。
ひとりの女の子が、
遠慮してなかなかボールに
寄ろうとしない。
私の友だちの一人が、
その子にボールが行くように、
大きく打ち上げた。
青空を大きな円を描くバレーボール。
私たちは満足していた。
みなそれぞれの道を進むことに
なるだろう集まりと思われた。
そんな桜咲き乱れるなかで
またひとつ思い出となった。
桜には思い出がつきものかもしれない。
今年の桜は私の体調不良のため、
例年通り見ることは叶わなかった。
見ることが出来るようになったときには
ほとんど葉桜になりかけていた。
ひとり取り残されたような気分で
桜を見つめる。
友たちと別れて数十年。
私は桜を見上げることに感慨を覚える。
寂しさと良き思い出が交錯する。
桜は毎年約束を守るかのように咲いた。
私は今生を生きる約束をしなければ
という気持ちに駆られる。
年齢を重ねるごとに、
次の桜が咲くまでの一年が遠く感じる。
まるで咲いたことが無かったかのように、
葉桜が生い茂り始めているのを見て、
また、今日からを生きてゆこう。
わずかな期間に咲いた桜は
夢を見せてくれた。
私も時折、夢のお手伝いをできればと
桜から教わるのだった。
どんな桜も心に来ないものは無かった。
切なさと共に今日も桜とともに歩く。
子供の頃に見た桜への感想に、
今もそんなに変わりはないことに
感謝しつつ。
(おしまい。630字)
☆彡
あとがき
こんにちは。
毎度お世話になっております。つる です。
今回もシロクマ文芸部に
お世話になります。
『花吹雪』という始まりで、
詩歌や小説、エッセイなどを書く企画です。
企画者小牧さん、
みなさまへ感謝しつつ書かせて
いただきました。
ヘッダー画像お借りしています。
ありがとうございます。
桜への思いはとめどなかったです。
つる 拝
#シロクマ文芸部